北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

憲法記念日二〇二四(3),本土決戦主義旧防衛政策と危惧される世代交代の平和趣味巡る世論分断

2024-05-05 20:12:55 | 北大路機関特別企画
■七七年間の日本国憲法
 専守防衛を厳正に解釈しますと本土決戦等着上陸を待ってからしか防衛戦闘が行えないという憲法上の制約が少なくとも二〇二二年まではありました。

 本土決戦主義、と揶揄され批判こそあり、批判の中には特にシーレーン防衛というような日本国家の存続を考えた場合に、本土だけ無事であっても国家が機能しない状況というものが当然あり得る、という批判もあれば、憲法改正にも本土決戦にもハンタイという、日本そのものにハンタイする声もあるほどで複雑でしたが。この矛盾点の議論は薄いのです。

 ソ連核実験前に制定された憲法、という視点は既に記しましたが、その後のソ連核実験や朝鮮戦争といった転換点を前にした場合でも憲法の冗長性は、若干傍目には無理があるのではないかという視座であっても自衛隊の創設と日米安全保障条約締結により、憲法の範囲内である故の国会での立法により正統性を得ました。立法府は国権の最高機関である。

 統治行為論、日本に憲法裁判所を、という声は日本維新の会などの声はありますが、憲法裁判所が設置されているフランスなどの事例をみますと軍事など安全保障にかんする訴訟は基本的に統治行為論、政治問題とされるゆえに受理さえされないという実状があります、これゆえに統治行為論、政治の問題は司法府が管轄外としている実情があるのですね。

 77年間の日本国憲法、冗長性の枠内として現代の安全保障を是認するのか、それとも改正の手続き、何しろ一応日本国憲法は大日本帝国憲法から改正されて誕生したという議会手続き上の事実があるのだから、戻すとまでは行かずとも、改正を真剣に考えるのかについては一応の議論の余地があるようにも思うのですけれども。そして77年という期間は。

 軍事技術について、ともあれ冗長性により解釈をかえるという手法を用いて憲法の枠を越えることなく超えた構図が現在の防衛にはあるのですが、2022年国家防衛戦略による反撃能力整備、これは1947年当時には想定されなかった戦術ミサイルの射程延伸、接近拒否領域阻止の具現化のために膨大なミサイルが日本を射程に収めたという情勢の変化ゆえ。

 マルチドメインドクトリンと接近拒否領域拒否、要するに中部太平洋と中国大陸を挟んだミサイル戦が、最後の手段ではなく恐らく最初の第一撃となるであろうアメリカと中国のインド太平洋を巡る緊張関係を前に、日本を移動させるでもできない限り、現状のままの防衛政策では無理がある、ということは少なくとも現状を分析し知っておくべきなのか。

 軍事技術が脅威として顕在化しているもので、この脅威を実定法ではない憲法に求められるのか。さて、こうした状況を背景に痛感するのは手段としての平和主義か結果としての平和を求めるのか、憲法は国民に平和を強いるのか、平和を約束するのか、という憲法における平和の位置づけというものへの問いです。これは世代交代を考えるとより難しい。

 移民に日本は排他的過ぎる、とはバイデン大統領がこのGW期間中に発言し物議を醸したところですが、もう一つ、云わずとも空気を読め、ではありませんが、過去の戦争の反省、というものを、戦争での従軍経験のある方が多く旅立たれた今日、過去の戦争というとそもそも今の世代の方に、原罪のようなキリスト教じゃああるまいし、共有できるのかと。

 移民の方にとっては、そもそも日本で第二次大戦を経験した訳でもなく、逆に日本に侵略された経験を持つ国からの移民さえある中で、日本人になったのだから反省しろ、そしてその為に侵略されても無防備で蹂躙され奪われ犯されることさえ受容れろ、というのは流石に無理があり過ぎます、そして国家が国民を守らない事こそ、異常と映るでしょう。

 イギリスへの移民の方の発言、この世代や出身の多様化というものを痛感したのは、昨今の新興移民の方がBBCなどの取材に応じた発言の中に、チャールズ三世国王の為には死ねない、という発言が在った為でして、要するに平和の強制というような手段を用いた場合、今後日本は世論の分断を引き起すのではないか、という危惧があるのですよね。

