北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

Weblog北大路機関・・・現時点でシステム障害が発生している疑い

2009-09-30 23:00:37 | 北大路機関 広報

◆本日は休載の可能性

 本日、システムもしくは回線、何らかの不具合により、更新が出来ない可能性があります。

Img_8545  メンテナンスなどは行われていないようですが、入力手順の如何を問わず、操作ミスの表示が出る。その段階を越えても写真の掲載が出来ない。時間を掛け複数回に一度写真を揚げることが出来ても著しく時間を要する。回線や操作手順については平常通りであるのに、以上の問題が発生しております。結果、本日の記事掲載は出来ない可能性があります。

Img_1658   本日は、経営再建中で、方向性を模索している日本航空の救済案、特にその一視点について、北大路機関ならではの提案を、と考えていましたが、こちらの掲載は後日行います。また、状況が改善された場合には、本日中に記事を掲載しる可能性もありますので、その点をお伝えいたします。

北大路機関

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海上自衛隊:平成18年度潜水艦(8118号艦)、10月16日に神戸で進水

2009-09-29 19:43:04 | 海上自衛隊 催事

◆そうりゅう型潜水艦3番艦(SS-503)

 防衛省海上自衛隊は、平成18年度潜水艦(8118号艦)の命名式・進水式を10月16日、三菱重工神戸造船所において実施すると発表した。

Img_2613  そうりゅう型三番艦の命名式・進水式は、10月16日金曜日、1100時から1110時に執り行われる予定となっており、執行者は呉地方総監武田壽一海将で、防衛省からは海上幕僚監部代表として海将の赤星慶治海上幕僚長が、装備施設実施本部からは岡崎匠本部長が出席すると発表された。

Img_7809  そうりゅう型潜水艦は、これまでの潜水艦と比べ、スターリングエンジンAIP方式と呼ばれる推進方式を採用しており、これまでの潜水艦がディーゼル機関をシュノーケルにより海上から取り入れた空気により稼働させ、バッテリーに蓄電し、潜航していたのに対し、潜航したまま液体酸素とケロシンを用いた熱でヘリウムを膨張収縮させる原理で発電し、推進する、非大気依存(AIP)潜水艦として知られる。

Img_8561  そうりゅう型潜水艦は、基準排水量2950㌧、水中排水量4200㌧。全長は84㍍で、通常動力潜水艦としてはかなりの大型である。潜水艦が大型であるということは、水中放音の増大など、潜水艦の根幹である水中秘匿性にはマイナスとなり得るが、他方で、大型化することで航続距離は増大することになり、広大な日本近海の哨戒には必要な要素である。

Img_8385  二番艦うんりゅう、は現在、公試中で来年三月に就役予定となっている。瑞称動物の名前を冠することとなったそうりゅう型、そうりゅう、うんりゅう、に続き、三番艦は、どうなるか。旧海軍の空母“蒼龍”“雲竜”と続いたのだから、“飛龍”となるのだろうか。個人的には、ここはひとつ、先代の関係で縁起は悪いが、小松左京の『日本沈没』に名前のみ出てきた最新鋭潜水艦“海龍”を推したい。無理か。

Img_7821  海上自衛隊には、16隻の潜水艦と2隻の練習潜水艦が配備されており、三菱重工神戸造船所、川崎造船神戸工場という二つの会社で建造されているが、既に四番艦(8119号艦)が川崎造船神戸工場で、五番艦(8120号艦)が三菱重工神戸造船所にて建造されており、今後旧式化した、はるしお型潜水艦を置き換えてゆくこととなろう。

 当日は抜けるような快晴を願いたい。

HARUNA

[本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる]

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鳩山首相 来月十五日に来年度予算概算要求提出を省庁に求める

2009-09-28 22:42:19 | 国際・政治

◆予算制度変革は可能か

 本日、鳩山首相を中心に予算編成を見直すための検討委員会の初会合が行われ、管副総理は、1円でも節約するという決意を表明、複数年度に渡る予算や翌年度繰越も念頭に定めるとのことを表明した。

Img_7155   基本政策閣僚委員会、前の政権の各省庁による概算要求はゼロベースとすることとし、閣僚委員会は明日閣議決定し、来月15日に改めて各省庁の概算要求を集めること、基本政策閣僚委員会を定期的に開くことを申し合わせた。結果、これは当初から言われていたことではあるが、平成22年度防衛予算概算要求もゼロベースで再構築されることとなる。

Img_7328_1 概算要求については、既に提出されているものがある一方で各省庁にゼロベースでの再構築を求め、加えて来月十五日までに求めるというのは、ゼロベースから再構築するとしても検討するための時間が短く、しかも概算要求を要求しつつも複数年度に渡る予算を求めるということは、些か無理があるようにも思えるのだが、朝令暮改となってしまえば、例えば装備品調達を途中で打ち切った場合、数百億円の違約金が生じることもあるので、注意は必要だ。

Img_9487  さて、防衛予算は削られるのか、非常に微妙な問題ではあるのだが、一方で、予算の繰越や多年度に渡る予算要求が可能となる点は、好意的にとらえるべきである。例えば選定に時間を要している航空自衛隊F-X次期戦闘機選定でも、調達費用を翌年に繰り越して積立式とすれば、選定が遅れたとしても決定した際に、多くの予算を集中し、ライセンス生産関連設備の整備費用などに投じることが出来る。

Img_8004   もうひとつ利点としては、自衛隊が演習などで燃料や弾薬を消費するとともに、年度末になった場合、弾薬や燃料の余剰が生じることが少なくないが、翌年に備蓄燃料や弾薬を繰り越すことが出来れば、研究射などではなく、演習場での演習にてより有効に残弾や燃料を使用することが可能となる。

Img_9299 概算要求とは話はやや外れるが、自衛隊車両が高速道路を利用する際には現在、高速道路料金を支払っている為、現在の政権が進める高速道路無料化が仮にもし実現することがあったとしたならば、演習に際して今まで以上に高速道路を縦横無尽に利用し、戦略展開能力を高めることが出来るかもしれない。

Img_8094  他方で、既に出された22年度防衛予算概算要求では、90式戦車の後継となる新戦車の調達開始を筆頭として、今後の自衛隊装備体系30年に大きな影響を及ぼす装備品の調達初年度となる時期と重なっており、ここでの予算要求に小さな変更を加えたとしても、将来には大きな影響と負担となって跳ね返る可能性が高い。

