あまの鍼灸院ブログ

鍼灸院での毎日の様子をアップしています。
鍼灸院ってどんなところ?と知っていただけたらうれしいです。

お灸のお話

2009-10-30 23:39:39 | 健康・病気

当院では私が鍼治療をした後に、必ずと言っていいほどお灸を

させていただきます。このお灸は鍼治療の効果を補うためのものですが

このお灸にもいくつかのやり方やもぐさの種類がございます。

どのお灸も熱すぎることなくやけどなどにもならないお灸ですのでご安心くださいね。

一番多くの患者様にさせていただいているお灸が知熱灸(ちねつきゅう)です。

主に肩や背中(場合によっては手足にも)をゆっくりと温めるお灸です。

ぽかぽかとして気持ちの良いお灸ですが、これは凝っていたり冷えていたりする場所を

温めて気の流れや血の流れを整えています。あまりツボとは関係なく

症状が表に出てきている箇所に施灸しています。ゆっくりと温めるのが目的ですから

わりと荒いもぐさを使用しています。

もぐさの原料はヨモギで、ヨモギの名前の由来は、四方に根茎を伸ばして広がる「四方草」という説や、良く燃えるから「善燃草」という説があります。

葉の裏の白い「綿毛」を集めるとお灸に使う「艾(もぐさ)」になります。

高級な艾ほど葉が混じらず、白い綿毛だけになります。

生薬では艾に葉がついて艾葉(がいよう)と呼びます。

艾葉は体を暖めて下腹部の痛みや出血過多などを治すので婦人科系でよく用いられます。

お灸にはただ温めるだけでなく、治療効果もあるのですね。

表に出ている症状とは少し違って、経絡上のツボにしている「ちくっ」とするお灸が

当院でいう『点灸』(てんきゅう)です。八分灸の方法でやっています。

もぐさの八割が燃えたところでとってしまう方法です。これが熱すぎず火傷にもならず

効果もある方法だからです。胃腸系の弱い方でも胃腸の辺りにするのではなく

主に背中にある胃腸のツボを使いますが、ツボに対して施灸していますので

痛みやコリの感じる場所とは違うと感じられるかもしれません。

こちらは最上級のもぐさを使用しています。もぐさで有名な『伊吹もぐさ』です

なぜ、伊吹もぐさが日本で一番上等だとされるかというと

織田信長が当時ポルトガル人に命じて伊吹に薬草園を作らせ

その時より続いていると言われていますね。当時3000種を超える薬草が栽培されていたようで今でもヨーロッパ原種の薬草が見つかるそうです。歴史を感じますね。

現在の米原市に『伊吹薬草の里文化センター』というものがありますから

興味のある方は一度訪れてみてはいかがでしょう?

