エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

道南プチ遠征その2・・・遊楽部岳(1277m)

2020年10月29日 | 山紀行 (道南)
晩秋の道南、プチ遠征その2・・・未踏1000m超峰シリーズ
20年ぶりの再訪は冬山だった・・・
     臼別岳(1251m)遊楽部岳(1276m)
■ 山 行 日    2020年10月27日(火)  日帰り
■ コ ー ス    左股コース
■ メ ン バ ー     夫婦登山 №33
■ 登 山 形 態     登山道
■ 地 形 図    1/25000地形図 「後志日進」「左股」「遊楽部岳」「買取澗」
■ 三角点・点名   臼別岳  三等三角点 点名「臼別頭 ウスベツノアタマ」
           遊楽部岳 一等三角点 点名「見市岳 ケンイチダケ」

■ コースタイム   登り 6時間30分   下り 4時間20分
<登り>
06:13       登山口出発
07:04       二合目(頂上まで7.1㎞)
07:35~40    三合目(頂上まで6.1㎞)
08:05       四合目(頂上まで5.1㎞)
08:40~50    五合目(頂上まで4.3㎞) C915
09:20       六合目(頂上まで3.9㎞) C968
10:30       七合目(頂上まで1.9㎞)
11:00~10    八合目(頂上まで1.5㎞) 臼別岳(1251m)頂上
11:40       九合目(頂上まで0.5㎞)
12:15       遊楽部岳(見市岳)(1277m)
12:43       旧頂上(1276m)・・・今もここが頂上かと?
      
<下り>
13:00       下山開始
13:25       遊楽部岳
14:25~35    臼別岳
15:30       六合目
15:53       五合目
16:12       四合目
16:30       三合目
17:20       登山口P帯




★ 20年ぶりの再訪・・・
登山道のある1000m超峰に、一度登ってしまうと「次はいつでも来れる」と後回しの傾向だ。
ましてこの山に登った20年前は登山口でテント2泊して帰って来た。つまりハードな山という印象が色
濃く、その後の計画をストップさせていたかも知れないし、熊の出没が多い山としても知られていた事も
足が向かない理由かも知れない。
しかし、妻が未踏であればいつか来なくてはならず、イヤイヤばかりも言ってはいられない・・。

日高・大雪・道北・道東方面ばかりと言う訳ではなかったが、実際道南の山旅は少なく今回良い気分転換
になるかも知れないと思った。

足慣らしに登った昨日のカニカン岳は、予想もしなかった最初の急登にカニカンの洗礼を受けてしまった
印象だが、往復4時間の足慣らしと思えば良い山行だったと思う。こんな山がわが家の近くにあればなぁ
と贅沢な悩みも次ぎ来るのはいつのことか・・・と呆気ない一日だったかも知れない。

とは言え、下山後は八雲まで移動し、温泉で温まってから早く一杯が欲しくなった。
町内の某公園を見付けるとその駐車場に停めて早々乾杯となった・・・。
ここが車中泊して良いかはもうどうでも良かった。ダメだと言われても「もう飲んでます・・」と言い切
り、あとは風任せだ・・・。

早い安着だったが、明日の強行軍を考えてなんと18:30の就寝だった。


★ 登山口まで30分・・・
当初は、遊楽部岳の登山口で車中泊する予定でいたが、八雲町から登山口までの距離を見ると意外に近く、
その分早く出れば問題ないと町内で駐車出来そうな公園に目星を付けていた。近くには道の駅がないのだ
が、出来れば「トイレ付き公園」がベストなのは言うまでもない。明日のアプローチにも便利な公園に訪
れると24時間使えそうなトイレもあり住宅地からも少し離れている静かな環境がベストの場所だった。

公園では、地元の子供たちが遊んでいたが暗くなると帰ったようで急に静かになった・・。
早々地元で仕入れた夕食と冷えた缶ビールで安着の儀となるのは恒例行事だった。

翌朝、まだ暗い5時15分に公園を出る。
道道42号線を30分ほど走ると登山口に着いた。

道道から林道に入ってすぐのところに広場があり、20年前ここにテントを張ったのかも?とすぐ気が付
いた。一旦は駐車したが、ガイド本を見ると出合から約1㎞先に登山口があるようで再び車を始動する。
狭い林道に枝葉が足れ落ち傷が付かないかと気を付けながら林道を走ったが、ワイドタイプのハイエース
には辛かった・・。

登山口に着くと車2~3台なら停めれそうなスペースが道路脇にあり停める。
登山ポストがあったが、酷く破損していてフタすら開けられなかった・・。



歩き始めた早朝の登山路・・・冷やりした空気感とブナの紅葉に癒される


最初の標識を見て早々落胆するあと8000mの文字・・・。

★ 落胆もブナに癒され・・・
6時13分、出発。
もう20年前の記憶などまったく思い出せず、明るくなり始めた登山道に入る。
片道9.6㎞という距離、途中の景色、アップダウンの登山路も本当に思い出せなかった。正に初めて来た道
と言っても過言ではない。カニカン岳と同じように登山道にはブナやカエデ、モミジなどの落ち葉で敷き詰め
られたジュータンを歩く感じで気持ち良かった。ジグを切りながらブナ林を辿り少しずつ高度を上げて行く。

6時33分、一合目。
立派な標識に感心しながらも「山頂まで8000m」を見て、分かっていても落胆してしまった。
まだ20分しか歩いていないのにもう1㎞以上歩いたと思えば、少しは気も軽くなるがあと8000m・・・
余りにも大きな数字に見えてしまった時である・・・。

愚痴る気持ちは、ブナの紅葉(黄葉)に癒されながら前に進むしかないと頑張る事にした。





癒しのブナ林はしばらく続く・・・




ブナの大木・・・


三合目手前にあったキノコ・・・たぶんブナハリタケかと?








9:22  六合目を過ぎた頃ようやく見え始めたのはニセピークと言われる臼別岳だが、まだ遥か向こうだ。


6:53  標高は700mを超える臼別岳の西尾根を辿る頃日本海の展望を望むことが出来た。海の向こうに見えるは奥尻島である。


10:37  七合目を過ぎると予想通り登山道に残雪が目立ち始めた・・・

★ だまされたチーヤン・・・
11時00分、八合目・臼別岳(1251m)頂上。
六合目から七合目までの約2㎞登るのに1時間20分も掛ってしまったし、七合目から400mで辿り着い
た八合目までも30分掛かった。特に歩くのが遅いという印象は無いが雪が出始めてから登山道も荒れ始め
笹が被るような所も多くなったのが理由だろうか?ともあれ、最初の目的である「臼別岳」に登頂したので
あるが、チーヤンはここが「遊楽部岳」と思ったらしい。しかし、臼別岳頂上標識は無く8合目標識が三角
点の横に置かれ、その先の頂を見て違うと分かったようだ・・。

ニセピークとは良く言ったもので、臼別岳の手前の肩もピークと勘違いするコブがありそこでも騙されたか
らため息が出る。
さて、11時と言うことは出発からすでに4時間45分も経っていたことになり、予想外に時間を要してい
る事に焦りも出て来た。望む遊楽部岳の頂はまだ遥かで、吊り尾根のアップダウンも気になるところだ。
ここから一気に100m近く下りコルから小さなコブを超えて頂上への急登が待っていた・・。

すべて雪道で滑りやすく何度も転んだ場面では体力を消耗する。
頂上直下の急斜面は、笹一本が命綱のように思え助けられたが、笹に感謝するとは思ってもいなかった。



初登頂の「臼別岳(1251m)」頂上にて   右後ろの山が太櫓岳(1063m)


臼別岳頂上から望む遊楽部岳と吊り尾根


臼別岳の頂上標識は無く、この標識が三角点の横に置いてあった・・


臼別岳頂上から遊楽部岳の南西にある白水岳(1136m)や熊石岳(1082m)そして日本海などを望む


臼別岳頂上から望む「太櫓岳(1063m)」は、2014年3月に登頂済み


滑り落ちるように吊り尾根のコルへそして淡々と頂上を見据える・・・

★ 死闘の6時間半・・・
12時15分、遊楽部岳(見市岳)(1277m)到着。
臼別岳から約1時間を要した。ようやく登って来たのにここはハイマツの中。
ピンテは付いていたが標識も頂上らしき痕跡も無く、登頂感はまったく起きなかった。GPSだけが最高点
の1277を示していたからやはりここが遊楽部岳頂上なのかと呆気に取られる。

「もうここで良いか?」と思った・・。
もう12時を過ぎてしまったし、向こうは1m低い旧頂上なら行かなくてもいいと本気で思った。
しかし、ガイド本では旧頂上まで15分とあったし、三角点と頂上標識もある場所だから、気を取り戻して
行くことにした。なのに道が無い・・・

最初からハイマツの嵐に突入。
ハイマツに雪が乗っかっているため、登山路に覆い被さりトンネル状態。両手で掻き分ける度に雪で濡れる。
足元は笹が雪の重みで倒れているので笹踏み状態、道が不明瞭なところもしばしばで、カッパ上下は着てい
たが、もうビショビショになった。コース最大の難所だった。

ここまで来たら戻る事は考えていなかったが、30分も掛ってようやく到着。
正直もうヘロヘロだった・・自分たちの事だが死闘と言える6時間半をよく頑張ったと褒めたいところだ。



一等三角点のある旧頂上と言われるユーラップ岳(1276m)は完全に雪山だった・・・

★ 本当の頂上はどっちだ!・・・
12時43分、ユーラップ岳(1276m)頂上到着。
やっぱり頂上とはこんな場所・・・この広場を見た時は本当に安堵した。
雪を敷き詰めたような頂上、名物?三本のスコップも健在・・・しかし、一等三角点はどこだ?
積雪は約10㎝だから三角点の頭位分かるだろうと思ったが、結局見付けられなかった・・残念

背を延ばせばある程度の眺望は楽しめるが、それを楽しむ気持ちの余裕が無いのか写真だけ撮って下山体制
が早かった。

ところで、遊楽部岳の頂上ってホントはどっちなのだろうか?
ガイド本も地形図もYAMAPのGPSでも遊楽部岳は最高点の1277を示しているが、なぜここに頂
上標識が無いのだろうか?一等三角点のある場所を何故旧扱いにしたのかも疑問である・・。更に言えば
新頂上から旧頂上までのハイマツ帯は何故あんなに廃道化しているのか?腑に落ちない登頂だった。



「遊楽部岳(旧頂上)」チーヤン初登頂、私は二度目の再訪だったが・・・

★ 休まぬ下山劇・・・
13時00分、下山開始。
普通に考えても下山には最低4時間以上は掛かるだろう・・・
4時間でも17時だからゆっくり降りてる余裕は無い。覚悟の下山に心する。

そのため下山時に撮った写真は以下の3枚だけ・・・。
休んだのは臼別岳の10分だけ、あとはひたすら歩き続けた。ただ、私が途中で足が攣り特効薬を飲む時に
休んだと言えば二度目になるが・・・。嘘のような効き目、1分で攣りは治まり再び歩き始める。

17時を過ぎてもやっぱり下山出来なかった。周りは急に暗くなるもヘッデンは最後まで点けずに登山口に
着いた。そして間もなく暗闇となる。
まさにギリギリも安堵の下山だった。

1277のすぐ南稜線上に1175の前岳がある。時間に余裕があれば行きたかったが未踏の1000m超
峰だったが、残して来たことが悔やまれるも仕方なかった。
しかし、次もこの道を辿って来るのはもう御免と言いたい。だとすれば、この周辺の未踏峰には残雪期しか
選択肢は無くチャンスを見逃さないよう注視することにした。



下山時、吊り尾根の途中から遊楽部岳を振り返る・・・


同じ場所から臼別岳(左側のピーク)を望む


あまり見せたく無い私のアップ写真だが、三脚を出す余裕もなく自撮りした臼別岳にて

★ 成果と教訓・・・
雪の遅い道南だから・・・と甘く見ていたのが大きな間違いだった。
それでもやっぱり道南か・・・雪があってもまだ登山靴で歩けたし好天にも恵まれて寒さで震える危険は感じ
なかった。長丁場の遊楽部岳、少しでも早い出発が救いとなり予想外の登行もギリギリセーフだったのはラッ
キーとしか言いようがない。未踏の1000m超峰を予定通り踏めたことは成果だったが、登る時期が遅かっ
たのは反省すべき教訓となった。
来月も道南のプチ遠征を予定していたが、しっかりと情報を掴んで対応しないとまた痛い目に合うかもしれな
い。


※10/31  アップ終了。