「ビタミンF」
重松清著、新潮文庫、2003年7月
夫であり父親である、30代後半から40代前半の男性7人が主人公の短編集。
「新潮文庫 第7回紅白本合戦 男性に売れた本第1位」
として書店に並んでいたので、手にとってみました。
2001年直木賞受賞作で2003年に文庫化されています。
その本がなぜ2021年に1位になったのかは分かりません。
「ビタミン」というタイトルから、心の健康を維持してくれるような作品を想像しました。
概ね想像通りでしたが、各話スッキリ解決!という終わり方ではなく、
少し光が差したかな、という程度です。
小学校高学年から中学生の子どもたち、妻、親にヒヤヒヤさせられます。
「セッちゃん」は捉えようによってはサイコホラーです。
同様の環境の人にも異なる環境の人にも、
「自分だけでなくみんな大変だよね」
と感じさせ、心にゆとりを与えてくれると思います。
ビタミンには「F」はないそうで、「後記」に「F」と付けた理由が書かれていました。
時代を感じさせる描写が少ないからか、いま読んでも古さは感じません。
関連エントリ:
【新潮文庫 第6回紅白本合戦】
・男性に売れた本第1位
ホワイトラビット
・男性に売れた本第2位
ペスト