Img_90081  海上自衛隊も、22DDHとして19500㌧型ヘリコプター搭載護衛艦が要求されており、個艦戦闘能力を大幅に下方修正することに代えて船体を大型化したため、ひゅうが型護衛艦と比べてもほぼ同じ建造費にて整備することが出来る要求であるが、こちらが22DDHとして実現するのか否か、興味がもたれる。

Img_0190  もうひとつ、関心が湧くのは、新政権の防衛に関する意識、これは理解度や防衛政策の外交政策との共振も含めてなのだが、未知数だということだ。従来型の専守防衛部隊貼り付けか、機動力を重視するのか、国際平和維持活動への関与に関する是非、弾道ミサイルに対する対処は策源地攻撃かミサイル防衛か等など。

Img_6297  特に、野党から与党へ、選挙により進んだという事により、これまで与党が得ていたような防衛に関する情報を全て共有している訳ではないこともあり、例えば、これは最も端的に出ている点だが、弾道ミサイル防衛における迎撃成功率の情報一つをとっても、必ずしも正しくない情報を正しいと考えている事例もあるようだ。

Img_8629  装備品に関しては前述したように、調達途上のものを中止してしまうと莫大な違約金が発生し、途中で装備開発を打ち切り技術基盤が失われた後で必要性を認識しても再整備にはより大きな負担が必要となり、結果、税金は節約したことにより多く消費する、という事にもなりかねない問題がある。

Img_3978  自衛隊装備は、装備年鑑を開いても、その装備の種類の豊富さには驚かされるものの、実際に駐屯地や基地、航空基地などに足を運べば装備年鑑に並んでいない装備品も非常に多く、驚かされる。防衛関係以外での調達品目はより多く、一つ一つの必要性を、政治が全て把握するのは、難しいのではないのか、と思う次第。

Img_6605  更に、政治主導を掲げつつも、結局は官庁に概算要求の提出を求めるのであり、どのように政治主導とするのか、スローガンに終わるのではないのかという危惧もある。なんとなれ、国が育てた巨大な官僚機構が構築する概算要求を、遥かに小さな政府主導により、代替できるのか、政治任用制度の改革や、スタッフを養成する数千人規模の政府シンクタンク、などの創設を試みた方が現実的なのではないか、と思う次第。

HARUNA

[本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる]

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航空自衛隊 増加する国際貢献任務へ輸送航空団の増強を検討すべき

2009-09-27 23:25:03 | 防衛・安全保障

◆C-Xまでの繋ぎという意味も含め

 アフガニスタン派遣任務に、陸上自衛隊ではなく、航空自衛隊の輸送機を派遣するという案もあるようだ。もっとも、英空軍などはC-130がアフガニスタンの過酷な環境でで何機か失われているのだが。

Img_9564  航空自衛隊は、小牧基地の第401飛行隊にC-130H輸送機16機を導入し、運用している。C-130H輸送機は、20㌧を搭載し4000km、8㌧を搭載し8600km。C-5やAn-124などの戦略輸送機、C-17,Il-76などの戦域輸送機があるが、C-130Hは戦術輸送機、戦略輸送機が輸送した物資を第一線まで届ける用途に用いられる機体だ。

Img_9942_1  航空自衛隊には、現在25機のC-1輸送機が配備されているが、1000㍍以下の滑走路でも十分運用できるSTOL性が優れている反面、最大搭載量は8㌧、8㌧搭載時の航続距離は1500kmでしかないため、海外派遣はもとより、沖縄県に飛ぶにも特別仕様機が必要であることから、国際貢献に飛行させることは不可能である。しかも、C-1輸送機は老朽化が進んでいる。

Img_40531  KC-767空中給油輸送機が貨物輸送も可能な機体として、運用が開始されている。もともと、ボーイング767を改造した機体だけにパレットに搭載された32㌧の貨物を搭載し9260kmの飛行が可能であり、座席を設置すれば、窓こそないものの旅客機、つまり人員輸送機として運用することも可能だ。しかし、現段階では4機の導入が予定されているのみである。

Img_7766 ローテーションなどを考えれば、航空自衛隊の国際貢献任務への対応能力は、C-130H輸送機数機が限界という状況である。イラク復興人道支援任務派遣では3機、他の場合にも基本的に2~3機のC-130Hが派遣されているのだが、予備部品などは米空軍など現地からの供給に頼っている状況である。

Img_8652 現在、開発が難航しているC-XがC-2として制式化されれば、C-130H以上の航続距離と搭載能力を有するので、C-130H以外にも国際貢献任務に対応できる部隊は増えるのだろうが、C-Xの開発が進まない以上、C-1も老朽化が進んでいる事もあり、繋ぎとしてC-130Hの増勢も考えるべきかもしれない。

Img_9982  予備部品の供給、日本本土と派遣部隊との輸送機による連絡を維持し、必要に応じて派遣隊員の交代も輸送する観点からは人員輸送能力が大きいKC-767,もしくは旅客機型のC-767輸送機を充実させるという選択肢もある。一時期、中古の767を政府専用機として採用できないかという検討が防衛庁(当時)で為されたというが、改めて考えるべきだろう。

Img_91441  米空軍の場合、C-32輸送機のように、旅客機型の輸送機を運用するのは、例えばB-747(VC-747と称するべきと思うのだが)では大きすぎる要人輸送に用いたり、必要に応じて邦人救出任務にも転用できるし、かなり大きいが人員輸送型のYS-11の後継としてC-767を、例えば他のより小型の機体と併用して運用するという選択肢もあるかもしれない。

Img_9011  輸送航空団の増強案としては、C-1をC-130Hで一部置き換えつつ、C-2輸送機が完成した際には、定数に上乗せして輸送機を配備し、各飛行隊の定数を増加させることで、輸送航空団全体の輸送機保有数を増強させるという案などが考えられる。輸送航空団を増強することは、増加傾向の国際貢献のほかに、同時に島嶼部限定侵攻を始めとした有事の際に部隊展開の手段を確保するという点でも、意義がある。

HARUNA

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伊勢湾台風から50年 巨大台風を前に立ち向かった草創期の自衛隊

