ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

RAILWAYS

2010-02-28 13:54:58 | ら行
この春
新たな一歩を踏み出そうとする
アラフォー以上の人に送りたい


「RAILWAYS」68点★★



「ALWAYS 三丁目の夕日」っぽい・・・
と思った人、正解です。
おんなじ会社が作ってます。

「わー、かわいいビジュアル!」と
思った人にも、イケるでしょう。

「デハニ50形!キター!」と
思ったかた、バッチリです。

鉄ブーム、不況、第二の人生・・・という今の時代に
作られるべくしてできた映画ですね。



主人公は一流企業のエリート社員・筒井(中井喜一)

家庭もかえりみない仕事人間だった彼は
あるきっかけで島根の田舎に帰り
子どものころからの夢を追う決意をする。

それはなんと、電車の運転手

果たして49歳の挑戦の行方は――?!


起承転結の起伏が
バリアフリーというか

とにかく驚かされることもなく
つつがなく進行していく
「いい話」。


島根県東部、宍道湖のほとりを
トコトコと走る旧型列車ののどかさは
ソフト鉄にもピッタリです。

中井喜一は最初こそカタブツの社員だけど
途中から一転して
ちょっととぼけたあの味を出してくれるし


橋爪功と佐野史郎、緒形幹太(緒形拳の長男ね)など
いい脇役がかもし出す
おとぼけな笑いもいい。


ただ橋爪&佐野のコンビ芸をもっと見たかった・・・とか
観客の要求するツボを
微妙に外してるのが惜しい感じ。

ラストもくどいから
あと25分縮めたらよかったなあー。

ちなみに監督は
「今後、各地の鉄道をテーマにシリーズ化したい」
との意向だそう。

あくまでも“軽ーい”鉄な番長ですが、
マジ
すっごい楽しみなんすけど・・・


★5/29から全国で公開。

「RAILWAYS」公式サイト
コメント (4)
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マイ・ブラザー

2010-02-27 15:30:09 | ま行
トビー・マグワイアが
ゴールデングローブ主演男優賞にノミネートされた


「マイ・ブラザー」79点★★★


美しい妻(ナタリー・ポートマン)と
幼い2人の娘を持つ
優秀な兄(トビー・マグワイア)と
刑務所帰りのオチこぼれな弟(ジェイク・ギレンホール)。

家族の厄介者的な弟を
優しい兄はなにかとかばってきたが

そんな兄が戦地で帰らぬ人となってしまう。

残された家族が
懸命に再生をはかろうとしたとき
なんと
死んだはずの兄が帰ってきた――。


デンマーク映画「ある愛の風景」(04年)を
リメイクしたという作品。

なかなか想像力をかき立てられる筋書きです。


兄が体験する戦場の描写は
イマイチ迫力不足だけど

家族が食卓を囲む
それこそ「ホームドラマ」なシーンに
秀逸さがありました。


それに
マグワイアとギンズバーグ演じる兄弟だけでなく
幼い姉妹の関係性や感情も
しっかり追っているのがいい。


妹の誕生日会でお姉ちゃんが
「妹ばっかり!」
感情を爆発させるシーンとかね。


すなわち
比較されたり、うらやんだり
疎ましかったり、誇りに思ったり。

近しい人間の間にわき起こる
微妙な感情をていねいに描いてある
いいドラマでした。


監督は
「イン・アメリカ/三つの小さな願いごと」でも
幼い姉妹のこころの機微を
上手に描いていた人。

なーる。納得。


でも構成のバランスに不満あり。

105分のうち
起承転結の転、結、をもう少し増やし
あと20分長くてもよかったなあ。


★6月からTOHOシネマズみゆき座ほか全国で公開。

「マイ・ブラザー」公式サイト(coming soon)
コメント (6)
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やさしい嘘と贈り物

2010-02-25 04:18:40 | や行
映画好きとして
いつも歯ぎしりするのは
前宣伝によるネタバレ。しかも無邪気な。

ミステリ作品じゃなくたって
せっかく監督の組み立てた仕掛けを
最初っからばらしちゃうのって重罪よ?


