北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

掃海艇すがしま・のとじま・つのしま 揃って名古屋港に入港中

2009-02-28 18:31:28 | 海上自衛隊 催事

◆第41掃海隊の掃海艇三隻が揃って寄港

 佐世保基地に空母ジョン・ステニスが寄港しているとのことだが、名古屋港にも昨夜、横須賀基地の第41掃海隊三隻の掃海艇が揃って入港したということで、昨日、“少し”寄り道をして撮影。本日はこの様子を掲載。

Img_0901  夜の名古屋港に停泊する掃海艇。海上自衛隊の掃海艇三隻が2月27日1700時に名古屋港に入港するとの情報が、名古屋港入出港情報に掲載されていたとのお話を聞いた。昨年末に導入した18-200手振れ防止レンズを夜間撮影で試すという意味も兼ねて(撮影だけなら、このレンズは電車を数え切れないほど撮っているが)、地下鉄で名古屋港駅に向かった。

Img_0899  すがしま型掃海艇のシンボルというべき二つの煙突が水銀燈の光を受けて輝いている。夜間の撮影ということで、ISO1600に設定。いつもは400で撮影しているので、画質が荒くなってしまうのだが、いつも三脚を持ち歩いている訳ではないので、ISO値を上げる方法で撮影。マニュアルでISO3200まで上げられるとのことだけれども、今回は800と1600とした。

Img_0896  横須賀地方隊第41掃海隊は、掃海艇すがしま(MSC-681)、掃海艇のとじま(MSC-682)、掃海艇つのしま(MSC-683)の三隻から編成されている。すがしま型掃海艇は、満載排水量590㌧、全長54㍍で、船体は磁気機雷に感応せず、万一の被雷時には衝撃を吸収する木造船体を採用している。ディーゼルエンジン二基を搭載し、速力は14ノット。掃海器具と20㍉多銃身機銃を搭載している。乗員は45名。

Img_0889  本型の最大の特色は、1991年のペルシャ湾掃海任務で、各国の最新掃海器具との国産装備の技術差を見せられ、本型には外国製掃海器具を搭載している点にある。機雷処分具はフランスECA社製のPAP-104、水中速力6ノット、運用深度300㍍までの機雷を処分する装置で、二基搭載されている。このほか、機雷探知機2093型と、対機雷戦情報処理装置NAUTIS-Mを駆使し、機雷を発見、処理してゆく。

Img_0931  海上自衛隊は、終戦後、海上保安庁の実施していた遺棄機雷の処理を引き継ぎ、世界的に見ても掃海実任務の経験が豊富な組織であるのだが、処理しているのは基本的に第二次世界大戦中の機雷であり、その後世界各国が導入した機雷や、対機雷戦への要求の変化からみれば、海上自衛隊の掃海装備よりも上のものがあることがペルシャ湾で判明、このため、より高性能な装備を求め、外国製の掃海器具を導入することとなった。

Img_0871  すがしま型掃海艇は12隻が導入され、その後、世界の掃海器具にひけをとらない国産の最新鋭掃海器具S-10を搭載した、ひらしま型掃海艇が建造されている。現在では、30㍉機関砲を搭載し、暫定的な哨戒任務にも対応できるものとし、船体を経年劣化に強いFRP製とした新型掃海艇に建造を移行している。

Img_0866  名古屋港で、この三隻の掃海艇を撮影したのだが、この日はもちろん電燈艦飾が行われている訳ではなく、水銀燈の光と、掃海艇の常夜灯を頼りに撮影した。意外とカメラにはしっかりと収まるものだなあ、というのが実感。三隻の掃海艇は、明日3月1日0800時に揃って名古屋港を出港予定。最後になりましたが、当日現地でご一緒しました皆様、ありがとうございました。

HARUNA

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平成二十年度三月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報

2009-02-27 22:41:54 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 2008年度もいよいよ最期、三月は年度末である。また、厳しい冬はようやく行事が行える春を感じさせる季節となり、三月期には2つの行事が行われる。

Img_6836_1  三月に行われる行事の筆頭は、春日井駐屯地祭。春日井駐屯地には第10後方支援連隊や第10施設大隊、第10偵察隊などが駐屯しており、各種車両が参加しての観閲行進や、戦車や榴弾砲は参加しないものの迫力ある訓練展示模擬戦などがおこなわれる。駐屯地に駐車場があるのもうれしい。

Img_0743  第50普通科連隊創設記念行事。50普連は、善通寺駐屯地に駐屯しているのだが、2010年に香南市に新設される、新しい高知駐屯地に移駐する計画であり、一足先に香南市において記念式典を行っている。連隊の記念行事であるのだが、駐屯地祭ではない、という非常に珍しい行事だ。