2009-09-26 23:30:34 | 防衛・安全保障

◆死者5000以上、巨大台風被害への災害派遣

 本日で、伊勢湾台風が東海地方を襲ってから50年、自治体や報道は、これを機会に災害に備えようと様々な活動を行っているが、今回は、その中でもあまり扱われない自衛隊の活動について掲載したい。自衛隊創設から五年目、本土を襲った猛威に、どう立ち向かったのか。

Img_3829  1959年9月26日から27火にかけて、大型の台風が和歌山県潮岬に上陸、半径300kmの超大型台風はそのまま紀伊半島に沿って東海地方に侵入した。台風は、富山湾に抜けたのち、再び秋田県の上陸、各地に大きな爪痕を残した。被害は特に伊勢湾沿岸に集中しており、東海地方の愛知県、三重県、岐阜県は壊滅的な被害を受け、不幸にも満潮の時刻と重なったことで名古屋市南部は一ヶ月間水が引かなかった。

Img_6537  こうして名古屋を中心に死者4700名、行方不明者400名、家屋流失は2400戸、全半壊した家屋は150000戸に及び床上浸水363000戸、被災者は実に153000名という激甚な被害をもたらし、第二次世界大戦を除けば、これほどの自然災害は阪神大震災まで無かった、未曾有の大災害だ。

Img_0323  28日に愛知県知事より災害派遣要請が出され、長官命令により陸上自衛隊は、即座に災害派遣命令を発し、守山の第10混成団、千僧の第3管区隊が中心となり中部地区災害対策本部を設置、北海道から九州までの自衛隊各部隊が投入され、延べ派遣人員は73万、災害派遣は12月17日まで続けられた。

Img_2387  第10混成団をはじめ派遣部隊の隊員は、濁流に押し流された堤防に飛び込んで杭を打ち込み、杭と杭とを土嚢で埋め、文字通り人海戦術で堤防を復旧させるとともに、倒壊家屋や流出家屋、流木の中で捜索救難活動を展開、犠牲者の遺体収容、行方不明者の捜索、破損した道路の啓開、救援物資の空輸に医療活動を実施した。

Img_6505  第10師団創設前の第10混成団時代、能力も装備も不充分ながら、隊員は全力でやれることをやろうと、遮二無二大災害に立ち向かった。なにしろ被害が大きく、本来避難所となる公共施設はもとより医療機関の被害も大きく、医官は数日間徹夜の診療活動にあり、入浴支援も、この伊勢湾台風で周知された災害派遣任務である。

Img_7005  海上自衛隊は、横須賀地方総監部総務部長が派遣部隊の指揮を執るべく先頭に立ち、横須賀基地より29日夜、救援物資を満載した災害派遣部隊が出港夜を徹して太平洋を伊勢湾に急行し30日早朝、名古屋港に到達した。救援物資を下すとともに決壊した堤防の補強作業を実施、加えて上陸用舟艇により、家屋を失った住民の避難を支援した。

Img_5789  しかし、大きすぎる被害を前に横須賀地方隊だけでは如何ともし難く、呉地方隊にも増援が要請された。今日としては当然のことではあるが、当時は異例のことであり、この伊勢湾台風災害派遣が最初の前例を築いたといってよい。こうして呉基地より、第2舟艇隊、掃海母艦桑栄も派遣され、延べ艦艇2726隻日、航空機延べ170機日が任務にあたった。

Img_0341  なにしろ、1959年と言えば海上自衛隊草創期、初代護衛艦むらさめ、が就役したものの、最新鋭の護衛艦あきづき、他は建造中、この年の9月18日に川崎重工岐阜工場にてP2V-7対潜哨戒機の初号機が完成披露式を迎えたばかりの頃、そんなときの伊勢湾台風災害派遣は文字通り全力で、その影響もあり、観艦式は二回連続で中止となっている。

Img_8109  伊勢湾台風を前に、最も混乱した状況下で任務にあたったのは航空自衛隊かもしれない。名古屋が被害、となれば名古屋空港に隣接する小牧基地が思い浮かぶかもしれない、しかし当時は無理だったのだ。何故か。今年、伊勢湾台風50年なのだが、同時に小牧基地開庁50周年ということと併せて考えれば、よくわかるのだが小牧基地が開庁したのは59年5月なのである。

Img_2987  松島から小牧に第三航空団が移駐してきたばかりの時期であり、その中で巨大台風に遭遇したのだ。当時、源田航空幕僚長はF-X調査団として渡米中、前年に編成されたばかりの浜松臨時救難航空隊がH-19ヘリを派遣して任務にあたった。手探り状態、今日では普通に防災システムに組み込まれている基地や部隊、その創設前の草創期ではあったが、精一杯、不可能と困難に立ち向かった彼らが、今日に至る精強な自衛隊を錬成したともいえるだろう。

HARUNA

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平成二十一年度九月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報 4

2009-09-25 22:23:37 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 今週末の自衛隊関連行事について掲載、東北方面隊創設記念行事や芦屋基地航空祭などが行われる今週末である。

Img_7828_1  東北方面隊創設記念行事、霞目飛行場で行われるこの行事が、一番の注目だろうか、線台駅からシャトルバスを利用することもできるが、ここはあえて地下鉄で東北方面総監部の置かれる仙台駐屯地からシャトルバスを利用したい。師団改編直前の第9師団の装備や、基幹連隊指揮システムを運用試験中の第6師団、強力な方面特科火力を有する東北方面隊直轄部隊の装備を、広大な霞目飛行場で行われる観閲行進で。みることができる。

Img_1499  九州の芦屋では、航空祭が行われる。芦屋基地航空祭では、航空学生の教育の為に配備されたT-4練習機による展示飛行、なかでもレッドドルフィンが有名で、このほか、米空軍太平洋航空軍のF-16による展示飛行が行われる航空祭だ。航空自衛隊の多種多様な航空機も航過飛行を行うとのこと。

Img_4399  少年工科学校開校祭、この行事は五月に第1教育団創設50周年記念行事として行われた武山駐屯地にて実施される。少年工科学校ならではの気合の入った、これは各駐屯地でのライフルドリルの展示で垣間見えるのだが、展示などを期待したい。武山は、海上自衛隊の教育隊と航空自衛隊の分屯基地が隣接している駐屯地として知られる。

