エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

再訪・・南日高・ニオベツ川南面直登沢~野塚岳(1353m)

2017年08月24日 | 山紀行 (日高山系)
仲間の沢入門で選んだ日高・ニオベツ川・・・
ニオベツ川南面直登沢
~野塚岳
(1353m)~南尾根コル西面沢下降ルート

■ 山 行 日     2017年8月21日(月)   日帰り
■ ル ー ト     ニオベツ川南面直登沢~野塚岳~南尾根コル西面沢下降ルート
■ メ ン バ ー      HIRO、うらら、エバ
■ 登 山 形 態      沢登り
■ 地 形 図     1/25000地形図  「楽古岳」
■ 三角点・点名    二等三角点  点名「野塚岳ノヅカダケ」
■ コースタイム    登り 6時間15分   下り 4時間05分
             ※ 今回のコースタイムはまったく参考になりませんのでご了承下さい。
<登り>
08:00       野塚トンネル南側駐車場出発
            護岸壁で懸垂下降を伝授・・・
08:30       本流入渓
09:00       C580二股
10:25       C780三股
12:45~13:20 C1140ラーメンタイム
14:15       野塚岳頂上

<下り>
14:25       野塚岳下山開始
15:00       C1160コル
16:55       C780三股出合
17:55       C580二股
18:30       駐車場


★ お勧めの沢3度目の再訪・・・
この沢を知ったのは、2009年6月だった。
HYML(北海道の山メーリングリスト)のganさんこと岩村和彦氏のお誘いに乗っかり、沢中級者も
楽しめるお勧めの沢として紹介してくれのが始まりである。
そして入会後、ganさんを始めHYMLのメンバーと同行した最初の山行で私にとっては記念すべき日でもあった。

同行者が全員初対面となる山行(遡行)って、どうなるのか?と心配もしたが、リーダーiwaさんとganさんの
指導の下、沢初心者に配慮した登り方に感心させられた事を今も鮮明に覚えている。

距離こそ短いが高度差の迫力と滝の直登、日高を実感する景色そして突き上げた先の登頂。
帰路のルートファインディングなど面白さ満載の野塚岳は、余りにも印象の強い山行となり
翌月には早々妻を誘って再訪し、初登頂した。

あれから早8年の歳月が流れたが、再訪する機会が来るとは思いもよらなかった。
メンバーは、HYMLの会員で沢は初心者と自称する二人なのだが、8年前と重なる思いがする。



GPSログを元に作成したルート図です・・


野塚トンネルから1キロ程手前にある翠明橋公園のトイレと小屋・・・この時、青空だったが。

★ 背伸びした沢入門?・・・
本格的な沢登りは実質初めてとなる二人を「沢入門」と題して誘い選んだ沢がニオベツ川。
最初の護岸壁を降りる時、二人には初めての懸垂下降を伝授する。
しかし、高さ約6mの壁に腰が引けてなかなか上手く降りられなかった。
ザックのみ先に降ろし、三人全員が降りるまで30分を要し最初から計算が狂ってしまった・・・。

ゴーロ帯の歩きや780三股から始まるこの沢の核心部も怪しい登りでは全てザイルを出し確保する。

普段、足並みの揃ったメンバーだけで登っていると微妙な登りでも先頭が登ってしまえば後も続き
ロープの出番は少なくサクサクと登ってしまっている感覚が当たり前になっていたのかも知れない。
初心者を同行した場合のタイムスケジュールは、予想以上に必要なんだと知らされた一日だった。

友人のグループが同じルートで遡行し下りで使用した西面沢では微妙な下りもロープを出さずに
降りたとするブログを読んで、つい鵜呑みにしてしまったが、私が見てもここの下りでは最低1回は
ロープが必要だと感じた。そこには、ハーケンと捨て縄が残置されていた。
実際には4回ロープを出し懸垂下降は2回、支点の無い場所では私が確保して降ろした場面が2回あった。
約1時間を見込んだ下りで2時間掛かったのはこうした経緯だが、最後まで真剣に沢に挑む二人が
誇らしく見え、私自身が勉強させられた事も多い。

登り6時間、下り4時間の遡行だったが、怪我無く日没前に無事下山出来た事に何より感謝したい。

この沢を選択した私には大きな責任があり反省も多いが、ちょっと背伸びした沢入門は二人には
きっと忘れられない遡行になってしまったと思う。
次の機会では怖い沢ではなく楽しい沢でもう少し沢登りに慣れてもらいと思った・・・。