Img_9716  もうひとつは、高知駐屯地祭について。こちらは第14旅団HP,中部方面隊HPでは未定、高知地方協力本部HPにも何も記載されていない。三月に行う、との情報もあったのだけれども、現段階では未確認情報。行事の実施有無を含め、ご存じの方がいらしたら、ご一報いただければ幸い。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  1. 三月八日[陸上自衛隊]:春日井駐屯地創設42周年記念行事[愛知県春日井市]・・・第10師団隷下の後方支援連隊、偵察隊、施設大隊が駐屯。近接戦闘などを巧みに織り込んだ訓練展示が有名。
  2. 三月八日[陸上自衛隊]:第50普通科連隊創設3周年記念行事[高知県香南市]・・・第50普通科連隊が、移駐予定の高知県香南市のグランドを用いて行う記念行事。

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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三号機到着! 空中給油輸送機KC-767 本日岐阜基地に到着

2009-02-26 18:58:38 | 先端軍事テクノロジー

◆KC-767 三機体制へ

 本日、航空自衛隊の空中給油輸送機KC-767三号機がアメリカから日本に到着した。本日はこの様子を紹介。

Kc767_img_0683  航空自衛隊岐阜基地に着陸するKC-767三号機。曇り空から陽光がさした1240時、多くの航空機ファンが見守る中、その姿を見せたKC-767は、そのまま犬山方向から岐阜基地に進み、着陸した。KC-767は、既に2008年、日本に到着、航空自衛隊に納入された二機が小牧基地において飛行開発実験団が、評価試験を実施している。

Kc767_img_0662  3号機、機首のアップ写真。航空自衛隊は、これまでに4機のKC-767を発注しており、将来的には8機程度、可能であれば12機を導入する構想である。KC-767は、空中給油機として以外にも、貨物輸送機として、また人員輸送機として運用可能な機体であり、航空機の滞空時間増大という点以外にも、国際緊急人道支援における物資輸送や、国際平和維持活動における人員輸送などにも活躍が期待される。

Kc767_img_0679  航空自衛隊に引き渡されるまでは民間機であることから、垂直尾翼には“Nナンバー”が記されている。KC-767は、岐阜基地に隣接する川崎重工にて整備を受けたのち、航空自衛隊に引き渡される。これまでに納入された二機のKC-767も川崎重工岐阜工場にて整備などを支援を受けることとなっている。この背景には、ボーイング767の開発に川崎重工など日本企業が15%、参加していることが背景にある。

HARUNA

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アメリカ大統領専用ヘリマリーンワン 機種更新を阻むコスト高騰と財政再建

2009-02-25 17:40:25 | 先端軍事テクノロジー

◆28機を調達予定

 アメリカ合衆国大統領専用ヘリコプター“マリーンワン”は老朽化が進んでおり後継機を選定した結果、海上自衛隊も採用しているEH-101シリーズをVH-71として制式化した。

Img_0061  写真は海上自衛隊で運用されているMCH-101掃海輸送ヘリコプター。基本的にVH-71と同型の機体である。これまで、アメリカのマリーンワンは、シコルスキー社製のヘリコプター、つまり米国機を採用してきたが、アスグタウェストランド社製のEH-101を、ロッキード・マーティンが生産する機体を採用することとなった。現在、5機が試験飛行を重ねており、加えて23機が生産、空飛ぶ執務室として期待されている。

Img_0060  マリーンワンは、28機の調達が見込まれているものの、現在、アメリカはオバマ政権が財政再建中であり、28機の新型ヘリコプターを導入することへの是非が議論されている。大統領専用ヘリとなれば、核攻撃による放射線(さすがに衝撃波の直撃を受ければ飛行継続は不可能のようだ)、生物化学兵器に対する防御力が求められており、改修を行った結果、28機の導入は当初見積もりを大きく超えて、100億ドルに達する、とみられている。

Img_0062  他方で、VH-71として制式化されたEH-101は、今後、アメリカ四軍においても派生型が採用される可能性が生まれている訳で、現行のS-70シリーズ(UH-60シリーズ)の後継機としても注目されるかもしれない。S-70シリーズは高性能なヘリコプターであるが、輸送機への搭載を念頭に機体の大きさを極限までコンパクトにしたため、使い難いという声が上がっているためだ。この点、自衛隊機の選定にも影響が出るだろうから、今後もその動向に注視したい。

HARUNA

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日米同盟を考える: 航空自衛隊 次期主力戦闘機(F-X)候補 ⑤