Img_1129  徳島航空基地には、徳島教育航空群が展開している。ここには、固定翼練習機TC-90が配備されており、規模は航空自衛隊の主要な航空祭と比べれば決して大きくないものの、TC-90は、ここで無ければなかなか見ることが出来ない機体だ。徳島へは、南海特急で和歌山から南海フェリー利用が便利だ。

Img_9464  丘珠駐屯地祭、札幌市営地下鉄にて足を運ぶことのできるこの飛行場では、札幌空港としても知られており、北部方面隊直轄の北部方面航空隊に配備されたヘリコプター部隊の創設記念行事が行われる。祝賀飛行の大編隊を期待したい。概ね大編隊の祝賀飛行は一度だけ、多数を収めるべく、広角レンズを手に準備しておきたい。

Img_0537  北富士駐屯地、山梨県唯一の陸上自衛隊駐屯地であるこの駐屯地には、第1師団隷下の第1特科隊が駐屯している。第1特科隊は、第1特科連隊を縮小改編したもので、FH-70榴弾砲20門を運用している。火砲のほか特科隊ならではの情報中隊の対砲レーダーなどの装備品も見ることが出来るだろう。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  1. 9月26日:海上自衛隊徳島航空基地開庁記念行事・・・http://www.mod.go.jp/msdf/tokusima/1/1.htm
  2. 9月27日:陸上自衛隊丘珠駐屯地祭・北部方面航空隊創設56周年記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/11d/
  3. 9月27日:陸上自衛隊東北方面隊創設49周年記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/neae/neahq/
  4. 9月27日:陸上自衛隊北富士駐屯地創設49周年記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/1d/
  5. 9月27日:陸上自衛隊少年工科学校祭創設記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/yt_sch/
  6. 9月27日:航空自衛隊芦屋基地航空祭2009・・・http://www.mod.go.jp/asdf/ashiya/top/index.htm

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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陸上自衛隊アフガニスタン人道支援任務派遣問題を考える⑦ 航空救難輸送は可能か

2009-09-24 23:45:51 | 国際・政治

◆輸送ヘリ・多用途ヘリと護衛ヘリを派遣する案

 自衛隊には、イラクをはじめ様々な海外での経験がある。そして東西冷戦下では、NATOの支援を受けられた西ドイツとは異なり、独力で対岸のソ連を睨んでいた。

Img_7346  アフガニスタンへ自衛隊派遣の可能性、アフガニスタン情勢は危険ではあるものの、イラク情勢も極めて危険としか言いようがないほどに危険な状況にあった、そこを任務完遂全員帰還を達成したのだ。もっとも、現段階でアフガン派遣は確実ではない。現段階では、補給艦による給油を継続する、選択肢は残っている。

Img_6939  例えば国連安保理決議に依拠しない給油支援が問題というのであれば、来年一月までにアメリカが主体となって新しい安保理決議にて給油支援を必要とする枠組みを構築することだろうか。この他に、もう一度イラク復興人道支援、もしくはテロとの戦いに含まれようとしているソマリアへの派遣ということも考えられようか。

Img_6809_1  さて、陸上自衛隊であるが、それでもアフガニスタンへの派遣を求められることはあるかもしれない、こういう観点から掲載を続けてゆきたい。前回は、地雷処理と不発弾処理任務であれば支援することが出来るのではないかという点を提示した。今回は、更に踏み込んで陸上自衛隊の得意分野を活かすべきという観点からもうひとつ提案したい。

Img_9275  ISAFを、戦闘に直接参加せずに、且つ高い評価を得られる支援策を提示したい。考えられるのは、ヘリコプターによる救難輸送と、もうひとつは戦場監視任務であるが、今回は救難輸送任務を挙げたい。というのも、陸上自衛隊は高いヘリボーン能力を有しており、これを活かせないか、という考えが根底にある。

Img_4265  世界的に観ても比較的早い時期からヘリボーンの研究を実施しており、1960年の東富士演習場におけるS35統合演習、現在の富士総合火力演習に当たる演習だが、そこではさっそく、H-19中型輸送ヘリ、H-21大型輸送ヘリの7機により、空中機動による迅速な増援を展示したのがヘリボーンが一般公開された最初である。

Img_4323  S35統合演習では、その最終段階、装甲車や戦車と共に戦果拡大のための普通科の銃剣突撃を支援した。H-19、そしてバナナのような曲がった機体形状が特色のH-21は既にかなり以前に全機用途廃止となっているが、その後も地皺の多いわが国土の防衛にヘリボーンは最適とされ、整備は続けられている。

Img_9384  今日では、イギリスの第24空中機動旅団のような空中機動旅団こそ編成されていないものの、各方面隊にはAH-1Sによる空中打撃力と、中隊規模の空中機動を可能とするUH-1J/Hの飛行隊から成る方面航空隊を、北部、東北、東部、中部、西部に計五個有している。直轄普通科部隊や特科部隊こそないもののヘリは、かなりの機数だ。

Img_7207  中央即応集団は32機のCH-47J/JAを集中運用する第1ヘリコプター団と、第1空挺団を隷下に有している。第12旅団も、機数は少ないものの、戦車大隊を廃止した変わりにヘリコプター隊を新編しているので、輸送ヘリ、多用途ヘリを駆使したヘリボーン任務を可能とした編成を採っている。

Img_9234  陸上自衛隊と航空自衛隊を併せ、約80機のCH-47J/JA輸送ヘリコプターを配備、運用している。先頃、陸上自衛隊に配備されたCH-47Jの初号機が耐用年数限界により除籍されたが、川崎重工にてライセンス生産されていることにより高い稼働率を誇っている。

Img_7366  また、直輸入により一時的に調達して終わりではなく、川崎重工での製造は今も続いており、継続的に配備と運用を続けている。実は、50名以上が乗れるような大型輸送ヘリを80機運用する国というのは決して多くは無い。また同時に、CH-47は、その強力なエンジン出力から、アフガニスタンの高山部でも、安全に飛行することが可能である。

Img_8252  こうして、多数のCH-47J/JAを運用する自衛隊としては、アフガニスタンにおける戦闘救難輸送や航空救難輸送などが考えられるだろう。即ち、第一線で戦闘中にISAFから負傷者が発生した場合に、武装した普通科隊員とともに急行し、即座に発着地点を確保、続いて負傷者をヘリに収容しする。