ニオベツ川に入渓するため、この護岸壁を降りなくてはならない。うららさん初めての懸垂下降を体験する。


入渓からゴーロ帯で780三股まで続く。一部伏流した場所もあり全体的には荒れている印象だ。




入渓から20分程でC580二股出合だったが、支流から流れ落ちた石が出合に堆積していた。


C780三股に到着・・・いよいよ本番である


C780三股にて・・・HIROさん


C780三股にて・・・うららさん


C780三股にて・・・エバ   (うららさんより提供)


タカネナデシコ


タカネナデシコとハイオトギリのコラボ


ヤマハハコ


ダイモンジソウ

★ 核心部へ・・・
入渓したから約2時間でこの沢の核心部と言える780三股に着く。
ここまでは、ほぼゴーロ帯の遡行で流木や伏流した河原状態の場所もあり全体的には荒れ気味だった。
慣れない二人には歩き難く多少時間を要したのも仕方ない事で安全第一である。

さて、核心部の右の沢が下山時に下降予定の西面沢で最初から細く急斜度のV字形が見えた。
そして、中央の沢が本流で進路となる。
同行する二人の初沢は白老川と黄金沢らしいが、渓相はまったく違い遡行レベルも一気に上がるところだ。

ここからは、遡行と言うよりは岩登り(クライミング)の要素が強く、直登のルートファイティングと
スタンス、ホールドを使うセンスも問われる域になってくる。沢中級者なら逆にワクワクする場面だが
初心者には登れそうにない壁に見えたかも知れない。そんな場所が次から次と現れ怖がる暇もなく
登らなければ頂上には立てないと思い知らされる。

私が何気に登る岩壁も下から眺める二人には不思議さとドキドキ感で興奮状態となる。
3~4mの壁も途中で落ちればケガで済まない場所もありここはロープを出そうと安全策を取る。
それでもHIROさんは初心者とは思えぬセンスがあり、難しい場所も何とか登って来たので助けられた。

次の920二股には11:40に着き、右に進む。
沢は狭くなり斜度も増して来るが、私の後ろから果敢に挑戦している二人は楽しそうにも見えた。
ふと立ち止まり登って来た沢を振り返るとその高度感に感動し登山口の天馬街道が遥か下に見て
二度感動する。

1100を超えた頃すでに12時を過ぎていてお腹もランチを求めていた。
本当は、頂上で予定していたラーメンタイムだったが、C1145付近で大休憩を取る事にした。
沢水を汲み沢の中でラーメンを作るという行為も二人には初めてだったらしくまた感動していた。
ただのインスタントラーメンなのに有名店より美味しいと言ってくれた・・・。



スタンス・ホールドの多い登りでは出来るだけ自分で登る事を勧める・・・


早くも沢登りの楽しさを知ったのか? HIROさんの笑顔がそう見えた。


果敢に付いてくるうららさん、必死に頑張っています。


難所を超える度に「ホッ・・」とするイエィ・・!です。


ちょっと不明も「コガネギク」?


恐怖から感動に変わる笑顔に救われます・・・


HIROさんは、いつも冷静で楽しそう・・・

★ ラーメンタイム・・・
12:45~13:20  C1145付近でラーメンタイム
本当は、山頂ラーメンでゆっくりしたかったが、予想以上に時間が掛かりお腹も空いたので
ここで大休憩を取る事にした。
二人とも山中でラーメンを作って食べる事自体始めてだったようで、物珍しい・・眼差しで眺めている。
水が流れる沢のど真ん中で高度も景色も楽しみながらアウトドアなランチにちょっと感動してくれたかも。

本当は、こんな事している余裕は無かったがジタバタしてもしょうがないと楽しさを選んだ。
肝心の箸を忘れたが、うららさんが木の枝を切って代用してくれ味が格段と美味くなった(笑



沢の中だから水を持上げずに助かりました・・なんて(笑  (うららさんより提供)


C1140付近でラーメンタイム・・・


美味しいね!始めての味です。


エゾオヤマリンドウ


オオイワツメクサ


日高に在っても葉の形状から・・ダイセツトリカブト?