この映画もぜひ
予備知識ナシで見て欲しいんですが。


「やさしい嘘と贈り物」70点★★★


主人公はアメリカの小さな町で
一人暮らしをする老紳士ロバート。

ある日、家の向かいに
老婦人メアリーが引っ越してくる。

やがてロバートは
優しく美しいメアリーに恋をするのだけれど・・・というお話。


単なる「老人の恋バナ」ではなく
そこはちゃんと仕掛けがあります。

冒頭からすこーしミステリアスな空気があり
それを感じながらも

四角四面なロバートが
勤めているスーパーマーケットの若い店長に
マジメにデートの手ほどきを受けたりとか

たっぷりの笑えるシーンや
胸がキュンとするシーンを経て

でも最後の種明かしはちょっと切ない、という映画です。


監督はなんと24歳。
やや若さと青さはあるものの

老い、愛、そして哀しみを
とても丁寧に表現してる。


なんといっても敬意を持って
老人にしか出せない味と魅力を
フィルムに残そうとしているのがよくわかるし


それに答えようと
主演の70代のアカデミー賞俳優コンビ
「エド・ウッド」のマーティン・ランドー(78歳!)と
「アリスの恋」のエレン・バースティン(77歳!)が

やはり敬意と優しさを持って演じている。


だから映画全体がほんのりと
あったかいんです。
ご夫婦でカップルで、家族で見るのオススメですね。


でも、タイトルに「嘘」ってつけるのって
どうなのか・・・←まだ言ってる。


★3/27からシネスイッチ銀座ほか全国順次公開。

「やさしい嘘と贈り物」公式サイト
コメント (4)
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シャッター・アイランド

2010-02-24 02:42:31 | さ行
先ほど見てきたばかりですが

想像より破綻してなかった、と言ったら
失礼か。

けっこう謎解き、楽しめました。


「シャッターアイランド」74点★★★


ときは1954年。

精神疾患のある犯罪者が収容される
孤島“シャッターアイランド”で
一人の女性患者が行方不明になる。


鍵のかかった病室、島外への脱出も不可能な状況で
彼女は煙のように忽然と姿を消したという。


連邦保安官のテディ(レオナルド・ディカプリオ)は
相棒のチャック(マーク・ラファロ)とともに
島に上陸し、事件を探るが
次第にこの島の謎にはまっていき――という話。


とにかく謎を煽りまくる予告編といい
スコセッシ×ディカプリオのコンビは
「ギャング・オブ・ニューヨーク」という
ガックリの前例もあり(「ディパーテッド」は好きだったけど)


正直「風呂敷広げっぱなしになるのでは?」と
危惧していたのですが

さすが原作がしっかりしていたようですね。
ちゃんと落とし前のつくミステリーになっていました。


「画面のあちこちにヒントがある」と
宣伝で言われたとおり
目を皿のようにして見ちゃいましたよ、ハイ。


ただディカプリオは最近どうしてこう
怒鳴ったり、爆発的な演技ばかりなんだろう。

カラダは立派なマフィアサイズなのに(ごめん)
なんか幼さがあって
アンバランスというか。


ずぶ濡れで慟哭する彼を
ひいて撮ったシーンがあるんですが
ホントに子どものように幼くみえて
ポカーンとしちゃいました。

これは意図した演技・・・じゃないよなあ。


来月、久々に来日するそうで
チラ見してこようかしら。

「タイタニック」で取材してから
もう・・・13年?!ヒー!


★4/9から全国で公開

「シャッターアイランド」公式サイト
コメント (2)
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スイートリトルライズ

2010-02-21 18:49:12 | さ行
明日2/22は“二人のフーフの日”なんだそうな。
ま、映画会社が決めたんだけど。


「スイートリトルライズ」43点★☆

なんていうか
恋愛小説本のカバーのような
透明度が高くてきれいな写真、といった
イメージの映画でした。


テディベア作家の瑠璃子(中谷美紀)と
IT企業に勤めるダンナ(大森南朋)は結婚3年目の夫婦。

はたからみると理想的な夫婦に見えるけど
夫は帰宅すると自室にこもってゲーム三昧。

妻は家のなかで「ごはんよ」と
夫の携帯に電話するような
微妙に壊れた夫婦。


そんなある日
二人はともに気になる相手に出会い
夫婦で不倫をし始める・・・という話。


話は「だから?」ってものなんですが
映像がキレイなのと
不倫という題材ながらイヤな気分にもさせず
上手に撮ったなあと思う。


二人が暮らす部屋や
雑貨小物のセンスもいい。

ナイショだけど「サヨナライツカ」よりは
10倍見られると思います。


だから別にヘタな映画じゃないんですが
なんか体温がなくて、空虚な感じ。

まあこれは好みかもしれませんね。


一番わかりやすいのは
主人公の職業が「テディベア作家」っていうのに
どう反応するか、でしょうね。

「プッ」と笑ってしまった人は失格。
マンガ「あたしんち」のみかんを思い出した人も
あまりむいてないかも。


「いやん、ステキ」と思った人は
いいんじゃないかな。

番長は取材でお目にかかった小林十市さんの
カラダがすごい、と聞いて
それ目当てで見たので
けっこう堪能しました。


★3/13からシネマライズほか全国で公開。

「スイートリトルライズ」公式サイト
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