Img_8287  機内で応急処置を行いつつ、後方の整った医療施設へ迅速に航空搬送する、というものである。CH-47JAであれば、航続距離が延伸していると共に、地形追随装置や気象レーダーを搭載しているので、悪天候下や夜間であっても救難任務に即応して対応することが可能である。

Img_7985  CH-47JAは、CH-47D規格である。このヘリは、テロとの戦いが開始された2001年から2002年にかけて、米軍でも不足した。特殊作戦用のMH-47が、アフガニスタンとフィリピンで一機づつ墜落したため、あの物量を誇る米軍でも大型輸送ヘリコプターの最新型は充分ではなく、不足するという状況に陥ったのだ。

Img_8183  アメリカ国内にあるシンガポール空軍向けの輸出用6機を代わりに購入しようとしたが政治的問題から断られ、英空軍に輸出され英軍仕様に改修待ちのCH-47D規格HC-3が8機あったので、こちらを後日新品の特殊戦仕様型に支援機材込で輸出する案を持ちかけたが、こちらも英空軍が難色を示した。結局メーカーに製造を急がせることで間に合わせた。同時期、陸上自衛隊にもCH-47JAのアフガニスタン派遣を当時の守屋事務次官に打診したとされており、派遣の需要はあるといえる。

Img_9020  もちろん、戦闘地域に乗りつけるのであるから、地上からの反撃は当然予想される。以上を以て、現在第102飛行隊のCH-47などに搭載されている機関銃を更に強化して自衛火力とする必要があるし、必要に応じてAH-64D戦闘ヘリコプターを護衛に付ける必要が出てくるかもしれない。

Img_8210  もしくは、監視技術の高いOH-1の派遣もあり得るだろうか。加えてアフガニスタンでは高山部を飛び越えるという特性上、機内には酸素マスクなどの改修を行う必要もでてくるだろう。また、防弾板の設置や通信機器の増強などを行う必要も出てくるかもしれない。安全ではないということは挙げておきたい。

Img_1024 ただし、戦闘救難任務も純然たる救命任務であるので、必ずしも戦闘任務という事が出来ない。それだけでなく、ISAFの兵士で重傷を負った場合でも、日の丸をつけたCH-47JAが駆け付けてくれる、という運用を行えば、一部で危惧されているようなISAFのお荷物となる心配は無く、NATO諸国と陸上自衛隊の関係を高めるとともに、行動を通じて日本の姿勢を世界に示すこともできるかもしれない。

Img_1351  もうひとつは、復興人道支援の一部として、現地で発生した緊急を要する患者の航空搬送、自衛隊が離島において災害派遣として恒常的に実施している任務であるが、これをアフガニスタンで実施できないか。競合地域での医療支援や農業支援を行い、信頼構築を行う事で、当該村落の敵対勢力からの心理的遮断を図る任務は、特殊部隊の任務の一つとして知られるが、医官の派遣と併せてこのように実施してみるのも一つの方法といえよう。

Img_6266  陸上自衛隊のヘリコプターによる緊急輸送任務、もちろん激烈な戦闘の場合に出動することが出来るのか、自衛戦闘ではあるが、戦域に向かい飛んでゆくことは救難といえども集団的自衛権の行使に当たるのではないか等など、問題点は考えられるものの、自衛隊の得意分野でISAFの任務を効果的に支援でき、加えて戦闘に直接かかわらない任務としては、考えられるのではないか、と考える次第。

 次回は戦場監視について考えてみたい。

HARUNA

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陸上自衛隊アフガニスタン人道支援任務派遣問題を考える⑥ 地雷・不発弾処理

2009-09-23 23:41:58 | 国際・政治

◆地雷処理任務という選択肢

 アフガニスタン派遣であるが、もともと水道が普及していない高山部に給水支援というのはナンセンスであるし、学校や病院の建設にしても自衛隊は工事が難しく、しかも戦闘が続いている。

Img_5679  自衛隊を派遣するのならば、もちろん自衛隊以外でもいいのだが、自衛隊以外では民間軍事会社でも創る以外は戦闘が続いている現状から無理だろうから、自衛隊のみしか派遣して任務を遂行できる能力は無いという前提の上での話なのだが、派遣する以上、何らかの任務を遂行する必要がある。行くことに意義があると考えて、宿営地を要塞化し立て籠もるという事も考えられるのだが、復興人道支援やISAFの任務の支援という観点から考えてみたい。

Img_2946  戦闘が続いている状況であるので、戦闘が終了しなければ復興人道支援もないだろう、という観点から、北部方面隊の装甲化された強力な連隊戦闘団とヘリボーン部隊を派遣して、一気に特定地域での戦闘を収束に向かわせる、という方法も、一つの考え方としてあるようには思うのだが、これは時期尚早か。一応、砲弾を含め弾薬の規格はNATO規格であるので、東西冷戦下、鍛えに鍛えた、・・・、やはり早い。

Img_07801   すると、考えられるのは、地雷除去、航空救難輸送、監視任務、この三つだろうか。もちろん、これまでに述べた道路補修任務も担う事が出来よう。ISAFの装備や任務における写真などを見ると、爆導索や除雷装置などの地雷処理の装備が必ずしも多くないのは気になるが、自衛隊が処理するレベルの地雷は処理されているのかも調査する必要はあるだろう。

Img_03_74   他方で、アフガニスタンは、カンボジアと並び地雷敷設の密度が多いことで知られ、同時に民生被害も考えられることから、地雷処理任務への需要は大きいだろう。今回は、先に列挙した地雷除去、航空救難輸送、監視任務という自衛隊が対応可能であろう任務のうち、地雷処理について、特に考えてみたい。

Img_3233 ただし、完全な地雷除去は復興の本格化の際に、つまり戦闘が基本的に終了したのちに民間団体とともに協同で行うのが望ましい。地雷処理には、戦闘に際して防御地雷として敷設された地雷原を処理する障害除去、これは概ね七割から八割程度の地雷を処理する方式なのだが、この方法。そして農作業や放牧、再開発などを行う際に被害が出ないようにする完全除去と並ぶが、自衛隊が想定するのは障害除去である。

Img_6781 具体的には92式地雷原処理車、70式地雷処理器、M-1破壊筒と梱包爆薬による地雷処理を行う事だ。障害除去であっても、特定通路の地雷は処理することが出来るので、この通路を拠点に復興時は地雷の完全除去を行う事が出来る。このほか、金属探知機による伝統的な地雷処理訓練も自衛隊では行われており、もちろん一歩一歩地雷を探すのだから人員が大量に必要となるのだが、対応能力はある。

Img_4415  92式地雷原処理車は、26個の大型爆薬を繋いだ爆導索をロケットにより投射するもので、このロケットを二発、処理車に搭載したもの。爆発力は極めて大きく、一発で200㍍の距離にわたって幅5.5㍍の通路にわたり地雷を爆破して処理することが出来る。ロケットは地雷原から500㍍以上離れた場所に投射することができ、自らは地雷原より距離を置いて地雷処理を行う事が出来る。

Img_0663  70式地雷処理器は、人員8名で分解輸送することができ、測量から発射までは最速で15分、ロケット弾により爆導索を投射し、着地後16秒で自動的に爆発、150㍍にわたり、幅0.5㍍の人員通過用経路を啓くことができる。92式と比べれば、92式は車両通過用の通路を啓くことができるのだが、70式は人員通過用の経路を啓くにとどまる。しかしその分人力で搬送することができ、小回りが利く点が利点といえよう。

Img_1521   M-1破壊筒による地雷処理、これはあまり先進国では行われていない方法で、理由は防御地雷原がそもそも阻止線として利用される特性から、そこに地雷処理のために人員が進入すると機銃などの火力の制圧下に入ってしまうためである。しかし、今回のように遺棄地雷の処理であれば、そこまで問題にならないかもしれない。

Img_1531 1.5㍍の破壊筒には爆薬が充填されており、これを何本も繋いで爆破し、敷設された地雷を誘爆させるのだ。これにより人員が通行可能な0.5㍍の通路が啓けるので、さらにここに梱包爆薬、正式にはM-1集団装薬連鎖爆破薬というのだが、これを設置、爆破して5㍍幅の車両通路を啓くのだ。

Img_4565  このほか。戦車に装着する92式地雷原処理ローラというものがあって、戦車の前に装着し、物凄い重量と磁気によって地雷を押しつぶして破壊するという方式があるのだが、この方式は、ソ連軍がアフガニスタンで実施したため、処理装置が地雷を爆発すると、その付近にある爆薬も誘爆して処理車を破壊するという方式がアフガニスタンで多く用いられ、少なくないソ連軍地雷処理車が破壊されているという。

Img_3082  このほか、全土に散らばる不発弾処理も一定の需要がある。陸上自衛隊は、第二次大戦中に日本に投下された膨大な不発弾を処理してきた実績があり、もちろん、処理よりも機関砲などで直接射撃し、処理する方が手っ取り早いかもしれないが、復興を阻む無数の不発弾の処理は、同じ境遇を経験した日本らしい復興支援と言えるかもしれない。

Img_5401_1  ちなみに、これはある意味当然のことだが、戦闘が続く地域での地雷処理は、戦闘工兵の任務の一つ、障害除去であり、攻撃前進に先んじて行われるものだ。もちろん、防御用地雷以外の遺棄地雷を処理するのだけれども、区別は難しい。したがって、妨害にあう可能性も高く、相応の準備は必要となろう。

Img_9772  一つ重要なのは、地雷処理には、どのような地雷がどのあたりに敷設されているのか、これに就いて住民から生の情報を得るとともに可能であれば戦闘に参加したゲリラ部隊や、ロシア軍資料などから調べる必要があり、この点でも任務担当地域での住民との関係は極めて重要になってくる。

Img_1718  イラク派遣の際には、自衛隊は復興人道支援のために展開するのであって、イラク人に危害を加えるものではない、とテレビコマーシャルを利用して訴えたが、何分、アフガニスタンのほとんどの地域ではテレビが普及していない、地雷処理には住民の理解と協力が必要であり、この点が重要であろう。現在のアフガニスタンは全土が戦闘地域、もしくは潜在的戦闘地域である。

 次回は、救難輸送などの面について、その可能性を検証してみたい。

HARUNA

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陸上自衛隊アフガニスタン人道支援任務派遣問題を考える⑤ 施設科部隊の能力

2009-09-22 23:10:11 | 国際・政治

◆施設科は土建屋ではなく戦闘工兵

 アフガニスタン派遣に関して、仮に自衛隊を派遣するとして輸送支援はかなりリスクがあるという事を前回掲載した。しかし、学校再建など戦闘工兵である自衛隊に出来るのか、給水支援への需要は、など考えるべき点もあるようにおもう。

Img_0043  陸上自衛隊が得意とする任務は野戦である、最近は市街戦が加わったが、しかし、アフガニスタンで富士総合火力演習を実戦で行うのは、少し国内世論の理解を得るには時間がかかるかもしれない。では、本土防衛のために錬成した対機甲戦を筆頭とした野戦以外の面で、海外で役立つ技術としては、どういったものが挙げられるだろうか。

Img_5367  戦闘任務以外では、給水任務、道路補修、架橋、医療支援、などなどだろうか。他方で、各国軍が戦闘任務以外で実施する任務として挙げられる現地治安部隊の訓練、後は日本国内で現在の与党が提唱している水道施設工事、学校や病院建設は、これまで自衛隊に求められていた能力からすると、少し難しいかもしれない。

Img_5_557   まず誤解のないように最初に記しておくと、陸上自衛隊の施設科部隊は、戦闘工兵として第一線で障害除去にあたり渡河を支援、占領した地域に逆襲に備え野戦築城を行う。建設工兵として後方から第一線までの補給路を維持し、架橋し、後方策源地を構築する。この二つに重点が置かれている。

Img_2366_1_2  戦闘工兵と、建設工兵としての、これらの能力では秀でたものがある。自衛隊の施設科部隊は優秀だ、頼りになる、このことはこれまで幾多の災害派遣で実証されているのだが、それ以外の能力、求められない能力は急に求められても応じられないものがあるのではないか、というのが今回の主題。

