Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

7年ぶりの愉しみ

2009年05月30日 | 
村上春樹氏の7年ぶりの長編が、昨日29日発売になりました。
「1Q84」1・2巻、合わせて1000ページほど。
昨夜読み出して夜半に1巻読了、今日の午後に2巻読了。

この本に関しては、先入観を持たずに読んで欲しいということで
発売前の作者へのインタビューでも、内容についてのコメントは一切なかったようです。
なので、私も内容について触れるのはやめようと思います。

最近の彼の著作は、短編集とか翻訳物が多かったので
長編が出るのはやはり嬉しい。
彼の小説は読み出すと、荒唐無稽な世界であっても(或いはそうであるからこそ)ぐいぐいと惹き込まれます。
もっともっとこの世界に浸っていたい、読み終わってしまいたくない、
でもストーリーの顛末は知りたい、早く読みたい!
そのいつもの葛藤も、一日弱で終わってしまいました。
これでまた当分こういう思いはできないと思うと、寂しいなあ…

しかし、この終わり方はあまりに唐突です。
収束できていない伏線も夥しく残ったまま。
この2冊の本が、「上・下」ではなく「1(4月ー6月)」「2(7月ー9月」と
なっていることから、この続き「3・4」が出ることを切望します。

本文の内容に触れられないので
およそ本筋と関係あるとは思えない「気の毒なギリヤーク人」のエピソードを
少々紹介します。
「ギリヤーク人は決して顔を洗わないため、人類学者ですら、彼らの
本当の色が何色なのか、断言しかねるほどだ。
下着も洗わないし、毛皮の衣服や履物は、まるでたった今、
死んだ犬から剥ぎ取ったばかりといった様子だ。
ギリヤーク人そのものも、げっとなるような重苦しい悪臭を放ち、
彼らの住居が近くにあれば、干し魚や、腐った魚のアラなどの、
不快な、ときには堪えられぬほどの匂いによってすぐわかる。
(中略)こうした不健全な衛生環境が彼らの健康状態に悪影響を
及ぼさずにおかぬことは、考える必要がある。
もしかすると背が低いのも、顔がむくんでいるのも、動作に生気がなく、
大儀そうなのも、この衛生環境が原因かもしれない。」
(1巻第20章から)

これは、チェーホフの「サハリン島」からの引用であるらしい。
何故こんなエピソードが恋愛小説に挿入されているのか、不思議に思われた方は
是非本書をお読み下さい。
もっとも、読んだところで、答えなど分からないのですが…

「1Q84」
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「天使と悪魔」(ネタバレなし)

2009年05月29日 | 映画
前作「ダ・ヴィンチ・コード」では
私は原作を読んでから映画を観て、怒り狂ったのでした。
上質な歴史ミステリーが、低俗な土曜サスペンス劇場に仕立てられたと。
で、今回は未読のまま、映画に臨んだのです。

結果として、正解だった気がする。
面白かった!
原作を読まなくても(或いは読まない方が)、これは十分楽しめます。
冒頭、欧州原子核研究所だの、反物質の生成だの、科学音痴にはさっぱり分からない単語の羅列で頭が混乱しますが、その後は息もつかぬ展開で、ラングドン教授と共にローマの街並を走り回ることになります。
一時間毎というタイムリミットつきの予告殺人のストーリーなので、いや、その展開の早いこと!
そして前作と同じく、どんでん返しに次ぐどんでん返し…

「ダ・ヴィンチ・コード」の続編のように言われていますが、
小説としてはこちらの方が先、ダン・ブラウンの処女作だったのですね。
天使と悪魔、それは相反するものの象徴でしょう。
物質と反物質、宗教と科学、唯心論と唯物論、善と悪。
相反しながら共存することもある。
一人の人間が、天使にも悪魔にもなることもあり得る。
最後に勝つのはどちらか?

少々残念だったのは、ヒロインの女科学者があまり魅力的ではなかったことか。
出番は多いのに性格が十分に描かれておらず、従って印象が非常に薄い。
彼女のことで覚えているのは、貴重なガリレオ蔵書の1ページを引き破ったこと位w

ローマ、バチカンの観光名所が各事件の舞台であり、優れた観光ガイドと言える
作品でもあります。
私はたまたま2年前に訪れたばかりなので、懐かしく思い出しながら堪能したのでした。
このシスティナ礼拝堂は、天井画が見事で首が疲れたなあとか、
このサンタンジェロ城のトイレは、便座が全部壊れていたなあとか…
また行きたくなりました。

分かりにくかった固有名詞がいくつもあったのですが
その一つ、カメルレンゴというのは人名ではなく、法王の秘書長という役職名なのだそうです。スイス衛兵隊というのにも面食らいましたが、これは、自前の軍隊を持たない法王庁が
16世紀にスイスから傭兵を呼び寄せ、それが現在も続いているのだそうです。

これで心静かに、原作を読むことができます。

☆4

「天使と悪魔」
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Where the Hell is Matt?

