北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ウクライナ情勢-スウェーデン政府,S-100Bアーガス/サーブ340AEW早期警戒機をウクライナへ供与表明

2024-06-07 07:00:14 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 早期警戒機、それは日本も導入した際に航空防衛能力を根本から強化する事が実現した装備でしたが。

 スウェーデン政府はウクライナ軍事支援の一環としてサーブ340AEW早期警戒機の供与を発表しました。ウクライナ軍事支援の焦点としてF-16戦闘機供与の開始が航空優勢確保を左右するとして切望されていますが、早期警戒機の供与はこれまで具体的な動きが無かったために、警戒管制を一気に前進させる転換点となる可能性があります。

 サーブ340AEW早期警戒機はスウェーデン空軍での正式名称はS-100Bアーガス早期警戒機、1994年に初飛行した早期警戒機でカヌー型アンテナを中心としたEMB-145エリアイ空中警戒システムを搭載、これは左右120度にわたり走査可能で高度6100mで飛行した場合は400km先の船舶や航空機を追尾することが可能です。

 早期警戒機としては5時間にわたる飛行が可能で、これは空母艦載機であるE-2C早期警戒機の4時間を上回るものですが、機体規模が小さいために交代要員待機区画が無く、通常陸上基地を起点とする早期警戒機は軒並み10時間以上の飛行が可能です。スウェーデン空軍には2機が装備されており、今回その2機が供与されます。■

 ウクライナ軍がS-100Bアーガス早期警戒機を配備する意味について。早期警戒機は日本も1976年のMiG25函館亡命事件を受け低空飛行する航空目標を迅速に探知するべくE-2C早期警戒機を13機導入することとなりました。S-100Bアーガス早期警戒機の配備により低空目標探知能力は勿論、防空作戦全般が大きく向上することが期待される。

 しかし、S-100Bアーガス早期警戒機を導入するにあたって、ウクライナ空軍は早期警戒機オペレーターを要請しているのかという疑問符があります、無論既にスウェーデンで秘密裏に実施しているならば話は別ですがそうした報道はなく、実際に供与され防空システムの一端を担うまでには訓練時間がかかる可能性があるのです。

 S-100Bアーガス早期警戒機は、もう一つ、供与開始が期待されるF-16戦闘機とデータリンクは可能なのかという問題があります。エリアイ早期警戒システムを導入したのはNATO加盟国ではギリシャのみ、スウェーデンがウクライナより供与を切望されているJAS-39戦闘機ならば別なのでしょうが、連接性の多寡が気になるところでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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ウクライナ情勢-ウクライナ軍はクリミア半島のロシア軍基地をATACMSで攻撃

2024-06-06 07:00:44 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 本日はDデイことノルマンディ上陸から80年を迎える日ですがウクライナ情報で前に掲載していない部内研究が有りましたので掲載します。

 ウクライナ軍はクリミア半島のロシア軍基地をATACMSで攻撃しました、これはISWアメリカ戦争研究所が5月19日に戦況報告として発表したもので、18日から19日にかけ実施されたとのことでセヴァストポリ軍港とベルベク飛行場を攻撃したという。ただ、ロシア側はATACMSを10発以上撃墜に成功したとしています。そしてもうひとつ。

 レニングラード州、最前線から大きく離れたレニングラード州のヴィボルグ石油備蓄基地において複数の石油タンクが爆発したとロシア側報道があり、破壊工作か無人機攻撃が行われたとしています。ただ、レニングラード州のドロズデンコ知事はこの報道を否定し、石油タンク炎上は花火による火遊びが原因であったと主張しています。■

 ウクライナ軍攻撃成功の背景には早期警戒機撃墜が背景にある、イギリス国防省5月18日付ウクライナ戦況報告により分析結果が示されました。ATACMS陸軍戦術ミサイルシステムによるクリミア半島攻撃、ウクライナ軍が複数のA-50早期警戒機撃墜に成功していることで、クリミア半島上空でのロシア軍防空管制に大きな空隙が発生した。

 ロシア空軍は戦闘機の空中戦闘哨戒をおこなうことでクリミア半島上空の防空警戒を維持しようとしていますが、これにより戦闘機の出撃回数が増大しており、飛行時間増大に見合った戦闘機稼働率維持が深刻化している可能性をイギリス国防省は指摘しています。この状況継続はクリミア半島飛行場使用の可否に繋がる可能性もあります。■

 ヴォフチャンスクでの戦闘についてISWアメリカ戦争研究所は5月19日付戦況報告において、ロシア軍はハハリナ通りの橋梁付近まで前進しているとしています。この橋梁はヴォフチャ川にかかるもので、橋梁は既に破壊されていますがロシア軍はその南岸まで進出しているとのこと。渡河準備などにかんする現状の詳細は不明とのこと。

 チャシブヤールでの戦闘の状況については、ロシア軍はミクロレオン運河に沿って攻撃軸を展開しているとのことで、これはチャシブヤール東端からの浸透を試みているとのこと。ミクロレオン運河沿いの攻撃は機械化部隊により複数回繰り返されているという。一方、ロシア軍はドネツク近郊のパラスコヴィフカでも前進を継続している。

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イタリア海軍空母カブール-日本に向け出航,オーストラリアなどと共同訓練経て八月下旬日本寄港

2024-06-02 07:01:44 | 防衛・安全保障
■空母カブール日本へ
 カブールの日本派遣は2023年にも計画されていましたが遂にこの2024年に実現する事となりました。

 イタリア海軍は空母カブールの極東派遣に向け出航しました。6月1日に出航したカブールはオーストラリア海軍など友好国との親善訓練を経て八月下旬に日本へ到着する見込みとの事です。イタリア軍との共同訓練は、2023年にF-35戦闘機などを小松基地まで派遣、この際に台風接近と重なりなかなか日本へ到着できなかった事が記憶に新しいもの。

 空母カブールはイタリア海軍が空母ジュゼッペガリバルディにつづいて建造した航空母艦で、建造当時の国内法から固定翼航空機搭載に制約を受けて設計されたジュゼッペガリバルディとは対照的に最初から固定翼航空機搭載を念頭に設計されたのが特色で、満載排水量は28000tとヘリコプター搭載護衛艦いずも満載排水量の27000tより若干大きい。

 カブールは固定翼艦載機としてハリアー攻撃機とF-35B戦闘機を搭載していまして、イタリア海軍はカブール艦載機としてF-35B戦闘機15機を導入しています。海上自衛隊は航空自衛隊が間もなく導入を開始するF-35B戦闘機の艦上運用を開始する計画であり、いずも型と同程度の大きさでもある事から共同訓練は意義あるものとなるでしょう。

 日本とイタリアの防衛協力強化について。遠い欧州と日本との防衛協力は一見儀礼的なものでしかないようにおもえるかもしれませんが、欧州は現在、中国の不透明な防衛力強化と欧州地域に密接に関係するアフリカ地域への影響度を増している事への警戒感があり、欧州に直接影響が及ぶ前にインド太平洋情勢へ関与するべきという動きがあります。

 イギリス海軍が空母クイーンエリザベスを日本へ派遣した2021年の長期航海は記憶に当ら誌ですが、イギリス政府は2025年にも再度今度は空母プリンスオブウェールズを派遣すると発表し、また日本への哨戒艦派遣を恒常化していますし、イタリア海軍は昨年既に哨戒艦を派遣しています。またドイツ海軍は2022年に続き再度フリゲイトを派遣するという。

 イタリアと日本の防衛協力はこの他、日本とイギリスが進めている次世代戦闘機開発へイタリアが参加を発表しており、この三カ国は広大な日本列島や地中海を超えたアフリカ地域での航空作戦を想定するイタリアと北大西洋の防空を想定するイギリスという航続距離の大きな航空機を必要とする点で一致していて、この点でも防衛協力が強化されています。

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ウクライナ情勢-新しい焦点"ヴォフチャンスク"とチャシブヤール周辺最新情勢,ノヴィミクライオン防衛戦

2024-05-27 07:00:19 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 130機のF-16があればロシア空軍に対抗出来るという言葉は局地的な校区優勢確保に関する一つの視点を示しているのでしょうか。

 ハリコフ州でのロシア軍攻撃の概況について、ISWアメリカ戦争研究所は5月18日発表の戦況報告において、ヴォフチャンスク占領が第一目標であると分析していますが、同時にロシア軍侵攻がヴォフチャンスク占領だけで一段落するのか、ヴォフチャンスクを攻撃起点として更なるハリコフ州侵攻を目指すのかは判断が分かれる、と。

 緩衝地帯確保が目的とISWはロシア軍ハリコフ州侵攻の目的を分析していますが、一方でISWはヴォフチャンスクがロシア国境に近いことからウクライナ第二の都市であるハリコフ市など、ハリコフ州深部への更なる攻撃の起点として最適な位置にあるため、ハリコフ市を砲撃可能という距離まで侵攻が続く可能性もあると分析しました。

 防空システム不足がハリコフ州での苦戦の背景にある、これはISWがゼレンスキー大統領の発言を紹介しており、ハリコフ防衛に必要な防空システムは25%しか無い状況で、大至急ペトリオットミサイルシステム2セットが必要であり、またウクライナ空軍がロシア空軍に対抗するには130機程度のF-16戦闘機が必要であるともしています。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 東部戦線全般の情報を纏めてみましたが戦車の重要性を痛感するところでして本邦の戦車に関連する施策についてももう少しその強化を考えて欲しい。

 チャシブヤール周辺の最新情勢について、ISWアメリカ戦争研究所は5月18日付戦況報告で最新の情報をまとめています。全般状況としてロシア軍はアイディイフカ近郊のヤスノブロディフカとロボティネ北部において前進しているとのことですが、ウクライナ軍はチャシブヤール東部のノヴィミクライオン方面でロシア軍を阻止しました。

 ノヴィミクライオンでの防衛戦は17日に大規模な戦闘が発生しており、ロシア軍は戦車2両を先頭とした装甲車21両による攻撃を実施しウクライナ軍防衛線に阻まれており、続く18日にも小隊規模の機械化部隊攻撃がおこなわれたもののこれも阻止に成功したとのこと。チャシブヤールでは最近、部隊の移動がおこなわれたばかり。

 チャシブヤールは最近、ハリコフ州ヴォフチャンスク防衛強化のためにウクライナ軍部隊の一部が抽出され転用されていて、ロシア軍はチャシブヤール地域の空隙が埋められる前に攻撃を加えたとISWは分析していまして、現在ロシア軍はチャシブヤール攻撃にまだ攻撃衝力が残っているとしてさらなる前進の可能性を指摘しています。

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ウクライナ情勢-ハリコフ州攻撃は部隊交代時機狙い,ロシア軍電子妨害と反撃のベルベク飛行場攻撃

2024-05-26 07:00:21 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ウクライナでの電子戦にかんする情報です。自衛隊が今後想定する無人航空機や野外通信と電子戦の影響というものは戦訓として非常に重要な意味を持つものです。

 ロシア軍の電子妨害によりドローンが飛行不能となった、ISWアメリカ戦争研究所は5月17日付ウクライナ戦況報告においてその状況を説明しています。これは17日にワシントンポストが報じたもので、具体的には5月10日のハリコフ再侵攻に際して電子妨害が広範にかけており、ドローンが飛行不能になっていたとのこと。

 ドローン飛行不能とともに、ウクライナ軍が通信を依存するスターリンク衛星通信についても使用不能になっていたと前線部隊指揮官の発言をワシントンポストが報じています。他方、ウクライナ軍は16日から17日にかけクラスノダールへの無人機攻撃を実施、クリミア半島のエネルギー施設や海軍基地へ攻撃を行い成功しました。
■ハリコフ州攻撃
 自衛隊が部隊行動秘匿をかなり重視している事はこういう戦訓一つとって非常にわかりやすいことなのですが。

 ロシア軍のハリコフ州攻撃は部隊交代の時機を狙ったものだ、ISWアメリカ戦争研究所5月17日付ウクライナ戦況報告では今回のハリコフ攻撃についてウクライナ陸軍のシルスキー司令官の見解を紹介しています。この攻撃はレニングラード軍管区の第11軍団、第44軍団が主導したもので、ウクライナ軍は虚をつかれた構図といえます。

 ウクライナ軍はこのロシア軍侵攻の時点でハリコフ州北部を防衛する部隊の交代を準備しておりその瞬間が狙われたとのこと。また今年失陥したアウディイフカについてもウクライナ軍部隊交代の瞬間に攻撃を受けウクライナ軍が後退を強いられており、部隊交代の情報秘匿に関する難しさなどを端的に示しているといえるでしょう。
■ベルベク飛行場攻撃
 ATACMSの威力だ。

 ウクライナ軍が実施したベルベク飛行場攻撃の戦果についてイギリス国防省は5月18日付の戦況報告で詳細をしめしています。クリミア半島のベルベク飛行場攻撃はその第一報でS-400防空ミサイルシステムのレーダーシステムとミサイル発射装置が破壊され、MiG-31BM戦闘機2機が地上で破壊されたという付帯情報も続報されました。

 クリミア半島でのウクライナ軍攻撃はこの一ヶ月で4回にわたり成功しており、5月12日にはレーダーサイトが破壊、4月16日と4月29日にはジャンコイ飛行場攻撃に成功したとしています。ロシア軍は相次ぐ攻撃から戦闘機分散を進めていますが、分散するほど防空システムの数が必要となり、その確保ができなければ戦闘機損失が増す。

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ウクライナ情勢-ロシア占領下のクリミア半島ベルベク飛行場をATACMS攻撃

2024-05-21 07:01:45 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 いまやクリミア半島はATACMSによる狩場となっている印象があるのですね。

 ウクライナ軍は14日から15日にかけクリミア半島をATACMSで叩いたとのこと。これはISWアメリカ戦争研究所ウクライナ戦況報告5月15日付発表として示したもので、ATACMSは陸軍戦術ミサイルシステム、MLRS多連装ロケットシステムやHIMARS高機動ロケットシステムにより投射可能で、長射程型がウクライナへ供与開始されています。

 クリミア半島のベルベク飛行場が攻撃されたとのことで、ISWはウクライナジャーナリストであるブトゥソフ氏の報じた内容を紹介、これによればMiG-31戦闘機と2基の防空レーダーシステムを破壊しSu-27戦闘機3機を損傷させたとしています。なおこの攻撃についてロシア国防省は逆にATACMSを10発撃墜に成功したと主張しました。■

 ロシア軍はハリコフ侵攻により大きな損害を被った、ISWアメリカ戦争研究所5月16日付戦況報告がその概況をまとめました。これはウクライナ軍軍事顧問であるマショヴィッツ氏の発言によるもので、16日の段階でレニングラード軍管区の第17自動車化狙撃連隊と第18自動車化狙撃連隊がリプシで大損害を受けているとしています。

 ヴォフチャンスク近郊では第2自動車化狙撃師団の第1戦車連隊と第1親衛戦車軍の第47戦車師団が攻撃を行っているものの進捗状況に問題が生じていて、ISWはこの背景の可能性として、ロシア軍は攻撃準備が整う前の定数われの状態で進発を開始した可能性を指摘しています。このため作戦達成には兵力不足の可能性があるとしました。■

 ウクライナは最優先事項として地対空ミサイルを必要としている、イギリス王立サービス研究所の14日報告をISWアメリカ戦争研究所が16日付報告として紹介しました。これによれば、ロシア軍無人機はハリコフ州だけでなく州都ハリコフ市上空にまで到達しており、ロシア軍の砲兵や無人機、航空攻撃に自由をあたえているとのこと。

 ロシア軍はハリコフ州北部に滑空爆弾による攻撃を加えており、これらの打撃力がロシア軍に前進を許していると分析、これをウクライナ軍が阻止するためには欧米諸国から供給される地対空ミサイルが必要としています。なお、これとは別に電力インフラ支援へポーランドとルーマニア、スロバキアがウクライナへ電力供給を開始しました。


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ウクライナ情勢-ハリコフ再侵攻ロシア軍前進速度大幅鈍化,ハリコフ市目指さすインフラ破壊

2024-05-20 07:01:45 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 今回はウクライナ軍の防空リソース枯渇が叩かれた要因となっていて今後の各国防空装備支援強化が求められるとともに、自衛隊の防空や戦闘機などの施策にも一つの参考例となる。

 東部戦線の全般概況について、ISWアメリカ戦争研究所が5月13日に公表した戦況分析によれば、ハリコフ州に侵攻したロシア軍はリプシとヴォフチャンスクで前進、対してロシア軍が前日まで攻勢を強めていたチャシブヤールではウクライナ軍が防衛線構築に成功、チャシブヤール北東においてロシア軍から陣地奪還に成功したもよう。

 チャシブヤールでの戦闘とともにフリボケでの戦闘ではロシア軍が中心部にロシア国旗を掲げたものの、村の一部ではウクライナ軍が陣地を維持し戦闘を続けている。ルキャンツイやオリインコヴェなどリプシ村周辺での戦闘も激化しており、ウクライナ軍参謀本部はロシア軍がこの方面において戦術的成功を収めたことをみとめました。

 ヴォフチャンスクでの戦闘ではロシア軍が複数の橋梁を組織的に破壊していることが確認されていて、ヴォフチャンスクでのロシア軍の前進は、掃討などをおこなわずにそのままウクライナ軍抵抗拠点のうち迂回できるところは迂回し橋梁破壊をおこなっていることから、ISWが当初分析した”緩衝地帯”確保の動きの現れと分析しています。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ゼレンスキー大統領は再度の大規模攻撃の懸念を表明しているところですが。しかし大規模な国境要塞を建築できないことが弱点というウクライナの状況は自衛隊にも当てはまり機械化部隊の再編などが必要となるよう思える。

 ハリコフ周辺でのロシア軍攻撃速度が低下している、これはISWアメリカ戦争研究所が5月14日の戦況報告として示したもので、過去24時間におけるロシア軍の攻撃速度が鈍化していると情勢変化を報告しています。この鈍化傾向をうけ、ISWはロシア軍の攻撃がハリコフ州での緩衝地帯構築が目的であった証左としています。

 ウクライナ軍の防衛戦闘について、ウクライナ軍事情報総局長ブダノフ中将が14日に説明したところによれば、13日から14日にかけて安定し始めているとのこと。更にハリコフ州へのウクライナ軍増援部隊も到着し始めており、第一段階としてウクライナ軍はヴォフチャンスクのロシア軍部隊への掃討作戦を開始しているとしました。

 ロシア軍はかなりの損害を被っており攻撃の鈍化は損害によるものだ、とはウクライナ軍顧問のマショヴェッツ氏の発言で、この点についてはウクライナ軍参謀総長バルヒレヴィチ将軍の発言として、ロシア軍はこの地域において第47戦車師団などの6個大隊を投入していて過去24時間で最大1740名の兵員を喪失したとしています。

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ウクライナ情勢-ロシア軍はカメ戦車をハリコフ侵攻で多用,クラスノホリフカでの戦闘概況

2024-05-19 07:01:41 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 あの改造がどの程度効果があるのかは不明なのですが実際に例えば74式戦車などに同様の改造を施しても徹甲弾が防げるようには思えないのです。

 ロシア軍はカメ戦車をハリコフ侵攻で多用している、ISWアメリカ戦争研究所5月12日付戦況報告において、ホームレス戦車とも呼ばれる戦車そのものをカマボコ型のプレハブ住宅のようなもので覆った戦車の運用について分析しています、これは対戦車ミサイル対策の行き着いた先ともいえ、無人機攻撃にもある程度有効という。