Img_2251_2  道路の舗装ならば行う事は出来る。もちろん、かなり地雷が残っているので、リスクはあるのだが、アフガニスタンは未舗装道路が非常に多く、しかも未舗装である前に地図上でのみ道ではあるものの、実態は国道ではなく酷道、県道というよりも険道、という状況にある。建設工兵としてアスファルト道路により後方連絡線を維持できる能力があり、国道の状況改善には施設科部隊は活躍できよう。

Img_2169_1  また、架橋に関しても、戦闘渡河用の装備以外に、恒久的に橋梁として使用することが可能なパネル橋が配備されており、山間部や平野部の国道のほか、国道の建設に障害となる地皺、つまり河川や峡谷に対しても、もちろん限度はあるものの橋梁設備を展開することはできるだろう。

Img_2_978  なお、前回記したとおり、戦略上重要な道路は、建設することが敵対行為と映る可能性も高く、ISAFの戦闘部隊も利用することがあれば、施設科部隊や後方支援部隊が妨害にあう可能性は高く考慮しなくてはならない、これに備えるには、やはり相応の自隊防護能力を有して派遣する必要があるといえる。

Img_3580_1  さて、道路工事は出来るのだが、求められる任務で難しい点から説明しよう。学校建設、これは幾つかの展点で自衛隊に求められた能力よりも異なる技能を要する。アフガニスタンは長期間戦闘が続いたことにより学校そのものが普及していない地域もあり、そこに新たに鉄筋コンクリートなどにより建築物を建設することになると思うのだが、これは難しい。

Img_07311  即ち、陸上自衛隊に鉄筋コンクリートで相応の耐久性を持ち、半永久的に使用可能な建築物を独立して建設する能力があるかと問われれば、駐屯地の司令部や隊舎なども民間の建設会社が行ってきている。自衛隊の任務は野戦であり、市街地に学校や病院のようなビルを建築することは含まれないので、これは致し方ないことだ。

Img_6720  もちろん、陸上自衛隊の施設科部隊には、野戦築城を行う能力は充分ある。野戦築城として平野部に敵砲迫や航空攻撃から自己を生存させ、かつ近接した戦車に有効な打撃を加え、歩兵の前進を喰い止めるための技術は、創設以来研究されている。同じ条件ならば防御陣地に関する野戦築城では、NATOや米軍の水準と比べた場合上である。

Img_5_547  しかし、コンクリートによるトーチカやクリークなどを合わせた永久築城の技術は、そもそも有していない。学校や病院建築の際に、永久築城の技術があれば、コンクリート建造物などの建設に応用できる部分はあるのかもしれないが、野戦築城では土嚢を積み上げた校舎と塹壕の廊下で結ばれた学校になってしまう。

Img_4_782  タリバンや軍閥が授業中に襲撃してきた際には撃退は容易かもしれないが、学校としてはナンセンスであろう。やはり、学校を公示する際に、アフガニスタンの民間建設会社かもちろん日本の民間建設会社でもいいのだが、もしくはその能力のあるISAF工兵部隊を自衛隊が警護する、というのが限界であろうか。

Img_3725  なお、戦乱により教職員、医師ともに不足している。イラクの場合は、イラク戦争前まで社会基盤が維持されていたものを復興するだけの任務であったので、教職員、医師ともに施設復旧を以て学校や病院を再開できる状況であったのだが、アフガニスタンは内線の期間が長過ぎたので、それ以前の状態なのである。

Img_0103  パシュトゥン語やダリ語の出来る医療従事者や教職員の養成も必要となるのだが、語学教育を行う小平駐屯地にも、恐らくこれら地域言語の専門家は少なく、東京外語大学くらいを探さなくてはいないのではないか、この中で教員や医師の人材養成を担える人材、というのはさらに少ないだろう。この点、自衛隊が担える部分は少ない。

Img_0518_1  給水任務はどうか、給水任務といえば、干ばつによる断水から台風や地震における水道施設の破損などの災害派遣で、自衛隊の給水能力はたびたび大きく扱われている。アフガニスタンに対する給水支援での復興支援はできないだろうか。これは幾つかの点で可能であり、幾つかの点で不可能である。

Img_3531  それは、給水を必要とする地域である。繰り返すようにアフガニスタンは山岳地域にある内陸国である。また内戦の時期が長かったこともあり、水道施設そのものが無い地域が多く、高山地帯に水道を引くことは不可能である。もちろん、都市部であれば給水支援を行う意義はあるかもしれないが、都市部でも戦闘が多くない地域では水道が復旧している場所も多いとのこと。

Img_3_520  山間部では、もっとも生活排水が少ない高山部であるので、河川の水は、かなりそのまま利用できるものではあるのだが、こういう地域への給水支援は、もともと戦争前から給水が不要であった地域に、もちろん上流で水が汚染でもされている状況が生じれば別なのだが、戦争前から水道や給水が不要とされていた地域への給水支援、どの程度現地から需要があるのかは測りかねる。

Img_6182  水道設備、という概念の無い地域に水道を持ち込むと、保守管理という負担を強いてしまうため、やはり都市部に限り給水支援を行う、ということが妥当なのだろうか、しかし、どの程度、水道に対する需要があるのか、また、浄水設備等の面で現地の要望があるのか、要望に自衛隊の能力で対応できるのか、ということも吟味する必要があろう。次回は担うべき任務についても、挙げてみたい。

HARUNA

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陸上自衛隊アフガニスタン人道支援任務派遣問題を考える④ 難しい輸送支援

2009-09-21 22:45:55 | 国際・政治

◆仮にアフガンに派遣するとして

 鳩山総理、そういえば民主党が野党であった2001年の段階で、鳩山氏はアフガニスタンに行っていたことを思い出した。パキスタンのバグラム空軍基地から、SP二人とともに。確かカブールが北部同盟により陥落した直後あたりだったか。カンダハルで海兵隊が掃討作戦をやっていた時期である。

Img_1186 2001年11月19日に、佐世保から、護衛艦くらま、を中心とするインド洋対テロ海上阻止行動給油支援にて派遣されて以来、海上自衛隊は一時的な例外として中断して以外、補給艦による補給支援は、5隻しかない補給艦とともに実施されている。しかし、民主党は小泉政権時代から一貫して、給油支援は憲法違反であり、国連安保理決議に依拠したアフガニスタンでの復興人道支援を行うべき、という主張のまま与党となったことから問題は変わっている。