2009-02-24 23:03:44 | 防衛・安全保障

◆欧州機ユーロファイタータイフーン

 航空自衛隊の次期主力戦闘機を扱うのに、何故タイトルが“日米同盟を考える”なのか、という問い。これは未だコメントでは記されていないものの、直に聞かれることは幾度かあった。今回は、ここに切り込む。

Img_1886  今回特集するのは、ユーロファイタータイフーンである。欧州共同開発というこの機体に加え、潜在的にはフランスのダッソーラファールや、経営危機がささやかれるサーブグリペンなども含まれると思うが、今回は、上記三機種のうち唯一横浜航空宇宙展2008に模型が展示されていたタイフーンを中心に扱いたい。ユーロファイタータイフーンというような欧州機、日本はこれまで航空自衛隊の主力戦闘機としては、F-86,F-104,F-4EJ,F-15Jとアメリカ空軍が主力戦闘機として採用した機体を基本的に採用してきたが、これは将来的に未来永劫続くのかということ。更に踏み込めば、欧州機を採用することは日米同盟に影響を及ぼすのか、ということにつながる。

Img_1771  基本的に、欧州、西欧の北大西洋条約機構(NATO)向けに開発された機体は、戦闘攻撃機としての運用を念頭に置いていた。理由は、東西冷戦にあって、陸上戦力で圧倒的に劣勢にあったNATOは、戦闘機に航空支援を行うことで、なんとか陸上部隊の勝ち目を見出そう、という背景があった。ミリタリーバランスなどを見ると判るのだが、冷戦時代、中欧ではNATOは10個機甲師団でワルシャワ条約機構(WPO)の32個機甲師団に対抗する必要があり、同じくNATOは13個機械化師団でWPOの33個機械化師団に対抗する必要があったためである。トーネードなどはこの典型的な事例で、再軍備宣言直後の西ドイツ空軍がF-104戦闘機による戦闘爆撃訓練を繰り返し、事故を頻発させた背景にもこういったものがある。

Img_1863  航空自衛隊の任務は、海を超えて飛来する爆撃機の迎撃であり、冷戦時代にはソ連軍が上陸する地域において米軍の本格的増援が到着するまでの一定期間、航空優勢を確保するという事にあり、近接航空支援よりも要撃戦の遂行に重点が置かれていたことから、欧州機の運用思想とは合致せず、付け加えて、過去に本論の第一回で記したように、広大な国土をその任務範囲とする航空自衛隊にあって、長距離の任務に対応できる大型戦闘機が必要であることから、欧州機は、過去の次期主力戦闘機選定では、あて馬的な扱いであったことは否めない。

Img_1890  他方で、例えばスウェーデンは、1950年代に既に空対艦ミサイルを攻撃機に搭載しての運用を開始しており、イギリス海軍の艦載機として開発されたブラックバーンバッカーニアは四発の対艦ミサイルの運用能力を有し、トーネード攻撃機も四発の対艦ミサイルを運用することができるなど、航空自衛隊の支援戦闘機と比較した場合、運用や要求水準などで共通する点が多く見られていた。また、何よりも重要なのは、アメリカと旧ソ連、そして欧州と、欧州は世界最先端の戦闘機を継続して開発する能力を有しており、国際共同開発でなくとも、フランスはアメリカのF-16と輸出市場に充分対抗し得るミラージュ2000などを開発し供給しており、イギリスのハリアーのように航空機の運用体系に一石を投じるような機体も開発することができる、これを忘れてはならない。

Img_1776  ユーロファイタータイフーン、この機体は、1970年代末に欧州戦闘機計画としてイギリス、フランス、西ドイツが参加し開発が決定した機体で、1982年にイタリアが、1983年にはスペインが参加を表明した。ただ、開発する航空機について、11トンクラスの大型機が構想されたが、フランスが現実的に開発可能なエンジンから9トン台に収めるべき、との主張を行い、結局折り合いがつかず、1985年にフランスが脱退を表明、それまでに開発していたフランスの技術実証機を元に1986年、ラファールAを開発している。開発に残った四カ国は、1990年代の導入を期して開発を続け、1986年に欧州戦闘機計画に基づく航空機の名称をユーロファイター2000、とした。技術実証機は1986年に初飛行、実証機のデータをもとに1992年、初号機が開発された。ただし、フライ・バイ・ワイアシステムの制御プログラムの開発が遅れたため初飛行は1994年にずれ込んでいる。

