金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【Sバンタム級世界戦】 井上尚弥選手が激闘を制す! それにしてもネリ選手は本物でした・・

2024-05-08 00:56:58 | ボクシング

 

 5月6日(月)に東京ドームで行われたボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一戦は、チャンピオンの井上尚弥選手が挑戦者のルイス・ネリ選手を6回TKOで破り、4団体統一タイトルを防衛しました。

 第1ラウンドには、井上尚弥選手がまさかのダウンを喫する展開となり、東京ドームの観客席が一瞬凍りつくこととなりましたが、第2ラウンドには、逆襲のカウンターフックが炸裂しダウンを奪い、試合をイーブンに戻しますその後は慎重に相手の攻撃をかわしながら的確なパンチを当て続けて、第5ラウンドにも2度目のダウンを奪います。そして第6ラウンドは、一方的に攻め続けて、とどめのフックでネリ選手をマットに沈めました

 

 

 最近のボクシングでは珍しい光景となりましたが、ラストのダウンシーンは「首がひしゃげるような倒れ方」で、まるでボクシングアニメのラストのようなクライマックスとなりました。

 

 結果としては、戦前の予想どおり、井上尚弥選手の圧勝となりましたが、何と言っても、井上尚弥選手としてもキャリア初のダウンを経験することとなり、悪童と呼ばれる挑戦者のネリ選手が、実は一流のテクニックを誇る世界有数のボクサーであることが明らかになった一戦でもありました。

 ネリ選手は、過去に体重超過やドーピング違反といった事件があったほか、日頃の言動が「挑発的」なこともあって、特に日本のボクシングサークルからは「悪童」と評される人物でありましたが、このネリ選手を4団体統一戦の挑戦者に指名した井上選手陣営の「目利き力」が確かであったことを証明する結果ともなりました。

 

 ネリ選手は、井上尚弥選手との再戦を望んでいるようですが、すぐには実現しそうもありません。体重維持が難しい状況であるならば、むしろ一足先にフェザー級に転向して、先に王者となって井上尚弥選手の挑戦を受ける立場で待つ方が現実的に思えます。しかも、まだ29歳のネリ選手であれば、フェザー級の世界王者となることも、けして難しくはないと思います。

 

 この2人の再戦は、ぜひ「世界フェザー級タイトルマッチ」で観たいと思います。

 


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【世界Sバンタム級 王座統一戦 回顧】 井上尚弥選手が快勝! 2階級4団体王座統一を達成‼

2023-12-30 03:12:16 | ボクシング

 ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体王座統一戦が、12月26日(火)に東京都の有明アリーナで行われ、WBC‣WBO同級王者の井上尚弥選手が、WBA・IBF同級王者のマーロン・タパレス選手を10R1分2秒KOで勝利して、4団体王座統一を成し遂げました。井上尚弥選手は、バンタム級に続いて、スーパーバンタム級でも4団体王座統一を達成。2階級での4団体王座統一は史上2人目の快挙でありました。

 

 

 新聞報道を見ると、「予想外の苦戦」といった論調も見られましたが、試合内容をよく見れば、「慎重に試合を進めて、危なげなく、しっかり仕留める戦いぶり」というのが正しい評価だと思います。

 

 むしろ、相手のマーロン・タパレス選手が、井上尚弥選手との戦い方を十分に研究した上で、リスクを取りながら攻めていたことが、好試合を生んだと言え、この戦い方は称えられるべきだと自分は考えます。

 タパレス選手は、後ろ足体重と鉄壁ガードを終始崩さないスタイルで、井上尚弥選手のジャブやストレートからのダメージを極力抑制する一方、井上選手がパンチを中断したタイミングで素早い反撃を繰り出す戦法を取って、モンスター井上の一方的攻撃をできるだけ避けようとしてきました。また、ガードの上から重いパンチが次々と襲い掛かっても、それに耐えるタフさも持ち合わせていました。

 それでも、10Rに井上選手の重いストレートが顔面を捉えたところで、立ち上がれなくなりました。1Rから受けていたダメージが蓄積されていて、このストレートを受けたところで万事休すとなったのだと思います。

 

 逆に、井上尚弥選手は、相手が自分のことをよく研究していることを感じ取り、無理な攻撃は行わず、相手にダメージを着実に与えながら、チャンスをジックリ待つという戦法に終始していました。これぞ王者の戦い方だと思います。結果として、この戦い方により、出合い頭のパンチを受けるような場面には会わなかったということだと思います。

 素晴らしくハイレベルの世界タイトルマッチでありました。

 

 試合後の談話で、井上尚弥陣営は、当面の間はスーパーバンタム級での戦いを続けると宣言。フェザー級進出を煽る気の早いマスコミやファンに対して、釘を刺すことも忘れませんでした。

 スーパーバンタム級には、まだまだ強豪選手が犇めいていますし、これらと対戦しながら、フェザー級でも戦える身体づくりに注力するというのが陣営の本音でありましょう。井上尚弥選手の快進撃はこれからも続くと思います。

 

 


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【WBC/WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ】 井上尚弥選手が快勝 4階級制覇!