伊吹薬草の里文化センター   http://joyibuki.com/index.html

他にも灸頭鍼や大知熱灸など症状にあわせてさまざまなお灸をさまざまな艾を

使用して行っています。あくまで鍼の補助的療法なのですが

治療中になかなかご説明する機会がありませんのでお話させていただきました。

なかなか奥が深い・・・と思われませんか???魅力ある学問ですよ・・・・

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風邪にお気をつけください

2009-10-29 22:45:35 | 健康・病気

昔から『柿が紅くなると医者が青くなる』なんていわれますが

この時期、本来みなさま体調万全なはずなのですが

今年は本当に風邪をひいていらっしゃる方が多いです。

この仕事を始めてからもう30年以上になりますが

こんな年は初めてですね。新型インフルエンザも猛威をふるっているようですし

みなさま風邪をひかれない様お気をつけくださいね。

風邪をひいてしまったりひき始めたりしたらやはり『栄養と休養』が一番です

この栄養ですが、食べ過ぎるのは一番の逆効果です。

現代人はどうしても栄養過多で胃腸が疲れがちです

どちらかというと、休養のほうに重点を置いていただき

栄養はお腹の空かない程度ぐらいに考えていただいたほうが良いかもしれません。

『腹八分に医者要らず』なんて言葉もありますが、これが本当に重要です。

私も心がけてはいますがなかなか実行に移せているかというと・・・耳が痛いです

ですが、頭の片隅にでも置いておいていただきたいですね。

『食べ過ぎないこと』が健康の道なんだということを・・・・

胃腸への負担を極力減らすことで風邪もひきにくくなりますよ。

もしかかってしまったりかかりそうになったら治療にいらしてくださいね。

「え!風邪に鍼灸ですか?」と、おっしゃる方が多いのを残念に思います。

「風邪に効く薬は無い、養生が一番」だと言われていますね。

『風邪薬を発明することができればノーベル賞は絶対』とまで言われているぐらいです

以前、「営衛を補うのが鍼灸です」と言いました。
衛気は、体表における防衛の役割を果たしています。

営気は食べた物をよりよい血液に変化させるエネルギーです。

もうご理解いただけたのではないでしょうか?

鍼灸治療は免疫力を強化してあらゆる病邪から身体を守るのです。皆さんの身体の中には自然治癒力という万能薬が元来備わっているのです。それを引き出すお手伝いが鍼灸治療です。

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鍼の歴史

2009-10-28 22:44:40 | ブログ

昨日、昔から視力障害者が鍼灸の仕事についていたということを

お話しましたが、来月の名古屋の研修会で自分が研究発表をすることに

なりましたので、鍼灸の歴史についてお話しようと思い

今、色々な鍼灸の歴史にまつわる本を読んでいます。

日本に初めて鍼を伝えたのは中国から来た徐福という人だといわれていますが

彼は不老不死の薬を求めて日本に来たという伝説が残っていますが

日本に来た地も色々な説が残っています。その中の一つに和歌山県新宮市があり

『徐福公園』という公園までできています。5年ほど前に家内と訪れましたが

10_046

こういうゆかりある地が、熱田神宮周辺と鳳来寺山のほうにも

あるようで、この週末に実際に訪れてみようと思います。

鍼灸師が自分達の歴史について寂しいのも何かお粗末な

気がしますが、学校ではそれほど詳しく教わるわけではありませんので、いろんな

文献などから歴史をたどっています。また、興味深いことがありましたら

こちらでもアップさせていただこうと思います。お楽しみに♪

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病気を癒す森の散歩 その5 肺と脾の関係

2009-10-27 00:02:00 | 健康・病気

長期連載になっていますが、みなさまにぜひお話したいのでアップします。

肺と脾臓における協調関係も見逃すことが出来ません。

 「脾は中洲」、「脾は中央」と云われ、脾と胃は五臓の中央に位置しています。
食物は胃腸の消化吸収作用によって得られたエネルギー(胃の気・衛気・営気)
を送り出し、自分も含めて他の四臓(肺・心・肝・腎)を養っています。

美酒を飲んだときに「五臓六腑に染み渡る」などと言われますね。個々で言われ
ている六腑とは胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦(さんしょう)のことで胃と六腑は協調して食物の消化活動を行っていますので脾胃は一体となって働いています。

教典から
『飲は胃に入り、精気を遊溢し、上の脾に輸す。脾気は精を散じ、上の肺に帰し、
水道を通調し、下の膀胱に輸す。』
『栄気の行は常に衛気と相い随うや。然り経に言う、人は気を穀に受く、穀が胃
に入りて、乃ち五蔵六府に伝与す。五蔵六府は皆気を受け、其の清なる者は栄と
なし、濁なる者は衛となす。栄は脉中を行り、衛は脉外を行る。・・故に栄衛相
随うを知るなり。』

 脾はエネルギーを上(肺・心)に輸送します。肺はそれを受けて肺気の働きに
より、全身に輸送し、その一部は汗となって体外に排泄します。
一方、不必要な水液は肺の働きにより膀胱に運ばれて尿となり体外に排泄します。
 このように肺と脾は協調して、水液代謝を行っているので、「肺は水の上源」、
「肺は水の行りを主る」といわれています。

少し難しいようなお話ですが、かんたんに言えば肺が全身の水分の

大切な調整の役割を果たしているということなのですね。
 

呼吸器疾患が慢性化している人の中には、食欲不振等の胃腸疾患や全身倦怠感
を訴える人がいます。現に西洋医学的にも気管支喘息の患者のほとんどが逆流性食道炎を起こしやすいというデータまで出ているほどです。