Img_1885  ユーロファイターの最大の特色は、制空戦闘機の機体に強力な対地攻撃能力を付与したことで、トーネード以来の欧州戦闘機の運用体系を引き継ぎつつも、制空戦闘の重要性を意識した設計となっていることだ。搭載するエンジンはEJ200、ただし、初期の機体はEJ200の開発が間に合わず、トーネードのRB199エンジンを搭載して飛行していた。EJ200エンジンは、6100kg、アフターバーナー使用で9200kg。双発機であるので、自重10995kg、最大離陸重量23000kgの機体に搭載することを考えれば、なかなかのエンジンと言える。機体にはステルス性が配慮されており、本格的なステルス機ではないものの、要所要所に電波吸収材が採用されているほか、後述する前方赤外線監視装置を用いたパッシヴ式センサーにより、自己位置を暴露しない工夫がなされている。

Img_1774_2  機体には最大で8000kgまでの各種装備を搭載可能で、搭載量は重量でいえば、ほぼF-2と同じ。空対空ミサイル、空対艦ミサイル、空対地巡航ミサイル、対レーダーミサイルを運用することが可能となっている。この中で、イギリス空軍では射程12km、ミリ波レーダーシーカー内蔵のブライムストーン対戦車ミサイルを20発程度搭載し、航空基地の主要設備や中隊規模の機甲部隊を一気に制圧する運用を行うことで、オスロプロセスにより廃棄予定のクラスター爆弾を代替する構想がある。技術的な問題から実現には至っていないが、クラスター爆弾の後継という点では興味が湧く。従来の精密誘導爆弾はもちろん、射程350kmのタウラス空対艦ミサイル、射程400kmのストームシャドウ巡航ミサイルなども運用が可能だ。空対空ミサイルは、従来のミサイルに加えて、射程100kmのミーティア、射程45kmのスカイフラッシュなどを運用することが可能だ。このほか、27㍉機関砲が搭載されている。

Img_1861  日本にとって、ユーロファイターはどのような機体か。二つの重大な問題点を解決する、もしくは解決する意思があれば、極めて有用な機体である。まず、問題点に関わる前に、この機種は欧州機であり、これまでのアメリカ製の機体ではないということと、加えて、これは日米同盟が締結されて以来、欧州機が戦闘機や支援戦闘機として採用されたことはないということである。これは、日米同盟への道へ極僅かな道の変更を強いるものとなるかも知れず、この分岐点は20年後30年後に大きな影響をもたらすかもしれないということだ。それを前提として第一に、この機種は欧州機であるため、航空自衛隊のデータリンクとの相互互換性が怪しく、同様の理由から有事の際に米軍のストックを頼るという方策が難しいという点である、ただし、使用するミサイルなどは一応の互換性を備えており、米軍の運用するミサイルも搭載可能である。もうひとつは、ユーロファイターという航空機は発達途上の航空機であり、近代化改修を励行することで、将来的にも有力な抑止力となり得るのだが、近代化改修を重ねるということは、航空自衛隊や自衛隊の装備が最も苦手としている内容であるからだ、つまり、近代化改修のための予算が財務省では歓迎されないということ。

Img_1880  ユーロファイターに搭載されているECR90レーダーは、シーハリアーFA.Mk2用に開発されたブルーヴィクセンレーダーを発展させたもので、ドイツ空軍が運用するMiG-29を相手にシュミュレートした結果、良好な成果を出せたと伝えられる。ECR90は、戦闘機のような小型目標に対して185km、輸送機のような大型目標に対して370機を捕捉することが可能な性能を備えている。ECR90と火器管制装置は、同時に20目標を識別、8目標を捕捉し攻撃することが可能だ。空対地攻撃任務では、ドップラービームを絞って1㍍程度の目標を識別させる機能があり、高解像度のマッピング機能が備えられている。

Img_1775  ただし、このレーダーはアクティヴフューズドアレイレーダーではない。これは問題であるということで、第三期生産分(トランシェ3)から、アクティヴフューズドアレイ方式のAMSARレーダーが開発されている。このAMSARレーダーは、空対地任務での識別能力も、0.3㍍大のものに対応する程度に能力が向上されている。航空自衛隊がユーロファイターを導入する際には、途中からレーダーを換装するという近代化改修を前提とする必要があるのだ、比較的早い時期に。また、エンジンの出力も充分ではあるが、完ぺきではないEJ200エンジンに対して、出力を二割向上させたものが計画されており、2010年代に実用化される見通しである。

Img_1881  ユーロファイターは、米国製戦闘機と異なり、レーダーを使用しない運用を想定しているため、機体に前方赤外線監視装置(IRST)を搭載する。IRSTは、理想的な環境条件であれば距離50kmで最大200目標を識別できるというものだ。ただし、このIRSTの発達中のものであり、近代化改修を行う必要が出てくる。ユーロファイターは、F-22の防空能力に準じる制空戦闘機としての性能、F-35に求められた攻撃能力に準じた戦闘攻撃機としての性能を求めて開発されたものである。エンジン、レーダー、ともに将来的に近代化改修を盛り込めば、有用な機体なのだが、はたして日本が、これに対応しきれるか、近代化改修にも充分な予算をい配分させられる、という姿勢に財務省が転じ、防衛省もその必要性を認識し説明することが出来れば、理想的な機体である。???