 世論分断というものは、アメリカを見る通り難しいといいますか恐ろしいものが有ります。これはアメリカの場合は人種的な伝統と云える分断とともに昨今は陰謀論による世論分断があり、ここにフェイクニュース、その流布には第三国の政治的意図が、認知戦というかたちで介在している分析もあるのですが、これにより分断の溝が拡大しているという。

 原罪のような平和の強要というものには絶対反対で、それは世代交代や、その受け取る世代や所属とともに受け止め方が違う事から一種の差別や世論の分断というものを生み得る事となります、すると敗北と荒廃からの平和主義というものは本来平和創造が目的であり平和趣味のような安全保障への無関心とは真逆のものといえるのではないでしょうか。

 手段としての平和主義というのは、結果が戦争であっても戦争を防ぐための努力に平和的ではない予防外交などは許さないので、結果が戦争であったとしても失われる人命や財産は国民全体で哀悼し受け入れようというもの、現行憲法を厳粛に解釈しますとこのような、国民の犠牲というものの強要にちかいこととなってしまう。少なくともこれが現実です。

 結果としての平和を希求するならば、すると九条二項をどう解釈するのか、憲法上、私兵を認めているわけでもなく、すると憲法上の軍隊でなければ際限ない武装と運用が可能、と考えることとなるのですが、それはそれで憲法を冗長性という一文だけで乗り越えるには限界がないかということなのですが、ここまで議論が進まず、なし崩し的な今がある。

 解釈改憲、こう揶揄され政治用語とまでなっています現行憲法ですが、その上限があるのか、ないのか、そして周辺では北朝鮮核武装とロシアウクライナ戦争、台湾海峡の問題をまえに、どこまで日本としての平和主義を維持することができるのか、手段としての平和主義の継続に関するコストというもの直視しているのか、という視点も必要なのですね。

 平和のコストというのは、手段としての平和主義、つまり戦時に国家が軍事力により国民を守る事に制限を、憲法を厳正に解釈するならば制限どころか被害を被る際に国家は憐憫の言葉を示す以外には何もできない、こうなる為、コストを支払うのは国民自身が家屋を爆撃により破壊され人命を蹂躙されて財産を失うこと、このコストを容認しろ、という。

 ただ、今後日本が大きく移民を受け入れる余地、若しくは太平洋戦争の記憶を共有できる世代からの世代交代へ向かう現実を正面から受け止めるならば、この条文で大丈夫なのか、若しくは有事の際に憲法上国家が国民を守れないならば私兵など武装の自由を認めるか難からの代替手段が無ければそれは国家ではない、という批判が生じるのは必至ではないか。

 統治行為論という選択肢がある以上、改憲が絶対に必要であるとは考えないものの平和というものを結果ではなく手段としてしか認めない平和趣味のような政策では、下手をすると世論の分断を生んでしまう、それは結果的に平和主義というものを共有する事は出来ない。そして太平洋戦争敗戦から79年、過去の戦争価値観共有は物理的に難しいのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都北野,雲丹とパスタは意外に合うのだと知る北野天満宮前

2024-05-05 14:41:51 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 北野天満宮前のパスタ屋さんシリーズというわけではないのですが先日探訪しましたお店とは今出川通りの向かい側のところ。

 舞鶴の鉄道模型を通じた知人で駅に近い便利な立地なのだけれども毎回京都府北部で大雨洪水警報が発令されると最初に避難準備情報が出ます一角にお住まいの方が居まして、いや京都府北部豪雨でも浸水はしなかった立地なのですが不安に思う事があります。

 京都市の紙屋川、そしてここも京都市内では大雨の際に真っ先に避難準備情報が発令される河川なのですけれど、ここの今出川通り沿いに、広くはないのだけれども文字通りの隠れ家的なパスタ屋さんがあります、前菜からビーフシチューを着けて中々豪勢という。

 パスタは限られた厨房で調理しています故に時間がかかります、ということなのですけれども前菜がスープにオプションでビーフシチューを点けまして、しかもやわらかいバケットとともにゆったりを過ごせるような内容でして、見える厨房を傍目に野菜も愉しもう。

 ワイン、そうゆったり過ごすにはお休みだしもう正午すぎているしでワインを前菜と共に楽しんでもいいよねえ。昭和風情のビルの一角に複雑な店内の奥まったカウンター上、ワインとスープと、そして、文庫本でも出しましたらもう待ち時間なんて気になりません。

