エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

神威岳(983m) 登山道整備再び・・・

2019年05月28日 | ボランティア
異常な暑さで人間も機械もオーバーヒート・・・
神威岳(983m) 登山道整備再び
■ 作 業 日    2019年5月27日(月)    日帰り
■ ル ー ト    神威岳百松沢コース
■ メ ン バ ー     夫婦登山 №17
■ 登 山 形 態     登山道
■ 地 形 図    1/25000地形図 「手稲山」「定山渓」
■ 三角点・点名   神威岳 三角点無し、標高点のみ
■ コースタイム   倒木処理作業のため参考にならず・・

<登り>
08:15       駐車地点出発
08:20       百松沢小屋
08:45       百松沢林道短絡路分岐入口
09:05       百松沢林道短絡路分岐出口
09:25~35    登山口
09:55~11:25 第一ロープ場倒木処理作業
12:15~12:30 見晴台
13:00~13:15 第一ロープ場再度作業あり

<下り>
13:15       下山開始
13:30       登山口
14:40       百松沢小屋



GPSを元に地形図に移したログです・・・

★ 札幌登山道整備隊(STST)活動本番・・・
新緑の5月に入り札幌登山道整備隊(STST)の活動は、いよいよ本来の登山道整
備に取り掛かっている。それも休む事を忘れたかのように計画は止まない。

5/03  硬石山(371m)       登山道整備&偵察  2名
5/06  硬石山(371m)       倒木処理作業    6名
5/12  西岡焼山(262m)      倒木処理      6名+1名
5/19  朝里天狗岳(683m)     登山道整備     6名+2名
5/23  神威岳(983m)       偵察&倒木処理   4名
5/26  札幌岳(1293m)豊滝コース  林道整備及び倒木処理 6名+1名
5/27  神威岳(983m)       倒木処理      1名+1名

これが良い事なのか、出来過ぎているのか?分からないが、たった19名の隊員なのに
これだけの活動をこなすのはボランティアの域を越えていると言われるかも知れない。
ただ、札幌近郊の山に限っても登山道の整備されている山は少なく、昨年9月の台風な
どによる爪痕はどの山にも例外なく残され、特に巨木が登山道を遮り登山の支障になっ
ている箇所は数え切れないほどだ。

出来る事しか出来ない・・・。
当たり前であるが、これまで少人数の手作業でコツコツと行って来た登山道整備も今や
刈払機やチェーンソーを使用しないと作業出来ないほど荒れているのが現状だ。
昨年発足したSTSTだが、地道なボランティア作業故にしっかりとコンセプトを持ち
長く続けていく事こそ大切な活動だから、焦らず一歩ずつ安全にそして確実に行ってい
きたいものである。
微力ながらその一員として少しでもお手伝い出来たらと、ただ今奮闘中である。


★ 札幌岳豊滝コースと神威岳・・・
当面の大きな活動のメインは、札幌岳豊滝コースと神威岳~烏帽子岳の縦走コース
で6月の活動は、これだけで精一杯かも知れない。
夏山シーズンを迎え隊員のほとんどは登山愛好家だから、STSTとしての活動にいつ
も参加出来るとは限らない。自己優先をモットーにするSTSTだから、鈍るのは致し
方ない現実である。

先日(26日)の札幌岳豊滝コース林道整備に出掛けた隊員は、まず登山口までの「盤の沢
林道」自体を整備する事になった。ゲートから登山口まで3㎞強の林道だが、荒れ放題
で普通車での通行には問題があった。事前に入林許可を得てゲートを通過し整備の必要な
場所まで移動する。剣先スコップ、鋸、チェーンソーなども用意して一日汗を流した。
その甲斐あって登山口の約1㎞手前まで整備を終えて車も通れる状態になったと言う。
次の整備は、6/2を予定し少なくとも登山口までの林道整備で再び汗を流すだろう。
この時は、私も何とか参加出来そうなので刈払機を持参して行こうと思う。

さて、神威岳の登山道も事前の偵察で昨年に無かった倒木が酷く登山道を支障している
と言う。特に第一ロープ場の急斜面上の登山道を遮る倒木は、巨木で直径50㎝位らしい。
これを何とかして欲しい・・・と隊長から嘆願されていたが、27日に動ける隊員は私を
含めて2名のみ。更に昼からの活動になる状況だったので一旦は中止にした経緯がある。

前日の札幌は33度、そしてこの日は34度まで上がると言う異常な気温に機材を背負っ
て山に登り、倒木の処理が出来るとは思わなかった。
しかし、迷っていた。気になっていた・・・50㎝の倒木。


★ 妻のサポート・・・
一旦は中止した作業。
すると妻が、「一緒に行くかい?」と優しいお言葉・・・。
機材の一部(チェーンソー本体)を妻が背負ってくれると言うのだ。
そして、朝から行動する事によって少なくとも気になった倒木だけは処理出来るかも知れ
ないと希望の光が見えて来た。

そして、変更の変更で再び神威岳倒木処理の活動をする事になった。



最初のアプローチとなる「百松沢橋」を渡る・・・妻のザックにはチェーンソーが入っている


百松沢林道に入ってすぐの場所に「かかり木」があったが、通過には支障なかった


林道から登山口への短絡路出合いにある「神威岳」の標識


ようやく登山口に・・・ここまで約1時間かかった

★ スタートで気温25℃・・・
5月だと言うのにこの異常な気温の上昇は何?
駐車帯に車を停めた時点で車のモニター画面に示す外気温が25℃だった。
準備を終えて歩き出すが、早くも汗が滴り落ち始める・・・。

背負子には、チェーンソーのガソリンとオイル、工具、ヘルメット、飲み水などが
入っている。そして、妻のザックにはチェーンソーの本体(約5㎏)を入れて貰い背
負ってもらった。これだけでもありがたく感謝しかないが、今日の異常な気温がこ
の後ハプニングに繋がるとは思ってもいなかった・・・。



ビフォーアフターの記録に残そうと倒木を処理する前の証拠写真・・・

★ 現場まで1時間30分・・・
強い日差しに耐えながらゆっくりと歩いて来たが、問題の倒木現場に着いたのは
9:55だった。そこは、第一ロープ場と呼ばれ小沢を渡渉してフィックスロープ
を使って急斜面を登り細い登山道が急斜面をトラバースするように伸びている場所
だった。
ロープを登ってすぐその倒木が目に飛び込んで来る。隊長が言うように巨木であり
上を跨ぐには足場が無く、潜るにもスペースは僅かだった。これが在ると無いでは
登行に大きな差があり来て良かったと思った。

機材を降ろし、先ずは倒木現場をしっかりと確認する。


★ 巨木と格闘1時間半・・・
巨木は、トド松で直径約50㎝。その奥に40㎝ほどのトド松がもう一本あった。
足場が悪く倒木は急斜面に沿って斜めに倒れている。最初の鋸目をどこにするか悩
むも一番足場が安定している真ん中から切り始めた。しかし、なかなか切込みがス
ムーズにいかず切れない。非常に硬い木なのだ。歯は研いで来たのでチェーンが原
因ではないと思ったが、ひとつの玉切りをするだけでも大汗を掻いた。次も小幅に
もう一か所玉切りして一応人が通れる幅で切った。そして、最後に登山道幅で両サ
イドを玉切りしようとしたが、突然エンジンが止まってしまった。ガソリンとオイ
ルは給油したばかりなのに何故?と、思ったがすぐに原因は分かった。

エンジンのオーバーヒートである。
気温も高い中で休まずにチェーンソーを稼働したため高熱となったのだ。

休憩も兼ねてエンジンを休ませながらの再稼働をするも順調ではなかった。
結局この一本の処理に1時間以上掛かってしまった。

二本目の作業もエンジンが再び止まり難航・・・
エンジンを冷ますためしばらく休ませることにして荷物をデポし、神威岳の頂上ま
で登ろうと空身で出発した。



50㎝の倒木を切り始める私です・・・


作業の足場が良かった中心部をカットする・・・


直径はやっぱり50㎝あった・・・


更に切込み幅を広くしていく・・・


そして、ようやく道が開通する・・・


取り敢えずの作業を終え、ドヤ顔でポーズ・・・




もう一本の倒木も切り始めるが・・・


写真左側に木の根があり、切り出すと根がずり落ちて来て隙間が埋まり外れなくなった・・・

★ 人間もオーバーヒート・・・
チェーンソーのエンジンを冷やすため、稼働を止めて現場にデポしその間に神威岳
の頂上まで登る事にした。
すると、この先には倒木の嵐と言っていいほど数か所の倒木があり、それが第二ロ
ープ場まで続いていた。最初の50㎝のトド松ほど太いものはなかったが、いずれ
も登山道を支障していたし、手鋸だけでは処理出来ないものばかりだった。

デポして来たチェーンソーがあればなぁ~と後悔しつつも、動かないチェーンソー
では役に立たず、悔しい思いでその場を通過していた・・・。

それにしても「暑い!」
チェーンソーで大木と奮闘してすでにヘロヘロ気味だった事も加味するが、少し歩
いただけで汗が吹き出し止まらない。足は鉛のように重く数歩歩いては止まる感じ
で妻との距離が開いていく。
これではダメだ。
頂上までまだ1㎞ほどあるし、これ以上無理をすると下りにも影響するかも知れな
いと「見晴台」で登行を中止する事にした。

しばらく休憩を取り、すっかり汗も引いて気持ちが楽になると元気が出て来た。
下りになると急に足取りが軽くなって逆に妻を引き離すほどだ。倒木現場をチェッ
クしながら、写真を撮る余裕さえ出て第一ロープ場まで戻って来た。



ここは簡単に潜れるが・・・


こんな場所も多々あって驚いた・・・


なんとか通れるが、無い方がベストだ・・・


第二ロープ場の手前にあった倒木、巨木だが跨いで通過出来た・・・


STSTで作成した「見晴台」の標識です


「見晴台」ここで限界だったのは私・・・もうバテバテでした


「見晴台」から望む頂上神威岳・・・まだ1㎞ほどあった。

★ 新たな山登りスタイル・・・
何度か登っている「神威岳」や「烏帽子岳」だが、基本ピークハントのエバ夫婦は
一度登った山に繰り返し登る事は珍しかった。1000mに僅かに届かない神威岳
なら尚更一度登ると次の登頂は遥か先になるのが常だったが、昨年からすでに数回
再訪しているなんて考えられない異例である。

登山道整備という時に重労働のボランティアでも、私の中に一つの山登りスタイル
として新たなライフワークが芽生え、1000m超峰全山制覇の目標も並行してや
り続ける気力を忘れず、出来れば夫婦で長く続けられたらと思いは募る。

なんとなく中途半端になってしまった今回の倒木処理作業も、異常な暑さを言い訳
にして初志貫徹は出来たと納得し、重いチェーンソーを背負ってくれた妻に感謝し
ながら下山の途に就いた。

登りでは、沿道に咲く花々を写真に収める余裕などなかったが、下りでは少しだけ
撮る余裕も出来たし、山の産物も少しだけ頂戴し無事下山した。



登山道では数株あった「シラネアオイ」に癒される


「ヒトリシズカ」所々で小さな群落があった・・


「オオカメノキ」の花


「タチツボスミレ」が意外にも多い・・・




疲れていても山の産物だけは見逃せない・・・



※ 6/2 なんとかアップ終了しました・・・。