北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】護衛艦もがみ護衛艦くまの護衛艦隊移管とイギリス海軍26型フリゲイト建造状況

2024-05-14 20:10:30 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回は護衛艦もがみ型の写真と共にアメリカの沿海域戦闘艦やイギリス海軍フリゲイト建造状況などの最新情報を纏めました。

 護衛艦もがみ護衛艦くまの掃海隊群から護衛艦隊へ移管となりました。これは3月26日に行われた部隊改編の一環として実施され、掃海隊群直轄艦であった2隻を移管したもの。第11護衛隊は二桁護衛隊と呼ばれ、護衛艦隊改編前には地方隊直轄部隊として運用されていた護衛隊を管理替えしたもの、あぶくま型、はつゆき型が配備されていた。

 もがみ型護衛艦はFFM多機能護衛艦として建造され、このMには多機能を示すとともに機雷戦という意味を有しており、護衛艦に掃海機具を搭載するオーガニック方式と呼ばれる掃海能力を有しており、この為の各種試験などを実施しているようすが確認されています。一方、掃海隊群から護衛艦隊に移管されたことについては注目すべきでしょう。

 掃海隊群は今後護衛艦部隊を配備し、2個群体制へ回帰すると国家防衛戦略及び防衛力整備計画には明示されており、今回の護衛艦隊如何は護衛艦隊部隊として一時的に移管し再移管するのか、または掃海隊群の護衛艦部隊配備そのものを見直した結果であるのかが一つの関心事でしょう。もがみ型は今後拡大改良型の建造に移行します。■

 アメリカ海軍はインディペンデンス級沿海域戦闘艦に関する契約を結びました、ジェネラルダイナミクスミッションシステムズ社との間で4月11日に結ばれた契約によれば、戦闘システムや運用システムの維持管理及び改良システム開発と船体エンジニアリングシステム適合化納入の3370万ドル固定価格契約という内容が盛り込まれている。

 インディペンデンス級沿海域戦闘艦は2000年代のテロとの戦いを念頭に40ノットを発揮可能である軽武装の多目的水上戦闘艦として設計されましたが、特徴的な三胴船設計が災いしアルミニウム合金の腐食などにも悩まされ稼働率が低下し、なにより2010年代以降の中国海軍に対する警戒監視任務ではあまりもの軽武装が問題視されていました。

 沿海域戦闘艦へは携帯式のグリフィンミサイル緊急搭載や機銃の増設などにより戦闘能力を強化し、一部の艦艇にはNSMミサイル発射能力の追加などフリゲイトと同等程度の打撃力を追加搭載していますが、2020年には初期建造艦4隻を早期退役させるなど、海軍自身が計画失敗を認めており、今回その艦種に新たなリソースが投入されています。■

 イギリス海軍の26型フリゲイト建造状況について。GCSグローバルコンバットシップ計画としてイギリス海軍が導入を進める新型艦でもともとは1990年代から三胴型の未来的な中型水上戦闘艦が構想されていましたが、2010年に従来型艦艇への一新と共に、当初満載排水量5400tと構想された船体は8000tまで大型化、二転三転した計画です。

 グラスゴー、1番艦の建造状況について。スコッツタウンのBAE社施設で建造されています1番艦は進水式を完了しており現在艤装工事が65%まで進捗しているとのこと。まもなくソナーや艦砲の搭載などの段階まで移行するとされています、そしてその次の段階で電子装備の搭載を開始する。計画では2026年にも海上公試を開始するとのこと。

 カーディフ、2番艦の建造状況について。グラスゴーに続いて建造されていますが、まだ船体部分は船台上に置かれた状態で艤装工事を進めている段階、進水式は2024年末ごろを計画しているとのこと。内部の戦闘システム関連の配線や電子機器の搭載などが進められているとされ、就役まではさらに数年を要することとなるでしょう。■

 イギリス海軍の26型フリゲイト建造概況について。3番艦ベルファストはブロック工法での建造段階であり未だブロックは接合されていません、現在は4個のブロックにわかれておりこのうち1ブロックは接合段階前の建造段階だ。なお、ベルファストはBAE社の新しい屋内艤装施設で建造され、天候の影響を受けにくくなると期待されます。

 バーミンガム、4番艦については起工式を終えている段階で5番艦については起工していません、ただ、建造を早めるべくBAE社は下請け企業としてタイン社とキャメルレアード社に分散してブロック建造を進めており、これによりある程度の工期短縮が期待されるとのこと。ただ、2025年までに開始のブロック結合が巧く行くかが関心事という。