 北野天満宮の近く、と言っては判り難いならば天一北野白梅町店、あの十円玉浮きそうなスープのラーメン屋さんの隣にある、と説明した方が分りやすいでしょうか、ワイングラスを傾けて、パスタをゆでる際のタイマーをカウントダウンのように眺めつつのひととき。

 雲丹パスタ、予想より早かった。そう、タイマー見ていたんですがそのタイマーで時間を計りつつ茹でていましたパスタは別にこちらが注文したものではなく、そうそうだ前菜未だ半分以上残っている状態でパスタ来ちゃった、パスタさめちゃった、だけは避けたい。

 パスタと雲丹、十年前ならば雲丹は生でお醤油とかとともに冷酒かお寿司でと避けていたのかもしれませんが、ファミリーレストランで、ガールズ&パンツァーコラボかラブライブコラボかのメニューとして頂いた際の雲丹パスタで、その美味しさを知る事となりまして。

 滋味が濃厚、乳白のような海産物、パスタの食感を邪魔しないが香と味わいでは他とは異なる個性が美味しさを強調してくれる、この濃厚さと美味しさ、おとなりさんといいますかあの十円玉浮きそうなスープのラーメン屋さんの特濃ラーメンスープにも負けません。

 オクラのような小さな刻んだものでも主張するところが凄いのだなあ、と思ったりするような、不思議な隠し味のような野菜とともにパスタを頂いているのもなかなかに愉しいのですね。ああ、でもオクラやパプリカでアレルギー出るひとは注意が必要ですけれどね。

 雲丹と香味野菜の愛称も考えられた先にあるものでして、けれどもパスタを雲丹に上手く絡ませる事が美味さへの要諦ですので、フォークでくるりくるりと巻き上げつつ載せる様に雲丹を、そして葱はじめ香味野菜も添える食感とともにお口へ運んで堪能しよう。

 紙屋川、天神川、川幅が狭い割には山側に降った降雨が素早く流れ込むところですので不安ではあるのですが、考えてみると北野天満宮がそう簡単に浸水被害に遭うと云う話は聞かないものですしと思い直しました。ここは紙屋café、今出川通り沿いの天一の隣です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-北大路,ホットドックとアイスコーヒーはどの季節でも相棒だ

2024-05-05 07:01:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 ラーメンください!ホットで、とラーメン屋さんで注文しましたら度肝を抜かれる方が多いかもしれませんが喫茶店でコーヒー下さいアイスで、というのは割と普通だ。

 北大路機関、という訳だからという訳ではないのですが北大路駅前でふと思ったのは北大路駅の前には幾つも喫茶店があるのですけれども、お隣の鞍馬口駅前となりますと折角の駅前だというのに、駅前喫茶店というものがないのだ、ということです。スーパーはある。

 伊藤珈琲、北大路駅からビブレ、。。。。と何度もいってしまうが今はイオン、北大路から北大路通りを鴨川の方へ信号ひとついった場所に、美味しいコーヒーと朝には軽食を愉しめるお店が有りまして、朝食にホットドックとコーヒーのセットをひとつ注文してみました。

 ホットドックもそれこそ主食の大きなホットドックというのもいいものですけれど、喫茶店の主役は珈琲ですのでその薫り高い湯気を邪魔しない様にハーフで分けられている、いわば喫茶店式のホットドックというのも、ちょっと小腹を、という時にはなかなか合う。

 アイスコーヒーでは香り立つ湯気は無いのではないか、と思われるかもしれませんが、じっさい湯気は無い、けれども猫舌といいますが熱いのが苦手ですので、真冬にテイクアウトして外で頂く場合を除けば、わたしはいつもアイスコーヒー、少なくとも店内では、ね。

 珈琲は珈琲、アイスでもホットでも。ラーメンくださいホットで、というのはアニメ“きんきろモザイク”での有名な言葉ですが、アイスラーメンは山形県など一部でしか通らないけれども、アイスコーヒーは冬に飲むというのも普通、そして一杯をゆったりと愉しむ。

 季節によってはというよりも、確かに暑い日でもホットで頂きたくなるお店はあるのですが、休憩に頂くアイスコーヒーと氷の溶け具合とともに時間の移ろいを愉しむ、そういう意味で珈琲は特別な飲み物でありまた一日の活力の清涼剤ともなってくれる、そうおもう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする