エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

13年越しの登頂・・・珊内岳 (1091m)

2012年04月22日 | 山紀行 (道央・札幌・積丹)
道央西部1000m超峰全51座踏破しました・・・
99年以来13年越し・・・珊内岳 (1091m)
(思わぬ再会と快晴に恵まれた記念の夫婦登山に感激も・・)

■ 山 行 日   2012年4月21日(土)   日帰り
■ ル ー ト    大川林道終点から南東尾根ルート
■ メ ン バ ー  
夫婦登山 №10 プラス2名・・
■ 登 山 形 態  山スキー
■ 地 形 図   1/25000地形図  「ポンネアンチシ山」


■ コースタイム  登り 4時間20分  下り 2時間50分
                            下りはハプニング参考タイム
<登り>
登山口(大川林道滝ノ沢分岐) 7:50---林道終点 8:40~45---岩峰基部(C550)9:35
---C750岩峰の上10:20---C940稜線10:50---珊内岳頂上12:10
<下り>
珊内岳下山12:25---屏風山手前コル13:20 ハプニング発生!!
                           ---林道出合14:30~40---登山口15:15



GPSトラックは「パッポ隊長出動ログ」からお借りしました。 黒の実線がエバ夫婦の足跡です。

★ 道央西部1000m超峰全51座踏破記念日に・・・

珊内岳を最初に目指したのは13年前1999年の5月でした。
計画は、「珊内岳」の北尾根から登り主稜線を辿って「ポンネアンチシ山」「余別岳」「積丹岳」と縦走する
ものでしたが当時珊内に取付く尾根付近にはまったく残雪が無くルート変更を余儀なくされました。
この時点「珊内岳」は遠い山となり、山行は当丸峠からポンネ・余別・積丹と縦走して下山しました。

昨年、小樽のパッポ隊長から神恵内・大川林道から珊内岳を目指すルートがある事を知り早々と
リベンジを試みましたが林道の除雪状況と稜線での悪天に阻まれ途中で下山していました。

今年のリベンジもずっと前から計画していましたが、その間に未踏だったいくつかの1000m超峰に
登る事が出来この山を最後に道央西部域の1000m超峰全51座の踏破となりました。


<エバがカウントした全51座 (標高順)>
1.羊蹄山  2.余市岳  3.無意根山  4.中岳  5.ホロホロ山  6.恵庭岳  7.漁岳  
8.徳舜瞥岳  9.ニセコアンヌプリ  10.白井岳  11.余別岳  12.狭薄山  13.札幌岳  
14.朝里岳  15.並河岳  16.積丹岳  17.空沼岳  18.小漁山  19.オロフレ山  
20.目国内岳  21.雷電山  22.長尾山  23.前雷電  24.喜茂別岳  25.幌別岳  
26.ポンネアンチシ山  27.定山渓天狗岳  28.チセヌプリ  29.イワオヌプリ  30.烏帽子岳  
31.尻別山  32.大沼山  33.風不死岳  34.珊内岳  35.岩内岳  36.ニトヌプリ  
37.カルルス山  38.シャクナゲ岳  39.美比内山  40.フレ岳  41.ワイスホルン  
42.昆布岳  43.百松沢山  44.樽前山  45.来馬岳  46.丹鳴岳  47.小イワオヌプリ  
48.手稲山  49.阿女鱒岳  50.本倶登山  51.迷沢山  


※一つの通過点に過ぎませんが自分の節目として記して置きたいと思います。

★ 山での再会・・・

登山口は、神恵内から道道998号線に入り「温泉998」から1キロほど先に古宇川の支流大川と
トーマル川の二股があり大川の右岸林道に入る。出合いから約3.8キロ先に滝ノ沢川の分岐と
林道二股があり「滝ノ沢橋」が架かっている。今回はここまで除雪されていたので入る事が出来たが、
時期によっては最終除雪の場所が違うので注意が必要だと思う。車数台が駐車出来るスペースが
あったがこれも時期によって違うかも知れない。

7:25登山口に着くとすでに2台の車が駐車していた。
こんなマイナーな山も「雪山ガイド」で紹介された影響か訪れる登山者が増えた事は間違いない
かも知れない。狭い駐車スペースだったが上手く止めると6台くらいは駐車出来そうだ。

