ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『もっとあぶない刑事』最終回

2023-10-22 21:35:14 | 刑事ドラマ'80年代

松田優作&中村雅俊の主演による東宝作品『俺たちの勲章』の続編、というより“リブート”的な内容だった中村雅俊&根津甚八『誇りの報酬』のあとを受け、1986年10月に日本テレビ系列の日曜夜9時枠でスタートしたのが、舘ひろし&柴田恭兵を主演に迎えてセントラル・アーツ社が制作したTVシリーズ『あぶない刑事(デカ)』。

すでに’80年代ならではの遊び感覚を備えた『誇りの報酬』に“オシャレさ”を付加し、それが舘ひろし&柴田恭兵のみならず浅野温子、仲村トオルという当時“トレンディー”だった俳優陣の個性とも見事にマッチして、2016年公開の完結編『さらばあぶない刑事』まで7本もの劇場版が製作される大ヒットシリーズとなりました。(またまた復活するとの噂もあり)

で、今回レビューするのは放映枠を金曜夜8時台に移して1988年10月からスタートしたTVシリーズ第2弾『もっとあぶない刑事』の第25話=最終回。

日テレの金曜夜8時と言えば『太陽にほえろ!』や『ジャングル』、そして後の『刑事貴族』シリーズへと繋がる伝統の刑事ドラマ枠。そういう意味でも最後はちゃんと締めて欲しかったのですが……

この最終回は酷い。第1シリーズには大いにハマった私だけど、劇場版2本を挟んで制作されたこの第2シリーズは内容が空虚すぎて初回から乗り切れず、途中で脱落したもんで最終回を観たのは今回が初めて。

呆れました。これはマジで酷い! 人気にアグラをかいて視聴者を完全にナメてる、と言わざるを得ない内容です。元凶はおそらく、石原裕次郎さん亡き後に石原プロモーションをさんざん迷走させた、あの“専務ーK”だろうと思いますが……

そのK専務の操り人形だった舘ひろし氏や、忖度して逆らえなかった日テレとセントラル・アーツにも責任はあるでしょう。

あんまり酷いからレビューは簡単に済ませます。なので今回は早めにアップ出来ると思いますw




☆第25話(最終回)『一気』(1989.3.31.OA/脚本=大川俊道/監督=長谷部安春)

『ベイシティ刑事』の最終回にも登場した本牧のレストランバー「ゴールデンカップ」に二人組の強盗が押し入り、港署・捜査課の“あぶない”コンビ=ユージ(柴田恭兵)&トオル(仲村トオル)が駆けつけます。

で、途中から唐突に現れたタカ(舘ひろし)が強盗の片割れを仕留めるんだけど、ユージ&トオルはもう片方に逃げられた上、覆面パトカーを奪われるという大失態までやらかしちゃう。



「モ……モラルが無いよな、近頃の犯罪者は💦」

このテのドジは“あぶない”コンビにとって日常茶飯事なワケだけど、ちょっと待ってくれ。何かが違う。

「お二人さん、また派手にやらかしたんだって?」



それを知った少年課の狂女=カオル(浅野温子)が冷やかしたり騒いだりするのも見慣れた光景……の筈なのに、めちゃくちゃ違和感がある!

そりゃそうです。派手にやらかしたのはユージ&トオルであって、タカはほとんど絡んでない。なのに、なんでタカが冷やかされるのか?



「どうする?」

「いやあ、パトカー盗られちゃってっからなあ」

いやいやユージさん、あんたはそうでもタカさん関係ないですやん!

そう、本来こういう騒動はタカ&ユージが起こすもんであって、トオルの役目はそれに巻き込まれて迷惑がることだったはず。

そもそも港署の“あぶない”コンビはタカ&ユージの専売特許でしょう?

なのに、奪われた覆面パトカーが接触事故を起こし、それで初めて顛末を知った近藤課長(中条静夫)が言うワケです。

「ロクでもないコンビだな、あの二人は!💢」

いやいやいやいや、違うでしょう? ロクでもなきゃいけないのはタカ&ユージであって、トオルは馬鹿だけど決して“あぶない刑事”じゃない。そうでないとバランスが大きく崩れちゃう。もう手遅れだけど。

これは恐らく……いや間違いなく、本来はタカ&ユージがパトカーを奪われる設定だったのを、無理やりユージ&トオルに置き換えた結果でしょう。



以降のシーンも、タカが登場するのは刑事部屋とか病院とか、ほとんどセット内で撮影できる場面だけ。

番組ファンの間じゃ常識的な話でしょうが、当時すでに石原プロモーションがテレビ朝日の新番組『ゴリラ/警視庁捜査第8班』の撮影を始めており、舘ひろしはそっちを優先して『もっとあぶない刑事』の終盤は登場シーンが激減しちゃう!

そのへんの事情は以前から知ってたけど、まさか最終回までこんな事になってるとは! 今更ながら呆れるしかありません。

さすがは、後に自社制作の『代表取締役刑事』を優先して東宝の『刑事貴族』を途中で降りた舘ひろしです。

いや、おそらく本人はそんな不義理はしたくなかっただろうに、上から“ゴリ押し”でそうさせたのが石原プロの専務ーK(当時の最高権力者)だろうと私は思うワケです。

お陰で、最終回なのに残りのシーンもこのありさま。



トオル君には何の罪もない。けど、『あぶない刑事』におけるキミのポジションはそこじゃない。

そりゃあ、何十本もやってりゃ途中でそんなエピソードもあっていいとは思う。けど、初回と最終回だけはダメでしょう? それも2つしか無いTVシリーズの大ラスですよ? いくら次の劇場版が控えてるからって。テレビを馬鹿にしとんかい!?って話です。



ストーリーは、ゴールデンカップを襲った強盗二人組が図らずも相当ヤバいものを盗んでしまい、覆面パトカーを奪って逃げたヤツが殺し屋に狙われ、ユージが命懸けでそいつを護る。

どんな事情があろうと犯罪者にだけは肩入れ出来ない私ですから、このテの話にもとうてい感情移入できません。



で、ユージが満身創痍になって戦ったにも関わらず、結局そいつは殺されちゃう。

一方、冒頭でタカが仕留めた犯人も、軽傷だった筈なのに病院で息を引き取っちゃう。そこにも刺客の手が回ったらしく、黒幕はどうやら県警本部内にいるらしい。またかよ!?💨



「結局、強盗が二人と殺し屋が一人死んだ。ただそれだけの事だ」

「誰かがどっかで笑ってんだろうな」

「だが、そいつは重大なミスを冒した」



「俺たちを生かしておいた事だろ?」



「必ず後悔させてやろうぜ。いつか、必ずな」

いやいや、あんた。ハズキルーペのあんた。今回ずっと病院のベンチに座ってただけやん!



で、最後は取ってつけたようにタカ&ユージのアクションをちょっとだけ見せて、続きは映画館でね!って言わんばかりにジ・エンド。

おフザケが過ぎたこの第2シリーズの中じゃ比較的ハードな展開(いわば挫折の美学ごっこ)に僅かなスペシャル感があるものの、主役コンビの片方しか活躍しない最終回なんて聞いたことがない。相変わらず木の実ナナも出てこんし!

もう一度言う。テレビをナメとんかい!? わたしゃ生粋のテレビっ子なもんで、ちょっと許しがたいもんがありますよホントに。


 


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