金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【重賞回顧】 中山記念・阪急杯

2022-02-28 06:52:51 | 競馬

 まず高松宮記念トライアルの阪急杯勝ったのは、ロードカナロア産駒ダイアトニック好スタートから3番手追走へ。内埒際の効率的なレースで、ジックリ脚を溜める選択。直線に入ると、逃げるモントライゼの内側をスルスル抜け出して、モントライゼの外から伸びてくるサンライズオネストとの競合いを制して、自分の後ろから鋭く差してくるトゥラヴェスーラの追撃をクビ差凌いで勝利岩田康成騎手の好騎乗が目立ったレースでした。2着の鮫島騎手も素晴らしかった。1~3着は、馬場の内側を利した結果でした。

 4着のリレーションシップ、5着のグレイイングリーンは、良く伸びてきましたが、コース取りの差が大きかったと思います。特にグレイイングリーンは力を見せましたので、何とか本番に出られれば面白い存在なのですが。まだ賞金が足りませんね。

 

 そしてスーパーGⅡ中山記念勝ったのは、ロードカナロア産駒パンサラッサ好スタートからスピードを活かした逃げへ。2コーナーまでは突かれる展開でしたが、そこからもスピードを落とさず、誰にも追いかけさせませんでした。前半1000mを57秒6のハイペース。次の200mも11秒台。これでは、後続は脚を使わざるを得ません。直線に入っても、セーフティリードを保って、1分46秒4で鮮やかな逃げ切り勝利。2着は中団待機から、直線での追込みに賭けたカラテ、3着には好位から差してきたアドマイヤハダルが入りました

 1番人気のダノンザキッドは、後方待機を選択しましたが、逃げ馬にこういうレースをされてしまえば、全く良いところなし。ここは参考外。

 勝ったパンサラッサは、まるでサイレンススズカに見えてきました。大阪杯でも是非、このようなレースを見せてほしいと思います。また、種牡馬ロードカナロアは、東西の重賞を制して、ここでまた2022年種牡馬成績でトップを奪回しました。ディープインパクト時代を終わらせる使命を、きちんと成し遂げることができるのか。ここにも注目しましょう。

 

 

 おまけで、サウジカップデーの各レース結果について。

 まずは芝2100mのネオムターフカップ(G3)(以下、G3ですけど、優勝賞金は全て1億円超であります)。勝ったのは、Cルメール騎乗のオルフェーヴル産駒オーソリティ好スタートから、何と逃げる戦法を選択。他頭数であることと、オーソリティが操作しやすい馬であることからルメール騎手は逃げへ。そのままマイペースで4コーナーまで進み、持ったままで直線半ばまで。その後は後続を寄せ付けず、1馬身1/2差で完勝オルフェーヴル産駒オーソリティには、凱旋門賞制覇の夢まで広がる可能性を感じます

 次が芝1351mのスプリントカップ(G3)勝ったのは、ここもCルメール騎手騎乗のキズナ産駒ソングライン中団待機で馬込みの中でジッと我慢。直線に入ると、馬群を縫うように前へ進出して、ラスト200mで先頭に立ちます。そこに内と外から追撃を受けますが、クビ差凌いで勝利強い勝ち方だったと思います。その他、日本馬では、ラウダシオンが後方追込みで4着に入りました。

 次が芝3000mのレッドシーハーフハンデキャップ(G3)勝ったのは、またもやCルメール騎手のステイゴールド産駒ステイフーリッシュ好スタートからマイペースの逃げを選択。持ち前のスタミナと闘争心を活かす騎乗が、この逃げの選択となったのでしょう。直線に入っても持ったままで後続を突き放して4馬身差の圧勝ステイフーリッシュがサウジアラビアで復活の狼煙をあげました。

 そしてダートへ。まずはダート1600mのサウジダービー(G3)勝ったのは米GⅠ馬のパインハーストでしたが、2着にセキフウ、3着にコンシリエーレが入りました。特に3着のコンシリエーレは、勝ち馬と競り合った上での3着で、勝ちに行っての結果ですので価値が高かった。セキフウも後方からの追込みは見事でした。

 次はダート1200mのリヤドダートスプリント(G3)勝ったのは、ここもまたCルメール騎手の日本馬ダンシングプリンス好スタートからスピードを活かした逃げへ。直線でも後続を寄せ付けず5馬身差の圧勝3着にも日本馬チェーンオブラヴ、4着にも日本馬コパノキッキング

 最後にダート1800mのサウジカップ(G1)勝ったのは、地元サウジアラビアの米国産馬エンブレムロードでしたが、日本馬マルシュロレーヌは6着、同じくテーオーケインズは8着でした。優勝賞金11億円のサウジカップは、さすがにレベルの高いレースになりましたが、これで引退のマルシュロレーヌは、日本最強のテーオーケインズに先着しましたので、これは賞賛すべき内容だったと思います。

 

 コロナの影響で、欧米からの参戦が本格的ではなかったこともありますが、日本勢のスピード能力がケタ違いで、大勝利となったサウジカップデー。来月のドバイワールドカップデーも楽しみになりました。


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【3歳戦回顧】 2月26日~27日

2022-02-27 17:05:25 | 競馬

 土曜日は中山1Rダート1800m牝馬限定を勝ったクロフネ産駒バーリンギャップ2番手追走から、直線では、逃げたエイシンフラッシュ産駒キットクルを早めに交わして、そのまま後続を突き放し10馬身差の圧勝。良ダート1分54秒7の勝ち時計2着は逃げたキットクル

 小倉2R芝1200mを勝ったロードカナロア産駒ニシノデフィレ2番手追走から、直線では早め先頭に立って、そのまま後続に1馬身3/4差をつけて完勝。勝ち時計は1分8秒32着は3番手から差してきたダイワメジャー産駒ジューンヨシツネ、3着は逃げて粘ったザファクター産駒タマモテラコッタ

 中山3Rダート1800mを勝ったエスポワールシチー産駒ミストルティン好スタートからスピードを活かす逃げへ。直線でも、そのまま後続を寄せ付けず8馬身差の圧勝。1分54秒8に勝ち時計2着は2番手から粘り切ったザファクター産駒アウグスト

 阪神4R芝1600mを勝ったディープインパクト産駒プルサティーラ中団待機で脚を溜めます。直線では、一番外に出して豪快に追込み、先に抜け出していたモーリス産駒アオイゴールドワンを差し切ったあと、後方から差してきたドゥラメンテ産駒スコールユニバンスも、1馬身3/4差抑えて完勝。勝ちタイムは1分34秒32着はスコールユニバンス、3着はアオイゴールドワン

 中山5R芝1600mを勝ったロードカナロア産駒デコラシオン5番手追走から、直線では馬場の中央を選択、一気に抜け出して、マクリ気味に外を上がってくるゴールドシップ産駒カヨウネンカと、逃げ粘るドレフォン産駒アイレをクビ差、クビ差で抑えて勝利2着はカヨウネンカ、3着がアイレ

 中山6R芝2000mを勝ったハーツクライ産駒アレグロモデラート4番手追走から、直線では、早め先頭に立って、そのまま2馬身差で完勝2着は、最後方待機からマクリ気味に差してきたディープインパクト産駒ダノンアマレットこの2頭は、春というより、秋に伸びそうな2頭なので覚えておきましょう。それにしても、今年の3歳世代のハーツクライ産駒は好素材が多い!

 

 阪神5Rダート1200m(3歳1勝クラス)に勝ったイスラボニータ産駒バトルクライ中団後方待機で脚を溜める選択。直線に入ると、中団の位置から差し脚を爆発、後続を1馬身差で快勝前回は逃げ、今回は差し。ダート短距離路線に楽しみな馬が出てきました。2着は、後方からマクリ気味に差してきたフリオーソ産駒クロジシジョー。

 中山7Rダート1800m(3歳1勝クラス)を勝ったドレフォン産駒セイルオンセラー好スタートからスピードを活かした逃げへ。直線に入ってもスピードは衰えず、2番手から差してきたリオンディーズ産駒ジョイスとの追い上げを1馬身1/2差抑えて快勝。勝ちタイムは1分53秒7。3着は3番手から粘り切ったキズナ産駒コンクエスト。

 中山9R芝2200m水仙賞(3歳1勝クラス)を勝ったディープインパクト産駒ロードレゼル4番手追走から、直線では、早めに先頭に躍り出たフェノーメノ産駒オウケンボルトを残り200mから加速して追いかけ、ゴール前でクビ差差し切って完勝前半がスローペース、残り800mが消耗戦になったので、後ろの位置の馬には厳しいレースになりました。絶好のレース運びをしたオウケンボルトの勝ちレースでしたが、ロードレゼルの切れ味が勝りましたロードレゼルは、皐月賞よりもダービーか、秋の菊花賞の方が楽しみ

