金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【競馬】安田記念特集 とにかくメンバーが凄いが・・

2019-05-31 07:41:46 | 競馬

 タイガース、また勝ちました! 今年は本当に、本当に、いけるかもしれない‥。


 ところで、今週のGⅠ安田記念ですが、とにかく集まるメンバーが凄いのです。マイルGⅠ馬だけでも、モズアスコット・ステルヴィオ・ペルシアンナイト・アエロリット、マイルや2000mのGⅠで2着を繰り返すサングレーザーなど、GⅠ級の馬たちがズラリ。当初は香港から、世界最強マイラーであるビューティージェネレーションの参戦も予定されていたので、事実上の世界一決定戦になると言われていたくらい。

 しかし、現実には、他の馬たちには申し訳ありませんが、勝負はアーモンドアイとダノンプレミアムの一騎打ちであります。この勝負を邪魔するくらいならば、出走を控えてもらう方がマシです。そのくらい、この2頭が抜けている状況。

 もちろん、ペースを作るアエロリットの役割は重要ですし、後ろから差してくるインディチャンプは、上記2頭の間に入り込む力は十分にありますが、それでも勝つのは上記2頭のうちいずれかだと思います。

 高速馬場の府中で、アエロリットが作るハイペース、この2頭はどうレースを進めるのでしょうか? また両馬に死角はないのでしょうか? 明日はレース展開を考えてみましょう。


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【競馬】雌雄を決する闘い 府中1600mに世界が注目!

2019-05-30 07:05:54 | 競馬

 昨夜のタイガースは凄かった。今年はやってくれそうな気がします。

 それから、日本ダービーが終わって脱力したはずが、まだ木曜日なのに、もう週末のGI安田記念が気になって一人で盛り上がっています。


 何と言っても、現役最強馬アーモンドアイと、同級生牡馬のNO.1 マイラーのダノンプレミアムが、府中1600mで雌雄を決することになりました。例えると、ボクシングならばメイウエザー対パッキャオ、テニスならばボルグ対マッケンロー、怪獣映画ならばキングギドラ対ゴジラ、みたいな闘いなのです。私が、変に盛り上がっているのもお分かり頂けるでしょうか?

 さらに、アーモンドアイはノーザンファーム傘下、すなわち競馬界の皇帝である吉田勝己氏が実質的に保有する現役最強馬であるのに対し、ダノンプレミアムはケイアイファーム生産馬で、ノーザンファームへの対抗勢力の代表であります。何だか、スターウォーズの帝国軍対共和国軍みたいにも見えますよね。勝己さんが皇帝、秋田場長がダースベーダーみたいに見えてきます。

 ちなみに、冒頭に申し上げた「雌雄を決する」という表現は適切ではありませんでした。アーモンドアイは雌、ダノンプレミアムは雄ですので、すでに雌雄は決しております。だいたい、この言葉は女性蔑視用語ですので、使用禁止にしないといけませんね。


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【デジタライゼーション】資金決済の話 その2

2019-05-29 07:15:52 | 金融マーケット

 仮想通貨も活用した数十万円までの少額決済のマーケット、すでに中国ではアリババ・テンセントの得意分野ですが、国内において、ここへきてメガバンクが多額の投資を行っています。狙いは何でしょうか?


 狙いは、個々人の毎日の消費行動をデータとして蓄積することと言われています。これらのデータを活用して、あるいは第三者に利用させて、収益の源泉にしようということ。これはアマゾンに代表されるように、巨大なデータを活用して、すべての分野の販社として成功した事例のあとを追いかけようとするもの。恐らく「データを集めたものが勝つ」というコンサル会社の言葉を信じているのでしょう。

 しかし、本当にそうでしょうか? アマゾンが巨大なデータを活用したのは事実ですし、そこに気づいた最初の成功者だったことも事実です。しかし、成功の要因の第一が「データ保有者」だったことなのでしょうか? むしろ、巨大データをAIで読み解き、何と何に何の理由で因果関係があるのか?という仮説を立てることに秀でていたからではないのでしょうか?

 今後、日本の3メガだけでなく、消費データを集積して、それを財産にしようとする動きは活発化すると思います。すなわち、リトル・アマゾンがたくさん発生する訳ですが、彼らがアマゾンと同じように成功するとは到底思えません。なぜなら、「仮説力」は人間特有の能力であり、AIには代替できないからです。そして、自分だけでは使いこなせないので、彼らが集めたデータは、お互いに活用を許諾して共有財産のようになっていくと想像しています。その段階になると、データを保有しているだけでは付加価値を付けたことにはなりません。またディープ・ラーニングの類のAIも、すでに使用を広く開放されていますので、AIを使用するだけで付加価値を付けたとは言えなくなります。データとAIを活用した上で、神羅万象の因果関係を読み解く「仮説力」のある人間こそが、付加価値の源泉になるのだと自分は考えています。