2009年05月27日 | 社会
昨夜テレビ番組で、「世界中でダンスを踊るヘンなオジサン」のビデオを紹介していました。
メタボ気味の男性が、世界の色々なところで、上手とも言えないようなダンスを楽しそうに踊っている。
ダンスというか、手足をワンパターンに動かしてるだけじゃないの…
それでも、なんとも楽しそうなのです。
妙に心に残ったので、一体どういう人なのか調べてみました。

第一弾

マット(Matt Harding)は1976年生まれのアメリカ人、
ビデオゲーム開発の仕事をしていたが
「みんなを殺すようなゲームを作るのに人生を2年も費やすなんて馬鹿げている」と
会社を辞め、世界の旅に出た。
そこで踊ったシーンを繋ぎ合わせて"Where the Hell WAS Matt?"というビデオを作った。
(このBGMは、Deep ForestのSweet Lullaby)
このビデオが有名になり、ガムの会社がスポンサーとなって、第二弾"Where the Hell is Matt?"が2006年作られた。
そして2008年、第三弾として"Where the Hell is Matt? (2008)"が公開された。
このビデオは42カ国を14ヶ月かけて回り製作されている、のだそうです。
(このBGMの"Praan"はGarry Schyman作曲、Palbasha Siddique歌)
今年、VISAの日本版CMに出演したのですって?
知りませんでした…

北京の市場の中で、ハノイの雑踏の中で、バンコクの風俗店の前で、
シベリア特急の中で、ケニヤの赤い土の上で、ウガンダの森の中で、
マットがただ、楽しそうに踊っている。
それだけでも打たれやすい私は感動してしまうのに、
第三弾では、現地の人が大勢集まって、本人の姿が見えないほどに
夢中になって踊っている。
楽しそうに、幸せそうに。
ああ、駄目だ…
私の琴線に触れまくり。

第三弾

第三弾では、東京は2回出てきます。
メイド喫茶と、もうひとつ、後半に出てくる陸橋のようなのは、駒沢公園か代々木公園あたりでしょうか。

情報元 http://d.hatena.ne.jp/LM-7/20081116/1226825792

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しがみつく愛

2009年05月23日 | 社会
ニュース番組を見ていたら
小さな子猿が、大きなぬいぐるみを抱えているシーンが出てきました。
まだ足元も覚束ないような赤ちゃんザルが、自分よりも大きな黄色いクマのぬいぐるみを、四六時中抱えて歩いているのです。

何だろう?と思ったら
この子ザルは、昨年6月に市川市動植物園で生まれたニホンザルの「オトメ」で
母ザルが育児放棄し、 飼育係が人間用のミルクを与えて育てられたのだそうです。
ニホンザルは生まれてすぐ、母にしがみつく本能があるので、
母に捨てられたオトメは、 代わりにクマのぬいぐるみが与えられたのだとか。
オトメはそのぬいぐるみの上に乗ったり、引っ張って連れ歩くなど、
常に離れずにいるのだそうです。

人間の飼育係とぬいぐるみの母に育てられたオトメ、
今年になってから、少しずつ他のサルにも慣らされ、サル山に放されたのだそうです。
ぬいぐるみを抱えるオトメに他のサルが驚き、いじめないかと心配したが、
威嚇されたり体を掴まれそうになると、オトメはぬいぐるみの下に潜り込んで「母」に守られ、
さらにリーダーのオスザル「ゴロン」の庇護を受けるようになり、
今は他の子ザルとも遊ぶようになったのだそうです。
よかった…

足場の悪い岩場で、自分よりも大きなぬいぐるみを必死に連れ歩いている小猿の姿を見ると
なんだか胸が締め付けられます。
赤ちゃんや幼児が母を追い求める姿というのは
本当に一途なものです。
私など、息子たちのあの頃の姿の思い出にすがって
今も生きているようなものです。