、これは長期間の呼吸器疾患により肺の働きが低下して、脾から送り出されるエ
ネルギーの運搬活動を補佐できなくなったために、脾の働きまでも低下してしま
ったことによります。

 一方慢性の消化器疾患の患者さんの中には、声が微弱で呼吸に力がなくすぐに
息切れしたり、痰の多く出る咳嗽をともなっている人がいます。

これは長期間にわたる脾の機能低下により、エネルギーを肺に供給出来ないため
にしだいに肺の働きが弱り呼吸障害などを起こしたケースです。

 このように、脾と肺の働きが低下すると相互に影響しあって、胃腸障害、呼吸
障害、排便排尿障害やめまい等、多くの病症に発展します。

反対にいえば、これらの調整を鍼灸治療ではかることによって双方どちらの症状も快方に向かうということになります。お分かりいただけますでしょうか?

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名古屋漢方鍼医会

2009-10-26 22:45:17 | 健康・病気

昨日は名古屋漢方鍼医会恒例の外来講師をお招きして

『江戸時代の鍼灸』についての講演をお聞きすることができました。

鍼灸は中国から朝鮮半島を経て何度も日本にもたらされたとされていますが

その度に消えては又伝来しつつ、金元時代(1115年~1368年)に陰陽五行論に基づく鍼灸治療が、田代三喜、曲直瀬道三によって定着したといわれています。

江戸時代には、多数の流派が生まれ鍼灸師は『本道』とも云われ内科医と同様で

かなり身分も高い位にありました。

江戸時代の鍼灸師といえばなんと言っても杉山和一が思い浮かびます。

和一は現在の三重県の出身ですが、鍼の修行のため江戸の山瀬啄一に入門しまし
た。元来愚鈍な和一は、なかなか修行が進まず、啄一に破門されました。

和一は失意の内に実家に帰ることになり、途中で信仰していた神奈川県藤沢市の
江ノ島弁天の岩屋に21日間篭もり、満願の日、岩(福石とよばれています)に
躓いて転び意識を失いました。ふと気付くと手の中で丸まった広葉樹に松葉がさ
さっているのを見て管鍼術を考案したというのは有名な話です。

管鍼術というのは、皆様がよくご想像される鍼を管に入れて

管のおしりのほうからとんとんと刺鍼するあの方法です。

それまではああいう方法はなかったということなのですね。

その後、京都の『入江豊明』の元で修行してから江戸に戻り名声が高まっていき
ました。その名声は「犬公方」、生類憐みの令」で知られる五代将軍綱吉の耳に
届き綱吉の病を治したことで関東総検校となりました。

綱吉に「何か欲しいものはないか」と問われた和一は「目が欲しい」と答えたそ
うです。「では、一つ目をとらせる」と答え、目の代わりに本所一つ目の土地を
拝領したのです。それが、現在の東京都墨田区の江島杉山神社です。

按摩と云えば盲人、時代劇などでは、杖をつき笛を吹きながら街角を流し、「チ
ョット按摩さん」と呼び止められるシーンを思い出す方が多いと思います。

ところが、江戸時代にも現在と同じように晴眼(普通に目が見えること)のあん摩師も同等におり、笛を吹きながら街じゅうを流して患者を求めていたようですよ。

シーボルトに鍼灸を教えたことで有名な石坂宗哲も若い頃は笛を吹きながら流し
の按摩を行っていたようです。

当院の北壁には杉山和一総検校の威徳をしのび肖像画が飾られていますがお気づ
きでしょうか。ちょうど4番ベッドにおやすみになられると見ることができます。

余談ですが、家内と結婚する前に縁かつぎに(笑)一緒に藤沢の岩屋に行きました。

杉山先生のおかげかその後縁があり子宝にも恵めれ、ご利益たっぷりです。

鎌倉の大仏様の近くにありますのでお近くにかれましたら是非お立ち寄りになってくださいね。私も子供を連れてお礼にまたお参りに行きたいなぁと思います。

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