Img_1280  アメリカは給油支援の継続を望んでいる。給油支援(海上)から給水支援(陸上)へ、というコンセプトで見た場合、現在のアフガニスタンは余りに危険が大きく、リスクが大きい。また、東西冷戦時代、陸上自衛隊はソ連極東軍の強大な破城鎚、戦車師団や自動車化狙撃師団を相手に防御と攻撃前進を行うべく訓練を積んできた。

Img_1635  アフガンにて野戦築城を行い火砲を持ち込んでの防御や山間部に立てこもる武装勢力を戦車と空中機動で掃討する機動打撃を行うならばともかく、治安が悪化する中で人道支援など、行えるものなのだろうか。少なくとも人道支援といっても、敵対勢力増長を防ぐための宣撫任務となってしまうのが実情、当然、攻撃の対象となってしまう。

Img_9168  アフガニスタン、鳩山氏が足を運んだ2001年とは大きく状況が変わってきている。アフガニスタン情勢は、2001年に米軍が9.11の報復としてアフガニスタン空爆を始めて以来、特殊部隊が乗馬してムジャヒディンとともに最前線から目標を探し、B-2やB-52が成層圏からJDAMで航空支援を行い、北部同盟の前進を阻んでいたタリバンの拠点を次々と破壊、神出鬼没の偵察部隊と長い槍の航空支援が破竹の快進撃を支えた。

Img_8328  しかし、あれで再びアフガニスタンに平和が戻るとだれもが考えていたのだが、しかし、イラク戦争が始まり、同じく第3機械化歩兵師団を先頭に破竹の快進撃でバクダッドを攻略したのち、イラク治安作戦が長期化し、本日の時点でイラク戦争戦死者は4345名、しかしながら、アフガニスタンから人員をイラク方面へ抽出したことが裏目に出てしまっている。

Img_9_849  結果、アフガニスタン治安任務は国連では対応できないことになりユーゴスラビアの大のように主導権はNATOに移り、この混乱で軍閥が盛り返し、支持の無い軍閥に代わりタリバンの支持が増えるに至っている。そして、NATOのISAFや増派米軍の死傷者が激増する状況で、日本はインド洋給油支援に代えてアフガニスタンの大地へ支援のために進むことを表明しているのである。

Img_0268_1  輸送支援については、これは一つの意味で自衛隊が行える国際貢献なのだが、かなり難しい問題が二つある。輸送は軍事と直結しているという点、そして輸送部隊の脆弱性という点で問題がある。輸送支援というと、ISAFの関連物資、同時に人道関連物資の輸送を後方支援連隊や方面輸送隊から派遣された車両により実施し、車両デポを維持し、車列の警備などを実施する、という任務だろうか。

Img_8414  輸送、アフガニスタンと輸送。これはかなり難儀である。1979年からのソ連軍アフガニスタン侵攻に際しては、四個師団がアフガニスタンに侵攻したものの、ソ連の鉄道拠点が置かれたウズベキスタンのテルメズから、二車線の山間部道路をヒンズークシ山脈の3363㍍のサラン峠を越えて400km移動するというもの。

Img_0197  補給線を絶てばソ連軍の行動が鈍るということから激しい攻撃に曝され、400kmの移動に数日間を要した。危険というが、どのくらいかと問われれば十往復すれば叙勲の対象になるほどで、損耗も大きかった。補給が無ければ第一線は成り立たず、それだけに遊撃戦では襲撃の対象となる、危険な任務なのである。

Img_0634  輸送部隊の脆弱という点について、後方支援の分野でも戦闘支援、という概念が陸上自衛隊はNATOや米軍と比べてポテンシャルが低かったという点が背景にある。戦闘支援とは、戦闘が行われている第一線に直接補給品を送り届けて戦闘を支えるという事である。当然、第一線部隊と比して遜色ない自隊防護能力が求められるし、兵站車両も一部については装甲防御力が求められるのだが。

Img_4832  基本的に普通科を中心として東西冷戦においては航空攻撃に脆弱な機械化を進めず、陣地防御とキルゾーン形成による対機甲戦を念頭に部隊や訓練体系を構築していたため、航空攻撃の危険がある中で補給線に恒常的に輸送コンボイを通す必要は無かったわけであり、戦線の変動も大きくは想定されていなかった。

Img_5137  その分の予算をホークミサイルの近代化による全般防空、74式戦車や90式戦車の装備により世界一級の機甲部隊への対処能力を付与、対戦車ミサイルを筆頭に対戦車火力の充実を図るとともに、更にAH-1Sによる空中打撃力やV-107,CH-47の充実による空中機動能力の確保などに邁進してきた。

Img_5545  従って、彼我混交の競合地域において長距離を移動する、ということはあまり考えられなかったわけであり、後方支援車両への機関銃の搭載は、荷台部分に機銃を施すなどを除けば、あまり考えられず、キャビン部分への本格的な防御力の付与などは考えられていないということが実情である。

Img_8513  1992年10月14日、ドイツ連邦軍兵士がカンボジアで射殺された、ドイツ発の海外派遣での死者だが、車両で移動中、衛生兵が乗車する車両が首都プノンペンで水溜りを通過した際、水飛沫が武装した市民にかかってしまい、カラシニコフで射撃され、死亡したのだ。これを契機に、世論は紛糾、ドイツ連邦軍は兵站車両の防弾化を開始し、ディンゴ完全防弾車が開発されるに至っている。

Img_0130  ドイツ軍のみならず、NATOの陸軍では、装甲キャビンを有するトラックを次々と開発し、米軍も応急装甲キットを開発し、イラクに送りこんでいるが、軽装甲機動車程度の防御力を有する輸送車両、つまりトラックを早期に開発しなくては、アフガニスタンで、好ましくない事態につながってしまう可能性もある。

Img_3177  このように、輸送任務は戦闘支援と重なってしまうし、人道支援物資であっても、略奪の対象となる可能性、加えて戦闘支援と区別がつかないという問題がある。そして陸上自衛隊には、競合地域で戦闘に対応できる輸送兵站車両が装備体系に無い、という大きな問題を抱えており、鳩山首相が2001年にアフガニスタンを訪問した時よりも悪くなっている。この点、考えるべきだろう。次回は給水支援や学校再建などに焦点を当てて考えてみたい。

HARUNA

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