Img_1908  日米同盟を考える、という視点の場合、次世代の次期戦闘機計画との関係を考えるべきだ。2001年の年末には、ベルギーのブリュッセルにて行われたイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、スウェーデンの六ヵ国国防相会談でタイフーン、ラファール、グリペンの後継機を模索する欧州技術取得計画(ETAP)を進める合意が為されており、同時にミラージュ2000、トーネードの後継機を開発する将来型攻勢用航空システム(FOAS)の共同開発を進めることが合意されている(蛇足ながら、この会議においてイギリスのBAEシステムズ社が、スウェーデンのサーブ社製グリペンの輸出に協力することが決定した)。この次世代戦闘機の開発を行う背景には、アメリカのボーイングやロッキード・マーティンに対抗し得る戦闘機を欧州共同で開発しよう、という構想とのことだ。

 仮に、欧州機を航空自衛隊が選定した場合、将来的に最も必要な性能を有する戦闘機を、共同開発により入手することができる可能性を将来に残すこととなる。F-22の導入を日本が希望した際、最高度の機密情報が日本にいつも提供されるものではない、ということが浮き彫りとなった。選択肢を残す、という意味でも、欧州機を選定することに意義はあり、続いて欧州の戦闘機共同開発計画にアクセスする選択肢を残すならば、それは日米同盟をいうものを今一度考える機会となるかもしれない。

HARUNA

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かわいそうなねこ 航空自衛隊向きの機体であったF-14トムキャット

2009-02-23 20:33:43 | 防衛・安全保障

◆2月22日はネコの日

 2月22日はネコの日、一日遅れでネコの日特集だ。ネコといえば、ワイルドキャット、ヘルキャット、そしてトムキャットなど、米海軍空母艦載機の愛称に用いられることは有名だ。本日は、F-14Dについて一つ。

Img_0938_1  アメリカ軍におけるF-14は、空軍のF-15と共に海軍の空母艦載機として、設計し得る最高の性能を盛り込んだ航空機として1970年に初飛行を遂げた航空機である。可変翼を採用し、高度な空戦機動能力を誇りつつも、同時に24目標を追尾可能で200km以内の目標を索敵可能なAN/AWG-9レーダーを搭載、長射程のAIM-54フェニックス空対空ミサイルを運用する最高の艦上戦闘機といえた。このF-14を次世代の防空任務に対応させるべく1990年に開発されたのが、F-14Dである。レーダーを新型のAN/APG-71に換装し、エンジンをPW-F-110エンジンとしたのだが、余りに高コスト背ある点と、冷戦の終結を受けて調達は少数に終わり、多用途性の高いF/A-18に取って代わられた。同世代のF-15が、F-15Eとして戦闘爆撃機にも転用され、F-15Cとして主力の制空戦闘機として運用されているのをみれば、余りにも対照的である。

Img_0963_1  しかしながら、もしかりにF-14Dの生産が継続されていれば、現在進められている航空自衛隊の次期戦闘機候補にもなり得たのかもしれない。まず、航空自衛隊が運用する場合、F-14Dは海軍機であるので、既に運用されている早期警戒機E-2Cとのデータリンクが容易である。加えて、艦隊防空任務を念頭に、要求性能が盛り込まれているので、長距離迎撃任務に向いており、例えばイギリスの次期戦闘機選定でも、この特色が注目された、しかし、コストの問題からトーネード防空型が採用されている。航空自衛隊の次期戦闘機として選定される場合には、さらにF-14Dの低い対地攻撃能力も、専守防衛の日本には利点となり得る。

Img_0944_1  もともと、F-14Aが、F-15Cとの間で、航空自衛隊の次期戦闘機選定を競った際、高コストを理由に日本での採用が見送られたということがあったが、例えば同時期、空中早期警戒機の選定でも高コストということで早期警戒管制機のE-3を断念し、早期警戒機であるE-2Cが採用されたが、後に高コストということで一度は断念した早期警戒管制機をE-767として導入しているし、現在は、高コストの代名詞のようなF-22の導入を目指して防衛省は様々な模索を続けている。もちろん、今日となっては絵空事にすぎないが、もし、F-14Dの生産基盤が今日に残されていれば、F-22の代案として、AESA(電子走査アレイ)方式のレーダーを搭載し、火器管制装置を向上させた最新鋭の“F-14J”が日本に売り込まれていたかもしれない。低空での機動性に優れるF-14であれば、例えば有視界戦闘の訓練ではF-22に対抗することも一応可能である。そういった評価を受けられる素養を備えつつも、冷戦終結の混乱と共に生産が終了したF-14は、かわいそうなねこ、ともいえよう。