 阪神10R芝2200mすみれ賞(L)を勝ったジャスタウェイ産駒ポッドボレット2番手追走から、直線では、逃げてそのまま押し切りを図るドゥラメンテ産駒レヴァンジルとの激しい叩き合いとなり、ゴール前でクビ差だけ前に出て勝利。前回のゆりかもめ賞の雪辱を果たす結果になりました。2着はレヴァンジル。残り800mからは消耗戦模様となりましたが、人気のマテンロウボンドやセレシオンは伸びず、前々にいた2頭での決着となりました。勝ったポッドボレットとレヴァンジルは、ダービーでも楽しみな存在になったと思います。

 

 日曜日は小倉5R芝1200mを勝ったロードカナロア産駒ゲンパチレオニダス好スタートからスピードを活かした逃げへ。直線もそのまま後続を寄せ付けず、1馬身1/2差で圧勝。タイムは1分9秒12着は4番手からミッキーアイル産駒ミズノコキュウが差してきて、3着は中団から1番人気のモハイメン産駒シュガーフロートが猛然と追い込んできましたが、1馬身1/2差、1馬身1/4差の3着まで

 阪神5R芝2000mを勝ったドゥラメンテ産駒サンライズエース6番手追走から、直線では内目の馬場を選択、早め先頭から後続に2馬身差をつけて快勝。勝ち時計は2分1秒52着は4番手から馬場の中央を差してきたキタサンブラック産駒ダノンソフィア

 中山5R芝2000mを勝ったハーツクライ産駒シャーマンマンズケイブ中団待機で脚を溜めます。直線では、馬場の一番外を選択、快調に逃げるノアチェリーを追いかけて、ゴール前100mでノアチェリーを捉えて、そのまま後続に2馬身1/2差をつけて完勝。タイムは2分1秒32着は2番手から粘り切ったモーリス産駒ハリウッドフェーム、3着は中団待機から追い込んできたエピファネイア産駒ブローザホーン

 

 中山7R芝1600m(3歳1勝クラス)を勝ったロードカナロア産駒レッドモンレーヴ5番手追走から、4コーナーで早めに前へ、直線ではすぐに先頭に立ってそのまま押し切り勝利。時計は平凡で1分35秒42着は4番手から差してきたルーラーシップ産駒ゴーゴーユタカ、3着は3番手から粘り切ったダイワメジャー産駒モンタナアゲート

 小倉9Rダート1700mネモフィラ賞(3歳1勝クラス)を勝ったドレフォン産駒テーオードレフォン今日は逃げずに、中団待機を選択して脚を溜めます。直線では、1番外を選び、先に抜け出していた1番人気のコパノリッキー産駒コパノニコルソンを追いかけて、ゴール前でクビ差だけ制して勝利。1分47秒2の勝ち時計2着はコパノニコルソン、3着は後方から追い込んできたシニスターミニスター産駒グランブリッジ

 中山9R芝1800mデイジー賞 牝馬限定(3歳1勝クラス)を勝ったジャスタウェイ産駒ルージュエヴァイユ6番手追走から、直線では、逃げ粘るキズナ産駒オンリーオピニオンを2番手からドゥラメンテ産駒サンカルバが捉まえたところを、大外一気で差し切り勝利これでルージュエヴァイユはデビューから2連勝。距離詰めて桜花賞へ向かうのか、逆に伸ばしてオークスへ向かうのか? 個人的には桜花賞での走りを見てみたいです。

 

 阪神10R芝1200mマーガレットステークス(L)を勝ったモアザンレディ産駒ジャングロ好スタートから3番手追走へ。ここは武豊騎手が無理やり控えさせました。直線では、ハイペースで逃げるショウナンカンプ産駒ショウナンマッハを追いかけて、ゴール前で綺麗に差し切って完勝2着は逃げたショウナンマッハ、3着は後方から差してきたキンシャサノキセキ産駒カイカノキセキ

 ジャングロは1200m路線に変更してからは2連勝。卓越したスピードを活かすには、まずはスプリント王座を目指すのが王道でありましょう。


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【競馬】 中山記念(GⅡ)と阪急杯(GⅢ)!