あんなに必死な、可愛い赤ちゃんを捨てるなんて考えられないのですが
ドイツの白くまクヌートといい、近頃、育児放棄という言葉をよく聞きます。
それって動物の世界にもよくあることなのでしょうか?
それとも動物園という特殊な環境だからこそ、起こり得ることなのでしょうか?
人間社会では、もっと頻繁に起こっているようですが…

情報元
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「マルタのやさしい刺繍 」

2009年05月21日 | 映画
2006年、スイス映画。DVDで鑑賞。
スイスの山合いの小さな村に住む80歳のマルタは、
特にお洒落でもない、ごく普通のおばあちゃん。
真っ白な髪、ノーメイクの皺くちゃの顔、地味な服装、小柄で太目の身体。
9ヶ月前に夫を亡くし、鬱々とした日々を過ごす毎日。
しかしある日、若かりし日の夢”手刺繍のランジェリーのお店を持つこと”を思い出す。
たった一人応援してくれた親友リジーの手を借りて、小さなお店を開くが
保守的な村人たちの冷ややかな反応が待っていた…

田舎は何処に行っても同じですねえ。
絵のように美しいアルプスの谷間の村であろうと。
出る杭は打たれるというか、異端を認めないというか、
身内、村人たちの反応は酷いものです。
最初は、マルタの友人さえにも反対されるのですから。
ふしだら、いやらしい、恥知らず、身の程知らず、老人はおとなしくしてろ!
村の牧師であるマルタの息子などは、店の内装をぶち壊し、
マルタの美しい手作りの作品を全部捨ててしまうほど。
村の有力者に到っては、村の汚点だ!とばかりに、お店のショーウインドウに
泥土と鶏を投げ入れるという嫌がらせをやってのける。

下着を買ってくれる客も当然いなくて、お店は開店休業状態なのですが
マルタと、おばあちゃん仲間たちはへこたれなかった。
村の民族衣装にある伝統的な刺繍をランジェリーに施し、それをネットで売り出したことで世界中から注文が入り、マルタの夢は実現するのです。

スイス映画というのも珍しい。
この作品、2006年度スイスで動員客数no1、
日本でも2008年度ミニシアター上映の満足度no1だったというのも頷けます。
マルタを演じた女優は、88歳で映画初主演を果たしたというのだから驚きます。
皺くちゃの顔の中の、悪戯っぽい青い目が、なんともチャーミングです。

いかに歳を取ろうが、夢を持つということは、
やはり人間の原動力なのですねえ。
美しいサテンの下着に憧れる女心も可愛らしい。
皺くちゃの手でマルタが縫い上げる、繊細で美しい下着も素晴らしい。
どんなに妨害されてもへこたれず、アップルパイとお茶で
おしゃべりを楽しむマルタとその仲間たちの姿には
あたたかい元気を分けて貰えます。

☆3.5

公式HP
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モヌケノカラ

2009年05月20日 | 社会
多少、世の中を甘く見ている節はあると思います。
でもまだ関東地方に新型インフルエンザは来ていないのだから…
そう思っていたのに。

週が明けて、感染者がいきなり100人超えたと聞いた時点で
こりゃやばいんじゃないの!?マスク買わなくっちゃ!とは思ったのですが。
でも、月曜日は色々あってつい買いそびれ、
昨日(火曜)ようやく近所のドラッグストアに買いに行ったら…
ものの見事にモヌケの殻!
次いつ入るかも分からないと。
焦って、駅前の店、駅の向こう側の店など覗いてみたけれど
どこも同じ状態。

私自身は、マスクの効能をそんなに信じている訳じゃない。
この時期、息がこもって暑苦しいし、すれば万全という訳でもないらしいし、
”ないよりマシ”くらいに思っています。
でも、関東に感染者が出た日にマスクをしていなかったら
非国民扱いされそうな勢いです。


折りしも昨日の朝日新聞の「素粒子」に
”米国の感染者は10万人とも言われているが、
ニューヨークでマスクをした人はまず見かけない。
なぜしないのかと問えば、「なぜするのか」と返ってくる。
欧米の当局は「感染防止に科学的根拠はない」とも。” と。


日本人って本当に真面目というか、
なんと言うか…(><)
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神楽坂「ラ・トゥエール」

2009年05月17日 | グルメ
ミシュラン1つ星を獲得、「神楽坂の閑静な住宅街に佇む大人の隠れ家」と
お店のHPに書いてあります。
確かに一歩入った路地裏に、それはひっそりとあります。
まあ神楽坂というところは、そんな風なお店が少なくないようなのですが。
黄色い外壁の一軒家の二階にあり、フランス国旗が翻っています。
黄色い階段の一段毎に花鉢が、踊り場には白いベンチが置かれ、洒落た感じ。
こじんまりした店内は、白い壁に天井高く黒い梁が渡り、高窓から陽が降り注ぎ、高原のレストランといった雰囲気。