HARUNA

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KC-767空中給油輸送機 待望の日本到着から一年

2009-02-22 21:47:40 | 航空自衛隊 装備名鑑

◆1131時岐阜基地到着

 本日多忙につき、コネタ。一年前、正確には2008年2月20日にKC-767空中給油輸送機が岐阜基地に到着してから、ざっと一年が経った、という記事。

Img_8911  1131時岐阜基地到着。予定通り岐阜基地に着陸するべく進入した一年前のあの日。空中給油輸送機の日本到着は、ほぼ一年遅れ、待望の到着という印象。この時点のKC-767には、到着した機体の垂直尾翼に民間機のNナンバーが記載されており、その後小牧基地に移動、飛行開発実験団のマークが書き込まれて試験が開始された。

Img_8923  そろそろ、運用試験が完了し、実任務における運用訓練に移行するとともに、部隊マークも運用部隊に移行するというところか。すると、飛行開発実験団のマークに代えて、部隊マークが垂直尾翼に書き込まれることになるので、はたしてどのような部隊マークになるのか、興味が湧くところである。

Img_9940  他方で、KC-767であるが、将来的に航空自衛隊は増備する可能性があるのか、そして何よりも現在航空自衛隊が運用している早期警戒管制機E-767と整備の互換性がある機体であるので、このもととなるボーイング767の生産ラインが維持されるのか、というところに興味の対象が移る。

Img_9944  このあたりは、アメリカのE-3やRC-135,そしてE-8の後継を一手に担うというボーイング767を基本とした次期早期警戒管制機E-10や、KC-135の後継となる次期空中給油機がKC-767となるのか、それともエアバスKC-45となるのか、興味が湧くところである。それによっては、航空自衛隊は増備を構想しても、肝心の生産ラインが閉鎖されている、ということも起こり得る訳だ。

HARUNA

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ミサイル防御装置 陸上自衛隊CH-47JA輸送ヘリコプターに搭載

2009-02-21 22:49:12 | 先端軍事テクノロジー

◆地対空ミサイル警報装置と防御装置

 先日、本当に久々に岐阜基地の日常風景を撮影する機会に恵まれた。その中で、本日は陸上自衛隊の輸送ヘリコプターについて掲載したい。

Img_9772  CH-47JA輸送ヘリコプターは、完全武装の一個小銃小隊を同時に空中機動させることができる大型ヘリコプターで、車内に高機動車を、吊下輸送で軽装甲機動車を輸送することが可能だ。この種のヘリコプターは高価であるが、広大な国土を防衛する陸上自衛隊には、世界的に見てもかなり多数の大型輸送ヘリコプターが配備されている。

Img_9793  ヘリコプター全般に言えることであるが、最大の脅威は敵性航空機と潜む高射機関砲などの対空火器である。航空機による脅威は排除が可能であるが、秘匿された対空火器は即座の排除が難しく、飛行経路にこの種の脅威がないかを綿密に情報収集し、運用する。しかし、個人で携行できる携帯地対空ミサイルは、発見が非常に難しい。

Img_9803  写真の中央に取り付けられている四角いものは、ミサイルを回避するミサイル防御用のチャフ・フレア投射装置。チャフとは、ガラス繊維にアルミをコーティングしたもので、レーダー波に反射しやすく、これを空中に拡散させることで、レーダー誘導方式のミサイル誘導を阻害する。フレアとは、強力な赤外線を放出する高熱の物体で、エンジン排気等を狙う赤外線誘導ミサイルの誘導を阻害するもの。

Img_9802  携帯式地対空ミサイルの脅威は、現在かなり広く拡散しており、ミサイルの接近を感知するミサイル警報装置と、ミサイルの誘導を阻害するミサイル防御装置の必要性は年々高まっている。なお、写真のCH-47JAには後部に“WH”という記載があったため、西部方面隊直轄の西部方面ヘリコプター隊の機体のようだ。

HARUNA

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日米同盟を考える: 航空自衛隊 次期主力戦闘機(F-X)候補 ④

2009-02-20 19:03:37 | 防衛・安全保障

◆ボーイング案:F-15FXとF/A-18E

 F-22の輸出が難しいということを受け、急浮上してきたのが、ボーイング社が製造し米空軍や米海軍に供給している機体だ。F-15Eは米空軍の戦闘爆撃機として、F/A-18Eは米海軍空母艦載機の代名詞的存在として活躍している。