2022-02-27 08:02:23 | 競馬

 ウクライナ情勢を見るにつけ、平和の有難みに感じ入っております。平和だから競馬も楽しめる。そして、平和は祈るだけでは実現できない。それも非情な事実として、心に滲み入ります。

 

 

 まずは阪急杯。芝1400mのコースとして、阪神内回り芝1400mは国内有数のコースだと思います。阪神Cや阪急杯の歴代の勝ち馬が、GⅠ馬あるいはGⅠ級の馬ばかりであることが、その証拠であります。ミッキーアイル、レシステンシア、ロードカナロア、ダイアナヘイローなど。

 今回のメンバーでGⅠ級と言える馬はいませんが、ここは、スプリント界のニューヒーローの予感がするディープインパクト×リトルゲルダの⑫グレイイングリーンを本命に指名します。また、先週重賞初勝利を飾った岩田望来騎手『ケチャドバの法則』を信じて、それも本命の理由に。(ちなみに、『ケチャドバの法則』とは、ケチャップが出ないとき、叩いても叩いてもなかなか出ないが、出だすとドバっと出ることから、一度勝つと続けて連勝することの例え)

 相手は、1400mと言えばダイワメジャー産駒なので、⑧サンライズオネスト⑬モントライゼ、それから⑩ダイアトニック⑨タイセイビジョン①トゥラヴェスーラ②グルーヴィット③リレーションシップ⑤エイティーンガールの7頭。

 馬券は、⑫グレイイングリーンの単勝と、⑫グレイイングリーンからの馬連8点 ⑫⇒⑧⑬⑩⑨①②③⑤

 

 そして中山記念春のスーパーGⅡですが、今年はメンバーがややショボい。最近のGⅠ級の馬は、直接GⅠレースに直行するケースが多く、前哨戦を挟まなくなったことが一番の理由。

 ということならば、本日は名伯楽の藤沢和雄調教師の現役最終日。藤沢調教師には心配も、迷惑もかけまくったディープインパクト産駒の6歳牝馬⑭コントラチェックの恩返しに期待したいと思います。

 馬券は、⑭コントラチェックの単勝と、⑭コントラチェックと⑦ウインイクシード、⑭コントラチェックと⑨ゴーフォーザサミットのワイド2点 ⑭⇒⑦⑨

 

 藤沢和雄先生、本当にお疲れ様でした!


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【馬 第一主義】 藤沢和雄調教師の現役ラストウィーク!

2022-02-26 05:25:46 | 競馬

 毎年2月末は、名伯楽の引退の季節でありますが、今年の2月最終週は、いよいよ『馬 第一主義』を実践し続けた藤沢和雄調教師の現役ラストウィークです。

 

 藤沢調教師が手掛けた名馬と言えば、海外GⅠ勝利がまだ夢だった時代に、世界のマイル王へ登り詰めたタイキシャトル、3歳秋は菊花賞という常識を破って、3歳牡馬が天皇賞秋に挑戦して勝利したバブルガムフェロー、同じくシンボリクリスエスなどが有名ではありますが、自分にとっては、やはりレディブロンドという名牝が最も記憶に残っています

 レディブロンドは外国産馬で、父 Seeking the Gold母 ウインドインハーヘア、という良血でしたが、体質の弱さがあって、デビューしたのが何と5歳春。普通ならば、とうに諦めて繁殖牝馬へ上げるところですが、名伯楽は、この馬の常識を超越したスピードを見抜いていて、それを何とかレースで見せることで、レディブロンドの繁殖牝馬としての価値を最大化しようと諦めませんでした。

 ようやく体質が強化されて、最初に出したレースが、当時の1000万クラスの函館芝1200m。デビュー戦ですから、500万円クラスでもOKなのですが、よほど自信があったのでしょう、このレースを楽勝。その後も、芝1200mばかりを選んで、デビューから土つかずの5連勝。そして、6戦目に選んだのが、GⅠスプリンターズS

 

 さすがに、このレースは僅差の4着に敗れましたが、藤沢調教師は、ここでキッパリとレディブロンドの引退を決めて繁殖に上げました。レディブロンドの卓越した能力を十分に見せることが出来たので、無事なうちに繁殖へ上げるのが、この馬のためには一番との判断でした。ちなみに、この時の1着はデュランダル、2着ビリーヴ、3着アドマイヤマックスで、全て、この時期のスプリントGⅠを勝利する馬たちです。実質的にはGⅠ勝利に等しい4着でありました。

 

 皆さんご存知のとおり、レディブロンドの母ウインドインハーヘアは、その後、ノーザンファームが購入して、レディブロンドの3世代後にブラックタイド4世代後にディープインパクトを産むことになります。藤沢調教師の相馬眼の凄さは今さら言うまでも有りませんが、藤沢調教師は、ブラックタイドやディープインパクトが出現する前に、その姉であるレディブロンドの潜在的な能力を、すでに見抜いていたことになります。

 そして、レディブロンド自身も、その産駒から帝王賞を勝ったゴルトブリッツを出すとともに、ダービー馬レイデオロを産むラドラーダを出すことになりますから、この馬が、優秀な繁殖牝馬になることも見抜いていたことになります。

 

 常に『馬 第一主義』を実践し続けた名伯楽。藤沢和雄調教師の現役ラストウィークを厳粛に見守るとともに、恩師に最敬礼するような気持ちで、精一杯の拍手を贈りたいと思います。


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【ウクライナ情勢④】 ウクライナ軍の抵抗が少ないのはなぜ?