 現在起きている「少額の資金決済マーケットにおける主導権争い」は、膨大なコストを使った挙句、実はあまり意味のない闘いだったとして、将来、歴史に名を刻む気がしてなりません。


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【デジタライゼーション】資金決済の話 その1

2019-05-28 07:31:55 | 金融マーケット

 金融のデジタライゼーションの第1のテーマは、「汎用商品はネット取引が主流となり、販売手数料はゼロに収斂する」ということ。これは前回まででお話したとおりです。この分野で稼ぐためには、付加価値の高い尖った商品サービスを用意するか、汎用商品(ティッシュペーパーや紙マスクと同様)の独占提供者になること。下手に2~3社ライバルがいると、価格ダンピングで儲からなくなります。


 ここからは「資金決済」の分野の話です。自分が所属する資産運用会社・信託銀行にとって、資金決済業務は本丸ではないので、成り行きを見守り、最終的なインフラを活用するだけです。失うもの(既得権益)がないので、かなり冷静に動静を伺うことができています。

 ところで、資金決済と言っても、日々の生活で使う数百円から数万円規模のものと、数百万円の車の購入、数千万円のマンションの決済、あるいは業務上の決済である億円単位のものでは、求められる「サービス内容」は異なります。前者は言わば、万が一、ハッカーにかすめ取られても諦めがつく世界であり、また保険会社が数十万円までならカバーしてくれる世界です。したがって、セキュリティ水準もリーズナブルなレベルで十分ということになります。

 一方で、多額の資金決済や外国送金となると、普通程度のセキュリティレベルでは保険でカバーしようとしても限度額がありますので、絶対安全な仕組みの中でないと、怖くて決済依頼などできません。日本には日銀を中心とした全銀システムによる鉄壁の資金決済の仕組みが出来上がっています。海外との間でもSWIFTという仕組みが完成されています。したがって、法人の通常業務や個人の多額な資金決済については、この仕組みを使用する方が得策で、数百円とか数千円の手数料をケチってわざわざリスクを取る人がいるとも思えません。このマーケットに「安かろう、悪かろう」は通じませんので‥。

 むしろ問題なのは、日々の消費や、食事の際の割り勘などで活用する、せいぜい数十万円までの決済システム。ここは消費データそのものの収集に意味があるため、セキュリティよりもデータの使い勝手の方が優先される世界。ここの主導権はすでにアマゾン、楽天、アリババなどに握られている訳ですが、日本のメガバンクを中心に、仮想通貨(これからは暗号資産と呼ばれるようです)を含めて新たな決済の仕組みを作ろうと多額の投資をしています。彼らの狙いはどこにあるのでしょうか?

 


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【デジタライゼーション】ロボアド会社や、ネット保険会社で起きていること

2019-05-27 07:24:07 | 金融マーケット

 日本ダービーが終わり、脱力感が酷いのですが、気を取り直して「デジタライゼーション」のお話に戻りたいと。


 前回、汎用の金融商品は、極限まで販社コストを削るために、ネット系での販売が主流になっていくと申し上げました。この事象は、生命保険商品や損害保険商品でも同じことが言えます。

 例えば、自動車保険。最も汎用な損害保険商品ですが、ネット系の保険会社で契約すると、ビックリするくらい保険料が下がります。最初は独立系ネット保険会社の独壇場でしたが、さすがに大手損保も放っておけず、自分の100%子会社を通じてネット保険を販売しており、従来の契約がどんどんネット契約に入れ替わっています。保険収入は減りますが、店舗や人員削減と併せて実現できれば、経営を揺るがすことにはなりません。むしろ、既存の契約を守ろうとして、顧客基盤を失っていった都銀や四大証券よりはマシと言えます。

 ただし問題は、ネット系同士の過当競争。あまりに保険料のダンピングが進んだため、殆どのネット系保険会社は利益を出せていません。本当にカスカス状態なのです。シェア争いで競争が過熱するのは日本人の特長ではありますが、向こう10年黒字化の目処が立たないとなると、さすがに何のためのビジネスか? ということになります。損保会社にとって、かつてのドル箱であった自動車保険は、かくしてペンペン草も生えないコモディティ・マーケットと化してしまいました。

 同じ事態になりそうなのが、投信のロボアド会社。大手2社は全く黒字化の目処が立っていません。起業家たちからすれば、「スタートアップ市場というのは、所詮こんなもんですよ!」ということかもしれませんが、先行投資がすでに終わているにも関わらず、その償却スケジュールが終わっても、黒字化の目処が立たない世界は、ビジネスの範疇からは逸脱していると言っても過言ではありません。地銀をはじめ、多くの出資者たちの苛立ちは想像に難くありません。

 「過当競争」恐るべし、です。日本の金融機関にとって最大のハードルは、この「過当競争」なのかもしれません。


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