Fximg_1916  F-15Eの日本輸出モデルとしてのF-15FXは、基本的にF-15Eを近代化した機体である。F-22を装備する米空軍でも、すべての機体をF-22に統合することは難しく、多くの兵装を搭載することができる在来型の戦闘機が有するポテンシャルは依然として無視できないものがある。例えば、F-22は、F-15Eの編隊を支援し、絶対航空優勢を確保し、このもとでF-15Eが必要な戦力投射任務を遂行する、という構想があるようだ。もともと、F-15Eも高い空戦能力を有しており、訓練では有視界戦闘に限ればF-22に対抗できたベテランもいるとのことだ。

Fximg_1826  F-15Eは機体寿命を長くするためにF-15Cと比べて60%ほど補強されているとのこと。また、レーダーも新型のAPG-70が搭載されており、航空自衛隊向けの機体にはAESA(電子走査アレイレーダー)方式のAPG-63V3の搭載も想定されているといわれる。AESA方式のレーダーが採用されれば、航空自衛隊の現有F-15Jの段階近代化改修計画にも搭載するという計画が現実味を帯びてくるかもしれない。特色が、エンジンで、米空軍の装備するプラント&ホイットニーF100-229か、航空自衛隊のF-2が装備するGEのF110-129,もしくはF-16の最新型が装備しているGEのF110-132を選択できるとのことだ。仮にF110-129を採用すれば、F-2との相互互換性が生まれる。

Fximg_1909  F-15Eの航続距離は、フェリー時で5900kmと長く、空中給油を受けることで延伸する。機体に密着するコンフォーマル方式燃料タンクを装着することができ、この燃料タンクにも武装を搭載することができるため、最大で19箇所のハードポイントを有し、対艦ミサイルや精密誘導爆弾の搭載も可能である。この搭載量は11トンを上回り、航空自衛隊のF-2支援戦闘機よりもかなり多くの装備を搭載することが可能だ。F-15Eは、機体重量がF-15Cよりも大きくなった分、エンジン出力を強化することで相殺しており、これは最先端の技術を積んで大型化した機体を強力なエンジンで最強レベルの格闘性能を付与させたF-15Aの設計思想を受け継ぐものである。

Fximg_1785  F/A-18Eは、今年で部隊配備から十周年を迎えた機体だ。データリンクなどの面でE-2Cとの相互互換性がいいかもしれない。他方で、E-2Cが航空自衛隊に導入された際にデータリンクで苦労したように、海軍機であるF/A-18Eにも不安は残る。

 そもそもF/A-18Eは、F/A-18が導入された際の、F-14よりも空戦能力に劣り、A-7よりも兵装搭載量が少ない、という問題点を改善した機体で、更に空気取入口などレーダー反射面積の顕著な部分を再設計し、ステルス性を付与させたのが特色だ。

Fximg_1910  F/A-18Eの兵装搭載量は、航空自衛隊のF-2の武装搭載量とほぼ同じである。空対空ミサイルに加えて、精密誘導爆弾や対艦ミサイルも搭載可能だ。主翼面積がF/A-18Cよりも25%増大、搭載燃料量が増加などを行い、その分強力なエンジンを搭載する、F-16CとF-2の関係を思い出させる機体だ。従って、機体も再設計されており、F/A-18Cと形状は非常に似ているものの、F-16とF-2がまったく別の機体であるように、F/A-18CとF/A-18Eもまったく別の機体である。

Fximg_1790  レーダーは、ブロック2生産分からAESAレーダーであるAPG-79が搭載されている。搭載エンジンはF414-GE-400で、双発機だ。このF414エンジンシリーズは、より高出力なモデルを開発するとの計画があり、一応将来への近代化改修で高性能化を目指す余地はあるようだ。

 他方で、機体を大型化させたため抵抗が増大し、飛行性能面では不利な点があるともいわれる。フェリー航続距離では4000km程度、前述のF-15Eよりも下である。

Fximg_1823  ボーイングの次期戦闘機候補は、ロッキードのF-35計画の進展による米軍航空機体系との関係を無視するべきではない。F-15EをもとにしたF-15FXであるが、これは現在国際共同開発が進められているF-35の進展により米空軍における将来が決まってくる。また、F/A-18Eにしても同様だ。即ち、この強力な戦闘爆撃機は、F-35が導入するまでの期間の繋ぎであるのか、ということだ。F-35は、4.99㌧、ステルス性を犠牲にして機外搭載を行えば最大7.7㌧の兵装を搭載することが可能である。ボーイングの生産している機体がF-35の導入により、急速に陳腐化するのであれば、近代化改修などの優先度が低下してくる可能性がある。