2023-07-27 01:53:09 | ボクシング

 ボクシングのWBC/WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチ(25日、東京・有明アリーナ)は、前世界バンタム級4団体統一王者の井上尚弥(30=大橋)が、王者のスティーブン・フルトン(29=米国)を8ラウンド1分14秒TKOで撃破し、4階級制覇に成功しました。

 

 

 強敵フルトンに対して、井上尚弥選手は、スタートから慎重に入り、自分の距離を保ちながら、パワーパンチを封印して、スピードを活かした左ジャブと切れ味を意識した右ストレートを繰り出します。速い左ジャブで相手に圧をかけて、ガードの上からでも遠慮なく切れ味鋭い右ストレートを当てていく。そして、ボディへのパンチも忘れません。

 第1ラウンドから第4ラウンドは井上尚弥選手のペースとなり、王者フルトンは自分のペースを取り戻すために、第5ラウンド以降、前へ前へ出てくることになります。しかし、これも当初からの井上陣営の作戦だったようで、ここでカウンターが取れればKO勝利も狙えるし、もし、相手が怖がって逃げてしまうのであれば、また左ジャブと右ストレートで圧をかけて、そのまま「判定勝利」でも良いと考えていたようです。

 

 狙ったチャンスは、第8ラウンドに訪れます。第5ラウンド以降、自ら仕掛けてペースを掴みかけていた王者フルトンが、ここでも自分から前に出ようとした瞬間、井上選手は左ストレートでボディ=レバーをヒット虚を突かれて王者の動きが止まった瞬間、井上選手の右ストレートがフルトン選手の顎を打ち抜きます。

 最初のダウンを奪ったのは、この右ストレートでありますが、のちにフルトン選手「1発目の左ボディパンチが見えなかった」と、むしろこのボディへのパンチが効いたと話していました。確かに、試合中に何度も繰り出していたボディパンチは、どちらかというと王者フルトンの左側ボディを狙ったものが多かったのに対して、この時のボディパンチは、明確に右側、すなわちレバー側へのストレートでありました。決定打になりやすいボディパンチは、やはり肝臓へのストレート。このチャンスを得るために、井上選手はわざと左側ばかりを狙って、相手のスキを作り出そうとしていたのでしょう。

 

 最初のダウンのダメージは大きく、このあとは井上選手のラッシュが続いたところで、レフリーストップ。

 

 それにしても、恐れ入りました。スーパーバンタムへ階級を引上げた初戦で、しかも無敗の王者フルトンを相手に、圧勝というパフォーマンスは驚き以外ありません。あらためて常識を超えたチャンピオンであることが判りました。

 

 次はまず、スーパーバンタム級での4団体統一王者を目指すのでしょうが、この階級は次から次へと強い挑戦者が現れてくる階級です。当面はスーパーバンタム級での闘いを見せて頂きたい気が致します。

 


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【井上尚弥の挑戦②】 フルトンに対してはパワーを封印しスピードで対処すべし! <再掲>

2023-07-23 06:33:12 | ボクシング

 昨日の続きです。井上尚弥選手のフルトンへの挑戦が、7月25日に東京の有明アリーナで行われます。

 この非常に危険な相手に対して、どう戦うべきなのか?

 

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 1970年代のことではありますが、あのメキシコの英雄カルロス・サラテですら、自分の階級では全くの敵なしの歴史的チャンピオンですら、約2㎏だけ上のタイトルに挑戦したら、フィルフレド・ゴメスボロボロに倒されるという事態が起こりました。そして、そのフィルフレド・ゴメスですら、サラテと同じくプロ無敗のまま、1階級上のサンチェスに挑戦したら、これまたボロボロにされるという結果になってしまいました。

このように、スーパーバンタム級やフェザー級というクラスは世界的に選手層が厚いため、井上尚弥選手と言えども簡単な圧勝劇を期待するのは危険であります。

 

 

 ちなみに、井上尚弥選手の相手となるWBC・WBOスーパーバンタム級王者のフルトンは無敗の王者であり、あのカルロス・サラテにとってのフィルフレド・ゴメスと全く同じ状況。安易な楽観を持つには、非常に危険な相手なのです。特に、井上選手の直近のバンタム級での戦い方は、パワーで優る井上選手が相手をパワーと圧力で圧倒して勝つ試合を続けています。この延長線上で、体格とパワーに勝るフルトンへ立ち向かうのは、大変危険な戦い方になるのです。

 この戦い方では、サラテと同じように、井上選手ですらフルトンの餌食になってしまうでしょう。

 

 体格とパワーに自信がある選手であっても、階級を上げた場合は、自分よりも体格やパワーに優れた選手を相手にしなければならなくなります。その際は、自らの利点を活かす、すなわちスピードを活かしたボクシングを徹底しなければ勝機はありません。