源頭から頂上へ・・・微妙なルートファインディングが求められる


頂上直下の踏み跡を辿る・・・

★ 先ずは登頂、おめでとう!・・・
14:15 野塚岳 (1353m) 頂上
自分の予想をはるかに超える登り6時間15分で到着した頂上。
何時間掛かってもここまでは登らざる負えなかったのも事実だが、見る限り二人とも元気なのが救いだった。
当然ながら二人とも初登頂に感動し、見えない景色よりここに立つ意味を噛みしめていたようだ。
夏道のない野塚岳を登るには沢登りか積雪期の登頂しかないので、先ずは登頂おめでとうと強く握手した。



野塚岳頂上に立ちましたぁ~

★ タイムスケジュール・・・
14:25 下山開始
あれだけ頑張って登ったピークも僅か10分の滞在しか許されなかった。
それは、登ったら降りる・・・登山の宿命みたいなもので日没前に絶対降りるという
タイムスケジュールが頭を過るリーダーである。

■ 二つの選択肢
一つは、予定している南尾根C1160コル~西面沢を下降し、本流780三股に出合うルート
一つは、C1220コブ付近から小尾根の踏み跡を辿りC580二股まで降りるルートである。

当然ながら二人にはまったく未知なる相談で・・決断するのは私しか居ない。
前者のルートは私自身初めての下降沢。情報は友人の遡行記録だけである。
後者のルートは以前に2度歩いているが、何せ8年前の話。ガスも出て視界が悪く不安は隠せなかった。

結局、予定のルートを選択し南コルから西面沢を降りる事にしたが・・・



頂上から南尾根の下降・・・1160コルを目指す


ミヤマリンドウ

★ 西面沢の下降・・・
15:00 南コルC1160~下降
コルからの下降は、視界さえあれば何も問題なく草原帯を降りる事が出来る。
沢地形を目指して降りて行くと偶然か必然か人のものと思われる踏み跡を見つけ
そのまま辿ると沢の源頭部に降りる事が出来た。ただ斜度は半端なくキック慎重になるのは
仕方なかった。慣れない二人にとっては何度も尻もちついての下降である。

源頭部からは完全なV字形の沢で巻き道は無い。
沢は細く斜度もキツイ。3~4mの滝状が何ヶ所かあり中級者ならロープを出さずに降りる事も可能だ。
しかし、ここは慎重にならざる負えない。
滝状が出る度にロープを出して確保する事にした。
実際にロープは4回出し、2回は懸垂下降する。最初の伝授で少し学習した分なんとか無事下降。
2回は支点が無いので私が確保しながらクライムダウンして下降した。
そんなこんなでC780三股の出合に降りたのは16:55になってしまったが、ホッと安堵する。



南コルから西面沢への下降を始める・・・


見た目以上に斜度があり慎重な下降となる・・・。


微妙なところはお節介でもホローが必要だ。


大分慣れて来たうららさんの懸垂下降・・・西面沢にて


ついでに私も懸垂で降りる・・・


ロープを使うより座った方が降りやすい場面も・・・


沢の中でHIROさんが見付けた鹿の角・・・持って行けずに残置する

★ 休憩無し・・・
17:00 C780三股
二人には申し訳なかったが、ここからの下りは「休憩無し」と告げて歩く事にした。
それは二人ともすでに承知する時間であるので快諾してくれたが、登りで2時間も掛かったので
下りでも2時間・・・では遅すぎる時間だ。

最後は、本当に頑張って降りた。
護岸壁に着いたのは18時過ぎ・・。まだ明るかった。

しかし、この護岸壁は簡単には登れず私が大きく高巻き護岸壁の上に降りてロープを出した。
そして、18:30全員が無事護岸壁に登り終える。

駐車場で着替えを終える頃にはすでに日没となり真っ暗だったが、街灯があり助かった。

帰路では、三石温泉「蔵三」で汗を流し私だけ缶ビールを飲ませて頂く贅沢をした。

私は反省ばかりも、沢初心者の二人は本当に最後まで頑張ってくれたと思う。
お疲れ様でした・・・と心底感謝したいです。


※ 8/24 一応アップを終了します・・・。
  今回、使用した写真はHIROさんとうららさんが撮った写真も含んでいます。
  8/30 ★ 核心部へ・・・で加筆しました。