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JAS-39戦闘機,ウクライナも供与切望!NATO北大西洋条約機構加盟成ったスウェーデンの国産戦闘機

2024-03-09 07:01:41 | 先端軍事テクノロジー
■北欧の第4.5世代戦闘機
 F-35B戦闘機がこんなに簡単に供与されるとは思いませんでしたから十年前にはJAS-39戦闘機は日本にも飛行隊単位で南西方面に必要だと考えていました。

 NHK報道などでJAS-39戦闘機、スウェーデン製戦闘機を持ち上げる報道が増えています。それは長らく北欧の重武装中立政策を続けてきましたスウェーデンがNATO北大西洋条約機構への加盟を果たすと共に、ウクライナ政府がスウェーデン政府に武器供与を求めていたものの筆頭にスウェーデンのサーブ社製JAS-39戦闘機が必要と記されていた為です。

 JAS-39戦闘機、日本周辺ではタイ空軍が導入していましたので、東南アジアのタイはスラートタニー空軍基地の第7航空団、こどもの日に全土で航空祭が行われます、此処に行けば見れるものなのですが、流石にタイは遠く別の戦闘機でJAS-39の話題をという点はご容赦ください。NHK報道をみれば万能に見えるJAS-39戦闘機なのですが、幾つか留意点が。

 スウェーデン空軍が国土防衛のために開発したJAS-39戦闘機、JASとは戦闘と攻撃と偵察ですので一機種ですべての任務が対応できるという性能があるのですが、最大の特色は小型である為、短い滑走路で発着でき高速道路などの代替飛行場を利用できる事、そして小型である為に運用負担が小さく、3機を飛行させる整備器材はトラック3台に収まる。

 南西諸島防空に20機程度をリース取得する必要性はあると北大路機関では過去に提唱していました、なにしろ整備器材や弾薬はCH-47輸送ヘリコプター数機で運べますし地方空港などで充分運用でき、道路上でも蘊奥出来うる直線路が有る。ただ、この話題を昨今再提唱しない背景には、航空自衛隊が同様の任務に第5世代機のF-35B導入を決定した故です。

 ウクライナ空軍は開戦以来ロシア軍のミサイル攻撃から戦闘機を殆ど損耗させていませんが、これは基地のシェルターに格納するのではなく、頻繁に飛行場を変えて捕捉されないようにしているとされます、この為にJAS-39のスウェーデン防衛の為に国土の全てを基地としてでも運用を継続するという運用思想は当て嵌まるものなのですが、限界もあります。

 JAS-39戦闘機は第4.5世代戦闘機ですので、ロシアのSu-30戦闘機など第4世代戦闘機や第4.5世代戦闘機とは互角に戦う事を念頭としていますが、航空自衛隊が運用を開始しているF-35戦闘機のような第五世代戦闘機ではない為に、ステルス性など相手を圧倒できる性能は元々想定していません。そして粘り強い防空を展開できる点は特色ですが数も必要だ。

 JAS-39戦闘機、スウェーデン空軍は201機を製造しました、が冷戦終結もあり95機だけをスウェーデン空軍が運用し70機ほどを各国にリース乃至売却していて、予備役として保管しているのは20機程度です、20機では、ウクライナ空軍は大幅に増強するという表現は出来たとしてもロシア空軍を追い返すには厳しい。改良型の生産は継続されているのだが。

 滑走路以外でも運用できるという点ならば冷戦時代のジャギュア攻撃機が草地でも運用できる頑丈な降着装置を有していましたし、分散運用はハリアー攻撃機が1機1機を発着パットとともに錯綜地形に隠し分散運用する事を想定していました。ただ、同世代戦闘機と互角に張り合える性能を持つ戦闘機としては、確かにJAS-39は優れた運用性を持ちます。

 ウクライナが待望、という表現を見ますとゲームチェンジャーのようにこれが供与されれば戦況を一転できる、そんな印象をもってしまうところですが、同様にウクライナはF-16戦闘機を、ラファール戦闘機を、ミラージュ2000戦闘機、ユーロファイター戦闘機を待望としていて、第4世代以降の戦闘機ならばどんなものでも必要としているのが、実情です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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1 コメント

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Unknown (うむ)
2024-03-10 02:16:18
提供機数が20機程度と言う見込みの記事ですが、そもそも今までグリペン供与が否定されてきたのは、ロシアを刺激することへの懸念と共に、ロシアと対決する際に空軍戦力の低下が懸念されてたためとの報道があります。
今回この問題が動き始めたのは、記事にあるとおりNATO加盟が大きな要因です。
NATO各国の援助が期待できると言うことであれば、空軍戦力の一時的な欠損は問題にならないでしょうから、旧式のC/D型、E/F型に更新が予定されていたものの、予算不足により近代化改修に方針が変更されていたものの供与があり得ます。確か60~70機程度スウェーデンは保有していたと記憶しております。

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