アミューズ アサリとウニのフラン

前菜 鴨とフォアグラのテリーヌ クラシック
   リュバーブのコンポートとそのジュレを添えて(写真) 

お口直し オレンジピュレとピーチのリキュールのシャーベット

魚料理 イサキのソテー ブイヤベース風ソース添え

肉料理 比内地鶏と赤座海老のバロテーヌ

デザート パリブレスト洋酒漬けチェリー入り フランボワーズのアイスクリーム添え

基本的に、オーソドックスなフレンチ・スタイルのようです。
しっかりとした味付けで、コクがあります。
ここは、あの鴨で有名なトゥールダルジャンで副料理長を務めた人がシェフだというので期待していたのですが、メニューに鴨という言葉があまり見当たらない。
前菜に、テリーヌとして出てきたくらい。
これはこれで、鴨とフォアグラの生臭みを甘酸っぱいリュバーブの味でまろやかに仕立てた美味しいものでしたが。
帰宅してから調べてみたら、以前の田辺シェフは独立して
ここのすぐ近くに、昨年末、別のお店を構えられたのだそうです。
それも、歩いて何歩というくらいの近くに。
以前の「ラ・トゥエール」の味を求めて来た人は、どっちに行けばいいのか?
こんな近くに作っちゃって、客の取り合いになったり、スタッフの人間関係が
悪くなったりしないのか?
などと私は、余計な心配をしてしまったのでした。
どちらにしても、美味しい方が最後には勝つのでしょうが…

ラ・トゥエール 
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そこにお巡りさんがいる理由

2009年05月14日 | 社会
相変わらず、タロウの散歩に行っています。
こんな筈じゃなかったと密かに思いながら、毎日小一時間ほど。
この時期は、暑くもなく寒くもなく、散歩に理想的な季節ではあります。
住宅地の庭に咲くバラやジャスミンが、得も言われぬいい香り…

散歩に行きだして、意外な楽しみもあります。
普段一人の時は大通りを歩くだけで、裏道など殆ど歩かないのですが
タロウを伴ってからは、同じ道ではつまらないので裏道をあちこちしています。
そうすると思わぬ発見があったりして、中々面白いのです。

暫く前、我家から五百メートルも離れていないところに
玄関先に警察官が立っている家を見つけました。
門の横に、電話ボックスのようなものがしつらえてあって
その前に制服を着た警察官が、直立不動で立っている。
基本的に一人、時には二人のことも。
よく見ると、その裏の方に簡易トイレのようなボックスもある。
こんな所にVIPがいるなんて聞いてない…
しかも、家はごく普通のこじんまりした二階家なのです。
周りに、もっと立派な邸宅はいくらでもあるのに
一体何故!?

気になりながら、さすがに不躾に聞くのもと思いながら
タロウを連れて連日その前をウロウロしているうちに
そのお巡りさん、最初は怖い顔していたのですが、段々表情が和んできました。
今日ちょっと油断した隙に、タロウがお巡りさんの足元にじゃれつこうとして
慌てて止めたのですが、お巡りさんニコニコしている。
チャンス!とばかりに
こちらどなたのお宅なんですか?と聞いたら
政治家です、と。
どちらさまですか?と聞いたら
自○党の政調会長だと。
なるほど…
スッキリ!

お巡りさんも口を開けば優しい人で、
雨の日も風の日も、24時間勤務なのだと話してくれました(無論交代制だそうですが)。
しかしこの平和な日本で、政調会長の家に暴徒が押しかける日が来るとは
そうそう思えない(そんなことがあったら大変ですが)。
それなのに、毎日毎日ただ立ってるなんて…
大変ですねえ!
そして日本のあちこちで、要職に就く人の家の前で
ああいうお巡りさんが頑張っているのですねえ…

その家の写真は、さすがに撮れませんでした。
テーブルと椅子の間に挟まるタロウ。
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「グラントリノ」(ネタバレあり!)