 26型フリゲイトそのものは、置き換える事となる旧型の23型フリゲイトよりも排水量でほぼ倍増しているのに対し、省力化を進め乗員は二割近く少ない157名とし、シーセプターミサイルの搭載など僚艦防空能力を付与、更に航続距離も巡航速度で7000浬と大幅に延伸していますが、イギリス議会では、建造に時間がかかりすぎると批判もあります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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US-2救難飛行艇生産継続にはCS-2輸送飛行艇が必要だ!アメリカMC-130J水上飛行機開発停止(榛名防衛備忘録)

2024-05-14 07:00:55 | 先端軍事テクノロジー
榛名防衛備忘録
 飛行艇の国産製造基盤が危機に曝されていますが解決策には需要を増やさなければなりません。

 US-2後継のUS-3よりも必要なのはCS-2か。CS-2と書きますとなにか中国のミサイルのような文字の並びとなってしまいますが、US-2飛行艇の生産が危機的な状況となっていますのは報道ではNHKから民放まで示されているとおりです。その背景には飛行艇は必要な航空機だけれども膨大な数が必要なく官需だけでは成り立たないということ。

 US-3という、現在日本で調達可能なメーカーの部品だけで製造できるような航空機が必要だ、とは過去に提案しまして、なにより現在は5年間で1機売れるかどうか、こういう状況では産業として成り立たないためでたとえば2年間で3機ていど、最低でも毎年1機の需要があれば産業としては存続し得るのですが、それさえないという実状で。

 CS-2、そこで必要性という視点から無理に救難飛行艇を増やすのではなく、救難飛行艇以外の選択肢を考えますと輸送型の飛行艇という選択肢が浮かびます、なにしろ輸送飛行艇というのは川西飛行機時代に二式大型飛行艇の派生型としても検討されていたほどなのですが、アメリカも最近までC-130Jを水上飛行機に改造しようとしていた。

 MC-130J水上飛行機、自衛隊も採用しているC-130シリーズの中で最新型にロッキードマーティンがC-130Jを製造し、その特殊部隊支援仕様の機体でMC-130Jというのがありますが、アメリカはこれにフロートをとりつけて水上飛行機にしようとしていた、その任務はインド太平洋地域での飛行場のない離島への輸送任務ということですが。

 C-130Jに巨大なフロートを二つつける、結論からいいますとこれ、先月正式に中止が決定しました、理由は予算不足という。ただ、この提案を観ますとUS-2でも良いのではないか、とおもいたくなります。アメリカは離島にミサイルの予備弾薬などをMC-130で運び込みたかったというので、ミサイルならばUS-2の主翼に取り付けて運べる。

 ボーイング747などが予備のエンジンを空輸するさいに主翼に取り付けて四発ではなく六発機のような外見で輸送する様子とか、XP-7エンジンの試験を行ったC-1FTBが三発機のような外見で飛行したのとおなじような輸送方法なのですが、胴体側面を含めればSSMならば10発程度、大型のミサイルでも4発はそのまま輸送できる冗長性はある。

 US-2は、しかし最大の特色が波浪3mでも離着水できるという点で、アメリカの離島に運びたいという能力ならば波浪1.5m程度でも十分でありUS-2の発着能力は過大となる、一方でC-130とくらべれば胴体の収容力もハッチの一からも主翼につり下げられない装備の輸送能力という点からは、今度は過小になってしまう、US-2は隔靴掻痒だ。

 CS-2が必要だ、と書いたのは自衛隊も島嶼部防衛を考えるならば、外洋離着水能力はなくとも漁港にそのまま乗り入れられる輸送用飛行艇があれば、本土の補給処から弾薬を迅速に輸送できますし、日米共同運用ということを考えても良い、主翼とエンジンはなにしろC-130Hと同じ推力があるために胴体を再設計し輸送型とできればよい。

 US-2だけが必要なのか、と問われれば日本では飛行艇そのものが必要であって、しかし外洋に離着水できる飛行艇はUS-2くらいしかない、中国のAG-5000なども開発されているが自衛隊が購入できないのと、やはりSTOL性能が低く波浪がたかい海域では使えない。すると先ず、つかえる分野で飛行艇をそろえてゆくことが重要だと思うのです。

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