車を止めて出発の準備をしていると1台の車が到着しそのすぐ後にもう1台が到着した。
全部で5台大盛況の大川林道登山口である。最後の1台に乗っていた2名はなんとH谷くんと
K光くんだった。二人とは以前入会していた山岳会の仲間で退会して以降共に山に登った事は
無かった。山で出会うのは実に7年ぶり偶然の中の偶然という感じで互いに驚いたがH谷くんは
13年前に珊内岳を目指すメンバーの一人でもあった。かれもまた珊内岳のリベンジにこの日
を選んだと言う・・。

若さ溢れる30代の彼らにエバ夫婦の足並みは揃わず、パーティーは別々とし準備を先に終えた
エバ夫婦が先行して出発した。
エバのすぐ後に到着した単独の登山者はポンネアンチシ山を目指し時間があれば余別岳まで
行きたいと言っていた。



最終除雪の駐車スペース

★ 絶好の登山日和・・・

雲一つない青空が広がり早朝から熱い日差しが眩しい。
まさに絶好の登山日和となり登頂の可能性を高めてテンションも上がる。

林道の残雪も1m以上あり先行者のトレースがくっきりと残っている。
右手に流れる大川は融雪で増水し勢い良く流れている。少し歩くと前方には取付く尾根の
750付近の岩峰か見え徐々に近くなるのと同時に気は引き締まって来る。



大川の右岸にある大川林道・・前方に見えているのが取付く南東尾根でコブの
ように見えているのが750の岩峰


★ いよいよ・・・

8:45 スタートして約40分で林道の終点で南東尾根の取付きに到着する。

いよいよ昨年のリベンジ本番の場所に来た・・という思いが強い。




南東尾根を登りこの上が400mの斜度が緩くなるところ・・


しかし、尾根上で唯一スキーでは登れない急斜度の登りがある
それがここ550~600地点である



その上には最初の岩峰が現れるが右側を巻くようにひたすら高度を稼ぐ


尾根の途中から北東に望むポンネアンチシと余別岳は青空に映えて美しい・・


反対の南西側には屏風山が沢を挟んで堂々と鎮座していた・・


約750m岩峰の上の尾根からポンネと余別を背に一枚・・


あまり被写体にならないエバも今日は残したい景色と自分だった・・

★ 未知の世界へ・・・

昨年の3月に挑戦したリベンジは、750岩峰の上までだった。
主稜線は微かに望むも珊内側は厚い雲に覆われ風も強く厳しい世界が想像出来た。
そして、「必ずまた来るぞ・・」とここで誓って下山してのはまだ記憶に新しい。

ここからは二人とも「未知の世界へ」臨む事になるもこの陽気に晴れ晴れしい気持ちで一杯だった。

遠く感じた主稜線までの距離だったが登って見れば30分でC940付近の主稜線に着いた。
進路を西へ辿ると昨年確認出来なかった珊内岳への全貌が見えている。

若き岳友仲間はすでに私たちを抜き去り前を歩く。




★ ありがたき先行者のトレース借用・・・

先行していたトレースは確実に珊内岳へ向かっていた。
ルート取りに無駄が無く稜線分岐のコブを踏まずに手前から大きくトラバースして
珊内岳の南東尾根に取付いていた。

若き岳友たちは元気にコブ付近まで偵察に出掛けその後に南東尾根を歩き出す。
二人はスノーシューだったがその速さにとても追い着けなかったのは言うまでもない。

エバ夫婦はありがたく先行者のトレースを有効活用させて頂いた。




★ 意外と遠い南東尾根・・・

南東尾根を辿ると2つのコブのアップダウンがあり最後に珊内岳頂上尾根への登りが
待っていて意外と遠く感じる最後の詰めだった。



これが噂の「鉞(まさかり)山」かぁ~


最後の珊内岳頂上尾根への登り・・岳友二人が先行する・・


登り4時間20分、頂上へ最後の登り・・背景は南東尾根1040ピーク
コルに写っている人は単独の先行者で長靴でした・・・凄い!かも・・。


★ 色々な記念日に・・・

12:10 珊内岳(1091m) 頂上。
先に登頂した二人と共に全員で握手をして登頂を喜ぶ。
この天気でも風が出て来ると寒いくらいの珊内岳だったがすぐに雨具を着て防寒すると
360度の絶景を楽しむ余裕が出て来た。