Fximg_1822  F-15Eは、輸出用の生産は続けられているが米空軍への納入は完了しており、これから日本が導入した場合、F-15FXは2040年代、場合によっては2050年代まで運用されることとなろう。他方で、米空軍の運用するF-15Eが退役したのちは、近代化改修を日本ですべてプログラム推進する必要がある。これは、F-4EJがF-4Eの米空軍運用終了後の状況と似ている。この際、搭載レーダーや戦闘情報システムを含め、どこまで情報が開示されるのか、そしてどのレベルまでライセンス生産が認められるか、ということが重要になってくる。他方で、航空自衛隊が導入すれば、F-4EJ改の後継とともに、F-15Jの近代化改修に対応していない初期の機体の後継機ともなり得る。すると、2050年代まで運用が続くので、毎年夏の横田基地日米フレンドシップデイでは、まだ航空自衛隊はF-15を運用しているのか!?と、米空軍のパイロットが懐かしんで集まってくるのだけは確かである。たぶん、岩国でも嘉手納でも人気だろう。

Fximg_1787  F/A-18Eは、先に述べたが、相互互換性で不安が残る。また、航続距離の点で問題があり、付け加えれば空戦機動の点でも、よい話は聞かない。もっとも、比較対象が、ハリアー以外に対抗できないとされたF-14からの機種転換組が以前の機体と比べているため、という話もあるので、なんともいえない、とは付け加えておく。ただし、米海軍で導入が続く機体であるから、前述のF-15E退役後のF-15FXのような問題は生じてこない。半ば冗談、半ば本気で書くと、F/A-18Eは、航空自衛隊で運用するとともに、海上自衛隊での運用を黙示的に将来展望に含めるのならば、有用な機体ともいえる。

Fximg_1921  少なくとも、ボーイング案のF/A-18EとF-15FXについては、即戦力となる装備である。しかしながら、F-15FXについては基本設計が古いこともあり、ベテランか新卒を採るのか、という点。F/A-18EについてはF-35と兵装搭載量が重なることから、F-35の装備化後の去就が注目される。また、航空自衛隊の次期戦闘機には間に合わないことだけは確かなのだが、F-35がいつになったら初度作戦能力を付与されるのか、ということも、本論とは直接関係ないのだが気になる点でもある。もうひとつ重要な点は、この二機種は三菱重工でのライセンス生産が認められる可能性が高いことで、日本の将来にわたる航空機生産能力の基盤を維持するためには、理想的な提案であり、稼働率を高めるための予備部品供給などにも期待がもたれる機種だ。付け加えれば、F-22よりもコスト的には優れた機体であることも確かである。もうひとつは、米軍との相互互換性も、忘れてはならない二機種のポテンシャルだ。

HARUNA

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特急はまかぜ 新型気動車でキハ181系気動車を代替へ

2009-02-19 19:14:00 | コラム

◆新型車両導入予定 日本海新聞が報じる

 2月18日付の日本海新聞によれば、山陰線と播但線の沿線自治体がJRの進める余部鉄橋の架け替え工事に伴う新型特急車両の導入と、これに伴う信号機の改修やホームのかさ上げなど周辺施設の改良へ費用分担を決定したとのこと。

Img_3112  現在、キハ181系気動車により大阪から神戸、姫路を経て豊岡、城崎温泉、余部と鳥取を結んでいる特急はまかぜ号は、余部鉄橋の架け替えとそれに伴う周辺自治体活性化による旅客需要の増加へのサービスに対応するため、新型車両に置き換えられる、というのが18日付の日本海新聞に記載されていた記事。

Img_3117  キハ181系気動車は、特急あさしお、まつかぜ、やくも等、旧海軍の艦名のような様々な列車として活躍したが、導入から既に30年以上が経過しており、今日では、はまかぜ号を最後の定期運用として今日に至っている。雷鳥の485系のように、歴史ある列車なのだが、車両の老朽化は如何ともしがたいとのこと。

Img_8937  京都から大阪、神戸を経て姫路より智頭急行が比較的新しいHOT7000系気動車による、特急スーパーはくと号を運行しており、旧式化が目立ち、速度でも限界のある、はまかぜ号に新型車両を導入することでテコ入れを行うことが今回の主眼と見られている。新型車の導入により、はまかぜ号のサービスを一新、同時に十分程度の所要時間の短縮を行うことが狙い。

Img_3122  カーブや傾斜の多い但馬の地形に適したタイプということを除けば、新型車両がどのような車両となるのかは、現在のところ未定で、気動車となるのか、ハイブリット方式の車両となるのかは、記事には記載されていない。他方、運用開始は、余部鉄橋架け替え工事の完了後に導入を目指す方針とのことで、キハ181系にもそろそろ列車としての終点が見えてきたということは、確かなことのようだ。

HARUNA

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