2009年05月10日 | 映画
やられました。
なんでアカデミー賞をかすりもしなかったのか、不思議な映画です。
今回は、とても自分の胸に納めて置けません。
ネタバレしまくりですので、もう観た方、或いは絶対にこの映画を観ないという方だけお読み下さい。










頑固で偏屈、白人絶対主義者の老人ウオルト。
妻を亡くし、息子たちにも煙たがられ、老犬をかたわらにポーチに腰かけ、
ビールを飲むか、愛車グラントリノをピカピカに磨くだけの毎日。
その愛車を盗みに来たのが、不良グループに脅されたお隣のモン族の少年タオ。
いじめられっ子タオ、その利発な姉スーと関わることから
ウオルトの生活は変わっていくのですが…

感動的な作品でしたが、いくつかひっかかる点はありました。
例えば、最初の銃撃&レイプの時点で、警察が動かなかった理由。
「モン族は口が硬いから中々証言しない」というような言葉もありましたが
モン族が被害者だと警察はまともに動かないが、白人が被害者になって漸く動くから、と思ってよいのでしょうか。
あとは、少女スーの傷をこれ以上広げたくないこと、
おそらくは処女性を重んじるであろうモン民族の誇りから、告訴できないことなども加わるでしょうが
この点は、説明不足であったように思うのです。
それにしても、あれだけ酷い、半殺しのような輪姦をされた少女スーが
ウオルトの葬儀でモン族の礼服を着て、顔を真っ直ぐに上げて参加していたのには驚きました。
まだ傷は癒えていないにしろ、ウオルトの死を通して、立ち直る覚悟をきっとつけたのでしょう。
それだけでもウオルトの犠牲は、価値があったのだと思うのです。

朝鮮戦争から帰還後、フォード社の組立工をしていた彼は
息子がイエローモンキー(日本人)の会社であるトヨタのセールスマンをしているのも許せない。
しかし、これはあんまりだと思いました。
大体あの二人の息子たちへの、ウオルトの態度も酷すぎる。
息子たちの頑固親父との付き合い方は、ごく普通のアメリカ人の姿だと思うのですが。
彼らとて小さい頃は、目の中に入れても痛くないくらい可愛がって貰ったのでしょうに。
父親として、遺産すらも残さないなんて。

ウオルトから「青二才の童貞」とこきおろされる若いカソリックの神父が
スーがレイプされた後、ウオルトの家を訪ねたとき、
復讐をけしかけるようなことを言ったのも意外でした。
あれは何だったのか?
その後ウオルトが教会に行った時は、彼を必死に止めようとしていましたが…


等など、色々思うところもあったのですが
それはこの作品を愛すればこそ。
新聞広告に、アメリカのタイムズ社だったか(うろ覚え)
「こんなすばらしい作品をどうやって作るのだろう」というコピーがありましたが
私も心からそう思います。

☆5

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大泥棒のお菓子

2009年05月08日 | グルメ
ウィーン菓子のお店があると聞いて、そちら方面に行ったついでに寄りました。
店名の「ナッシュカッツェ」(naschkatze)は、「甘党・よくつまみぐいをする人」という意味だそうです。
 
ここに、「アプフェルシュトゥルーデル」(写真右)がありました。
「大泥棒ホッツェンプロッツ」に出て来たアップルシュトルーデルです。
どんなお菓子か、長いこと想像するしかなかったお菓子。
”シュトゥルーデル生地の下に新聞紙を置いて読めるくらいまで
薄くのばした生地でりんごを煮たものを巻いた菓子”なのだそうです。
要するにアップルパイの一種なのでしょうが
中には、紅玉、レーズン、カレンズ、くるみ、スパイスなどが入り、
紅玉の酸味とくるみの香ばしさがあいまって、なんとも素朴で美味しい。

「トプフェン」(写真左)、「ザッハトルテ」
トプフェンとは、オーストリアでよく食べられる牛乳製フレッシュチーズだそうで非常に淡白な、あっさりとした味です。
それにイチゴの酸味と生クリームが加わって、まろやかな仕上がりです。

あの愉快な本を書いたのは、どんな人であったのだろう?と見てみたら

”オトフリート・プロイスラー ドイツの児童文学者
チェコスロバキアのリベレツで、共に教師であった両親のあいだに生まれる。
第二次世界大戦中の1942年に学校を卒業。徴兵されドイツ陸軍へ入隊する。
東部戦線へ従軍するが、少尉であった1944年に捕虜となり、
その後5年間をタタール自治共和国内の数箇所の捕虜収容所で過ごす
1953年から1970年にかけて小学校の教師を務め、
この間に作家・イラストレーターとしての才能が開花しており、
子供に語って聞かせた物語のいくつかは後に文章化され出版されている。”(Wikiより)

こんな経歴の人であったのか…
知りませんでした。

「ナッシュカッツェ」
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