Starlight Terrace

オリジナル写真で綴る夜空と夜景がメインのブログ
【注目の天文現象】
 6/3夜明け前 月と火星が接近

新月の夜は朝霧高原で☆撮り(2017/11/18) 後編

2017-11-22 23:40:00 | 遠征日誌

前編では2つの星雲の撮影成果を取り上げましたが、後編は彗星の撮影成果の紹介です。
日付が変わって19日の明け方近くに、東天に昇ってきた彗星2つを狙ってみました。
まずはしし座にいるこの彗星↓

62p2017_01.jpg
【紫金山第1彗星 62P】
 総露出時間30分(3分×10コマ,彗星の動きに合わせて加算合成),トリミング処理

50年以上前の1965年に中国の南京市にある紫金山天文台で発見された短周期彗星です。
「紫金山」は天文台がある山の名前で、発見者名ではありません。
英語でのスペルは"Tsuchinshan"となっており、「ツーチンシャン」と呼ぶらしい。
太陽を約6.4年周期で公転しており、今回帰では11/16に太陽最接近となったばかり。
今がちょうど最も明るく見える時期ですが、光度は約10等級なんで、肉眼ではもちろん、
小型双眼鏡でも観望は厳しいです。6年後の次の回帰ではもう少し地球に近づくので、
さらに好条件となりますが、肉眼で見えるほどの明るさにはならないでしょう。

続いてはおとめ座にいるこの彗星↓

24p2017_01.jpg
【ショーマス彗星 24P】
 総露出時間27分(3分×9コマ,彗星の動きに合わせて加算合成),トリミング処理

100年以上も前の1911年にフランスの天文学者ショーマス氏が発見した短周期彗星です。
この彗星も11/16に太陽最接近となったばかりで、今が極大光度となっていますが、
やはり暗めで、11等台の明るさです。ちなみに8.3年ほどの公転周期を持っており、
次の回帰の2026年1月に地球へ近づきます。と言っても肉眼光度にはならない見込みです。

ということで、どちらも目立たない彗星ながら、写真では比較的容易に捉えられました。
でもフォトジェニックな被写体とは言えませんねー。そろそろ大彗星が来ないかなー。

共通撮影データは次のとおり。
 キヤノンEOS60Da+口径18cm写真撮影用反射望遠鏡,ISO1600,F2.8,中型赤道儀使用


新月の夜は朝霧高原で☆撮り(2017/11/18) 前編

2017-11-20 23:15:00 | 遠征日誌

先週の土曜日は午後から急速に天気が回復し、夜は星空の広がる所がありそうな状況でした。
ちょうど新月の夜で、なおかつ週末でもあるので、これはもう自分のような☆撮り屋に対して
チャンスを逃さず出撃せよ!と、天からお告げがあったようなものです。
だいぶ寒くなってきたので、比較的暖かーい伊豆方面を目指そうかなと思っていたら、
意外と予報が思わしくないことが判明。同じ静岡県でも北寄りの富士山方面であれば
宵の口から晴れ間が期待できそうな感じだったので、富士山西麓にある朝霧アリーナへ
向かうことに決定。ちなみに個人的には最近あまり行ったことがない撮影地です。
現地には20時頃に到着。天気は目論見どおりの快晴でしたが、強風が吹いていました。
同志の人達のクルマが数台停まっていて、既に撮影中って感じの方もいるようでした。
強風が収まってくれることを期待して、途中で買ったコンビニ弁当を車中でゆっくり食べながら
アジアプロ野球チャンピオンシップの日本-台湾戦をTV観戦するなどして待機していましたが、
静まる気配が全くないので、22時近くになってから意を決して撮影準備を開始。
クルマを風よけ代わりにして、すぐ南側に横付けするように機材を組み上げました。
で、最初に狙ったのはこの天体↓

ngc1499_blog.jpg

【カリフォルニア星雲 NGC1499】
 総露出時間15分(3分×5コマ加算コンポジット)の3フレームをパノラマ合成

ペルセウス座にある星雲で、写真写りの良い対象です。長軸方向の広がりは満月の5個分弱と
かなり大きいので、縦構図にして横方向に写野が重なるようにずらして3コマほど撮影し、
パノラマ合成してみました。でも、フレーミングに失敗したので、結局トリミングする破目に。
その場の思い付きでやると、ろくなことにならないもんだと痛感しました。

次にオリオン座にある某天体を狙ったのですが、強風の影響をもろに受けてブレブレ画像を
量産してしまい、あえなく撃沈。
もう撤収しようかと思いましたが、気を取り直して撮ったのがこちら↓

ngc2264b_blog.jpg

【クリスマスツリー星団・コーン星雲付近】
 総露出時間48分(6分×8コマ加算コンポジット)

いっかくじゅう座にある天体です。4年前にも撮り、聖夜の記事ネタにして以来の撮影です。
その時はクリスマスツリー星団をイメージしやすいようにトリミングした上に南北逆さまの状態で
画像をアップしましたが、今回は元来の広い写野のまま、普通に北を上にして載せました。
ほぼ中央にある青色と赤色の星雲が入り組んだところはNGC2264というカタログ番号が
付けられていて、クリスマスツリーを形作る星々もひっくるめて同番号の対象天体になってます。
その下方に写っている著しい暗黒星雲の切れ込みは「コーン星雲」のニックネームで呼ばれていて、
自分がその名前を知った際、なんで日本語で「とうもろこし星雲」と呼ばないのか不思議でしたが、
英語では"corn"ではなく"cone"だそうで、切れ込みを円錐形に見立てたものだと後で知りました。
暗黒部の形はヤングコーンっぽく見えるような気もしますし、所属星座の「いっかくじゅう」は
英語で"Unicorn"ですから、それに合わせて"corn"にして「角」の意味に捉えてもいいんじゃネ?
なんて思ったりしてます。かえってややこしいか?

ここまでの撮影が完了したのが19日の3時ちょい過ぎ。薄明開始まで残り約1時間半というところで、
実はさらに2天体の撮影を敢行するのでした。その成果は続編で紹介します。

なお、共通撮影データは次のとおり。
 キヤノンEOS60Da+口径18cm写真撮影用反射望遠鏡,ISO1600,F2.8,中型赤道儀使用