2022-02-25 07:02:14 | ウクライナ情勢

 北京五輪後のプーチンの第1手は、「ウクライナ東部の親ロシア派が支配する『ドネツク人民共和国』と『ルガンスク人民共和国』の独立承認」

 そして、次の1手が昨日実行した、「ウクライナ東部への侵攻」

 

 プーチンは準備していた手を、順序良く繰り出しています。ウクライナ東部への侵攻と並行して、ウクライナ空軍の動きを止めるため、制空システムを破壊する目的でミサイル攻撃を仕掛けたり、国境付近にある軍事施設ほかを破壊したようです。侵攻する地上軍の妨げになるものを排除するための作戦でしょう。

 しかし、ここまでで不思議なのが、ウクライナ軍の抵抗が予想外に少ないこと。国境近くにいたウクライナ軍は、ほぼ無抵抗でロシア軍の侵入を受け入れてしまっています。もちろん、初動攻撃の鮮やかさによって、指揮系統が無力化されているかもしれませんが、ひょっとすると、プーチンは事前に、一部の軍上層部とは「連携関係」を成立させている可能性もあります。

 

 プーチンの最後の1手は、「キエフ占領と新政権樹立」

 その際、今の親米ウクライナ政権を倒して、親ロシア政権を打ち立てる訳ですが、プーチンは、ひとまず臨時のウクライナ軍事政権を立てる予定なのではないでしょうか。その時の首脳候補が、現ウクライナ軍の上層部だとすれば、各地でウクライナ軍の抵抗が少ないのも頷けるところです。また、内戦化を防ぐ「好手」とも言えます。

 ちなみに、今の親米政権が出来る前までは、ロシア軍とウクライナ軍は軍事訓練を共にしてきた「仲間同士」。ここをプーチンが突いてくる可能性は十分に考えられます。

 

 まぁ悔しいですけど、ここまでは、「プーチンの作戦勝ち」ということだと思います。ちなみに、国際紛争が発生してから「国際法違反」とか叫んでも殆ど意味がありません。10万人単位の陸戦部隊が動けば、それに対応した数の陸戦部隊を動かさないと「地域紛争」事態を止めることは困難です。NATO側が甘すぎたということ。

 そんなことは、ローマの時代から当たり前の事実。日本で言えば、戦国時代からの常識。今さら、何を‥という感じ。

 バイデンの弱腰が招いた今回の事態を、アメリカの共和党保守派は、地団駄を踏んで悔しがっていると思います。

 

【補足】

 こういう状態をひっくり返すためには、まずは「米陸軍10万人の追加派遣」を決めること。しかし、これでも実際の派遣には何か月も準備がかかりますので、やるんだったら、昨秋までには決めてないといけなかった。昨秋といえば、そのころアメリカはアフガン撤退を実行していた。アフガンへの派遣程度でも、今のアメリカが継続できない事実を見て、プーチンは今回のウクライナ侵攻を決断したと思います。

 ロシアを慌てさせる方法で、もう一つあるとすれば、極東のサハリンや北方領土周辺で、大規模な日米軍事演習を展開するという手があります。上陸作戦まで準備すれば、ロシアの極東陸軍は、ベラルーシから大急ぎでアジアに帰っていくでしょう。今回のロシアは総力戦なので、アジアで何かが起こると、部隊は分断されてプーチンは大慌てとなり得ます。しかし「上陸作戦訓練」なんて、日本が乗ってこないので、これも無理。

 プーチンが一番ビビるのは、中国がウラジオストク周辺に陸軍を展開すること。19世紀の北京条約でロシアに掠め取られたウラジオストクを、中国は何百年かけても取り返す気持ちが強い。これをプーチンは当然意識しています。ただし、今の国際情勢下、中国はウクライナ情勢には「ほぼ中立」の立場。台湾有事の参考にしている可能性が大。何をするはずもありません。


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