 カメ戦車について、戦車の上をそのまま覆った構造であるために戦車周辺を戦車長は視察することはできず、操縦手からの視野も限られたものとなりますが、自爆用無人機に弱点であるエンジン上部を発見されにくく、また対戦車ミサイルのタンデム弾頭が作動した場合でも中空装甲以上に離隔しており、防御力を高めている可能性が。

 カメ戦車についてISWはその破壊に苦労しているとウクライナ軍将校の話を紹介しています。カメ戦車が投入されているのはヴォフチャンスク近郊での戦闘で、ロシア軍は現在、ヴォフチャンスクを南西と南側から包囲する迂回機動をとっているとのこと。ウクライナ軍はヴォフチャンスクをロシア軍の主要目標と分析しています。
■クラスノホリフカ
 13日から14日にかけてロシア軍の動向がおおきく鈍化したとは続報されています。

 クラスノホリフカでの戦闘概況についてISWアメリカ戦争研究所は5月12日付戦況報告において、ウクライナ軍ホルティツイア群報道官のヴォロシン中佐発言などを紹介、小規模の歩兵突撃部隊を繰り返し投入するとともに一部では装甲車両を投入しているとも報告しています。そしてクラスノホリフカは現在包囲されつつあるとも。

 クラスノホリフカでは中心部に赤煉瓦工場があり、ウクライナ軍はこの赤煉瓦工場を防衛拠点として活用しているものの、ロシア軍が赤煉瓦工場に至る通信電話線や電線を遮断しており、またウクライナ軍は赤煉瓦工場へ弾薬や食料などを補充できない状況に陥っているという。これは言い方を変えれば中心部が包囲されていることを示す。

 2022年のウクライナ侵攻当初にロシア軍が犯したような戦力の分散や不明確な攻撃ということはほぼなくなり、昨今のウクライナ戦況では限られた戦域目標に対して軍団規模の攻撃を集中する状況がみてとれるため、人的損耗を度外視した攻撃を繰り返すことで包囲されたウクライナ軍は苦戦を強いられることが増えています。

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ウクライナ情勢-東部戦線ロシア軍チャシブヤール周辺攻撃概況とハリコフ州再侵攻の概況

2024-05-17 07:00:36 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 現状をみているとやはり航空機供与の遅れが響いているようでアルファジェットでもファントムでも早く供与できる航空機を模索すべきだったようおもう。

 ロシア軍のチャシブヤール周辺での攻撃についてISWアメリカ戦争研究所が5月11日に発表した概況では、ロシア軍はチャシブヤール南方の高速道路Tー0504号線まで進出しており、またスヴァトヴェ西方やアウディイフカ南西のネタイロブ中心部にも侵攻しているとのこと。またクラスノホリフカなどドンバス地方での前進が続いている。

 ハリコフ州でも前進が続いており、ただ、この背景にはウクライナ側がロシアとの国境付近に本格的な要塞線を構築していなかったという実状があり、ウクライナ軍の防衛線は国境から若干距離を置いたリプシやヴォフチャンスクなどの人口所在地域に置かれており、今後この前哨陣地との接触によりロシア軍前進は阻まれる可能性がある。

 国境地域にウクライナ軍は地雷原など防衛戦を構築していない状況について、ISWはここまで踏み込んだ発言はしていませんが、ウクライナ軍は2023年夏季反転攻勢の戦果をもう少し大きなものと見積もり、この地域の防衛線構築よりも反転攻勢へリソースを集中したことで現在の防衛戦が不利になっているのではないかと考えます。
■ハリコフ周辺
 砲兵の弾薬量は兎も角として射程ではウクライナ軍に供与されている火砲が勝っているのだから弾薬供給さえ整えば状況は変わり得る。

 ハリコフ周辺に侵攻しているロシア軍部隊について、ISWアメリカ戦争研究所は5月11日付戦況報告において、ウクライナの軍事専門家の発言を引用し、レニングラード軍管区第11軍団第7自動車化狙撃連隊、第11軍団第18自動車化狙撃旅団より2個大隊が攻撃の先鋒となっているとしていて、ここに複数の部隊が支援を行っている、と。