エバにとっては
道央西部域の1000m超峰全51座の最後の登頂となり、
一つの節目としても記念すべき日になった。

そして、偶然にせよ7年ぶりにかつての岳友と登る事になったのも何かの縁と感じ、
これも記念日になると思った。



2012.4.21 珊内岳(1091m) 頂上にて


背景左の山は、余別岳と積丹岳・・

★ 下山ルート・・・

12:25 下山開始。
防寒してもジッとしているとやはり寒くなり早々の下山と決める。

登り返しが何度もあるのでシールは付けたままだがコルへの下りと各ピークからの下りは
そこそこにスキーを楽しむ事が出来た。

彼らの足はそれ以上に早く下りも追い着けなかった。

頂上では、下山のルートで相談する事に・・。希望としてはガニマナコと屏風山を経由して
林道に降りるというのが双方だったが取りあえず分岐のガニマナコ(右目)に登ってから
屏風山までの状態を確認し判断する事にしていた。

エバ夫婦は、心強い彼らの判断にお任せ状態となり行くなら行くの「他力本願」タイプに転じる。



稜線分岐のガニマナコに登る二人・・・その後OKサインが出る。


エバ夫婦はガニマナコを迂回して屏風山への南尾根に出た。

★ ハプニング!親子熊との遭遇・・・

エバ夫婦がガニマナコを迂回する時から熊の足跡を確認していたが、南尾根に出ると
稜線上が熊の通り道になっているように足跡だらけだったが一応笛を吹きながら前進する。
C989の下りではスキーを脱いでブッシュ帯を少し降り崖の壁を僅か2mほどだが降りなければ
ならない。先に降りていた二人にスキーとストックを手渡して何とか降りたが、
ちょっとビビルワンシーンだった。

夫婦二人だけなら降りずに引き返したかも知れない難所である。

そんな難所をクリアーして一休みしていると、K光くんが突然、奇声を上げた。

「あそこに誰かいるぞ!!」・・・


屏風山の頂上に「親子熊」が動き回っていた。
前進して屏風山の頂上には近寄らず東斜面をトラバースして超える案もあったが、
何せ親子熊なので危険が大き過ぎる。

引き返すにはキツイ登り返しが3度ありスキーのエバ夫婦には負担も大きかった・・。


★ 判断・・・

ガニマナコ東面直登沢の下降・・・
苦肉の決断かどうかは別にしても、今日の良き日が選んだ判断はガニマナコと屏風山の
コルから東直登沢に向かって直下降し林道に出ることだった。
眼下の沢はびっしりと雪で埋まっているが途中と林道付近の状態は不明だ。
それにコルからの下降と言っても斜度は35度を超える急斜面でいつ雪崩れるとも限らなかった。
事実コルの先に出来ていた雪庇が崩れ雪崩となったのを目の当たりにしたのはすでに斜面を
下り始めた時だった。

それでも斜面にはダケカンバの大木が点在していたのであまり恐怖感を感じずに降りる事が出来、
チーヤンはスキーが楽しめて良かったと呑気そのものだった。






あっという間に沢底に着く。何事も無くちょっと安心・・


さすがに林道付近は沢面が顔を出して勢い良く流れていたがスノーブリッジも幾つもあり
右岸左岸の移動に苦労する事無く無事林道まで降りる事が出来た。

コルから僅か1時間足らずの沢下降となりこの時期ならではの最短ルートかも知れない・・。

(まぁ、無事下山出来たから言えるジョークですが・・・)


登山口となった滝の沢橋から望む大川の流れ・・・

何度も繰り返すが、こんな登山日和に登れたこと自体感謝したい山行だったし、

ありがたき力強い岳友の同行や先行者のトレースそしてアクシデントも運の良いルート判断と

積雪状態・・に恵まれて無事下山出来た事は本当に思い出深い山行になった。

このルートを2度歩いているパッポ隊長は本当に凄いなぁ・・と実感しました。

色々とアドバイスも頂きありがとうございました。