 先鋒の2個大隊を支援するのは新設第44軍団の第72自動車化狙撃師団と第128自動車化狙撃師団で、支援部隊を含めるとハリコフ侵攻へは5万名から最大7万5000名規模の部隊が投入されているとのこと。日欧米メディアはこの攻撃を緩衝地帯設置が目的と報じていますが、ISWはハリコフ市への砲撃が目的の前進であると分析しています。

 ハリコフはウクライナ第二の都市であり、ISWはここまで踏み込んでいませんが住民も多数が居住していることから、ここが砲撃に晒された場合にはウクライナ世論が反撃よりもハリコフ防衛に重点を置くべきと動くことは必至で、ハリコフ州に隣接しロシアが重要視するドンバスでのウクライナ譲歩に繋げる狙いも考えられます。

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ウクライナ情勢-ロシア軍ハリコフ州再侵攻!ウクライナ北部国境地域を突破

2024-05-11 07:00:21 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ロシア軍ハリコフ再侵攻という報道が昨夜ありました。北海道の自衛隊行事が五月の予定もそれほど発表されていない背景には極東で何か動きが有るのかと勘ぐってしまいましたが。

 ハリコフ再侵攻が開始されました、ウクライナ軍参謀本部発表をNHKが10日2146時に報道したところによれば、ロシア軍はウクライナ北部国境からハリコフ州に再侵攻したとのこと、ロシア軍は国境1km以内に展開しており戦闘中としています。ロシア軍は4月下旬からハリコフ州のロシア側国境地域へ部隊を集結させており再侵攻が懸念されていた。

 ウクライナ国防省によれば再侵攻している部隊は機甲部隊であるとしていて、それに先んじてロシア軍はハリコフ州の州都ハリコフに対し弾道ミサイル攻撃を繰り返し、またハリコフ市内の市民に対して避難勧告を行うなどしていました。NHK報道によればロシア軍はウクライナ軍砲撃を避けるための10km程度の緩衝地帯を構築しようとしているとのこと。
■10km侵攻は簡単ではない
 ウクライナの防衛線整備も一応はすすんでいる。

 ハリコフ州の州都ハリコフは要塞化されており、ウクライナ軍の縦深陣地とともに市街地が第二次大戦中の戦訓から防御重視の構造となっています、またロシア軍が10km程度の緩衝地帯を確保しようとしているとの報道ですが、10kmの前進はアウディイフカなどの戦訓を見ますと数週間で実現できる程防御力が低いとは考えにくい現実があるのですね。

 ウクライナ軍は兵力不足に見舞われているいっぽうでドンバス地域はじめ必要な前線へは兵力を張り付け続ける事が出来ており、ロシア軍は暫時前進していますが機械化部隊による大規模な突破作戦を行う事は出来ず戦域によってはウクライナ軍が反撃に成功している地域があります、するとハリコフ再侵攻は陽動、戦力分散強要の一環なのかもしれません。
■アメリカ援助再開背景
 対独戦勝記念日の後で開始された事は意外ではありましたが。

 ロシア軍がハリコフ州へウクライナ軍を引きつける必要があると分析する背景には、アメリカのウクライナ援助が再開され、ほぼ5カ月ぶりに弾薬等が潤沢に供給されるみとおしがたつと共に、今回の軍事援助再開にはM-2ブラッドレイ装甲戦闘車が含まれている点が重要で、弾薬は不足していますがその状況下で装甲車両もかなり喪失を強いられました。

 装甲車両の損耗は、歩兵などの死傷者を増大させることとなりますが、アメリカの支援再開とともに装甲車両の充足率が立つ事はこの状況を一変させる可能性があります、これら装備品の充足によりロシア軍が確保したアウディイフカ周辺などでもウクライナ軍の防衛線が強化される懸念が有り、ハリコフ再侵攻は兵力を分散させる狙いなのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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