 過去の歴史を振り返っても、シェーン・モズリーフロイド・メイウエザーが体格で優るオスカー・デラホーヤを破った試合は、パワーを封印してスピードを活かすボクシングに徹した戦い方でした。ロイ・ジョーンズ・ジュニアがヘビー級王者ジョン・ルイスを圧倒したのも、スピードに徹したボクシングでした。マービン・ハグラーに勝ったシュガー・レイ・レナードも然り。

 逆に、上位階級を相手にパワーで対抗しようとして惨敗したのが、マービン・ハグラーと対戦したトーマス・ハーンズ。この試合はまるでなぶり殺しのようでありました。同じく、そのトーマス・ハーンズと対戦したロベルト・デュラン。これも凄惨な試合となりました。ロベルト・デュラン本来ファイターではありましたが、シュガー・レイ・レナードを破った試合などに見られるように、スピードに徹したボクシングも出来るテクニシャンでした。しかし、ハーンズとの試合の時は、体調が悪かったのか、無理なファイタースタイルの戦い方を選択して、惨敗に終わりました。

 

 以上のように、過去の歴史的な名ボクサーたちの戦い方から学ぶのであれば、階級の上の強者と戦う際、スピードに徹したボクシングを選択すべきであります。

 井上選手の対戦相手のスーパーバンタム級の無敗王者フルトンは、すでに1階級上げる準備をしているくらい、体格はむしろフェザー級に近い選手体格・パワーでは井上選手よりも遥かに上の相手であります。一方でギリギリの減量で臨んでくる選手ですから、むしろスピードは鈍くなることが予想されます。このような相手に、足を止めての打ち合いなどは愚の骨頂スピードを活かしたヒット&アウェイ戦法で、相手を翻弄する方が得策です。焦れた相手が無理に打ってくるところをカウンターで仕留めれば良いのです。

 

 また、相手に合わせて、無理に体重を増やすこともありません。スピードで勝負するのですから、1番動きやすい体重で臨むべき

 ジョン・ルイスに対峙したロイ・ジョーンズ・ジュニアのように。

 

 繰り返しになりますが、スーパーバンタム級の無敗の王者スティーブン・フルトンは、井上尚弥選手と言えども、相当に手ごわい相手です。バンタム級のつもりで戦えば、悲惨な負け方をする可能性すらあり得ます。しかし、スピードを活かしたボクシングに徹することが出来れば活路は開けます

 井上尚弥選手の最終ターゲットは、史上最高のPFP=パウンド・フォー・パウンド、すなわちロイ・ジョーンズ・ジュニア。フルトンとの対戦を契機に、ロイ・ジョーンズ・ジュニアのようなボクシングへ昇華していってほしいと考えております。

 


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【井上尚弥の挑戦①】 Sバンタム級王者フルトンへの挑戦 非常に危険な闘い‼ <再掲>

2023-07-21 04:59:13 | ボクシング

 バンタム級初の世界4大タイトル統一を成し遂げた井上尚弥選手が、WBC・WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトンに挑戦します。タイトルマッチは7月25日、東京の有明アリーナで行われます。

 

 

 ここまでの井上尚弥選手の強さを見てきた人は、スーパーバンタムも同様に征服してしまうだろうと期待している人が多いと思います。しかし、自分は当blogの<井上尚弥が目指す最終到達点①~③>でも申し上げたとおり、それほど甘くはないと考えています

 バンタム級から約2㎏プラスのスーパーバンタム級、さらに約2㎏プラスのフェザー級という階級は、世界中のプロボクサーの選手層が最もぶ厚いクラスだからであります。同じ三階級制覇でも、選手層が薄いミニマム級(アジア系と一部の中米系しか選手がいないクラス)からフライ級までと、バンタム級からフェザー級までの三階級制覇では全く価値が異なるのです。

 

 少し古いお話をしますが、ご容赦下さい。

 1970年代に軽量級の黄金時代と言われた時期があって、その時の世界の軽量級王者には、歴史的に名を遺す名チャンピオン達が、数多くひしめいておりました。WBAジュニアフライ級には13回防衛の具志堅用高WBCフライ級には14回防衛のミゲール・カントWBCバンタム級にはキング・サラテと呼ばれた9回防衛のカルロス・サラテWBCスーパーバンタム級には同じくキング・ゴメスと呼ばれた17回防衛のフィルフレド・ゴメスWBCフェザー級にはKOキングで9回防衛のサルバドル・サンチェス

 この時、バンタム級の無敵の王者であり、メキシコの英雄カルロス・サラテがプロ無敗のまま、1階級上フィルフレド・ゴメススーパーバンタム級タイトルに挑戦したのです。対戦前はサラテの勝利を信じるファンが多かったようですが、結果は5R KO負けというゴメスの一方的な試合になりました。そして、そのあと、そのゴメスが同じくプロ無敗のまま、1階級上サンチェスフェザー級タイトルに挑戦したら、今度はゴメスが8R KO負けという結果になってしまいました。

 

 自分の階級では全くの敵なしの歴史的チャンピオンが、約2㎏だけ上のタイトルに挑戦したら、ボロボロに倒されるという事態が続いたのです。このように、スーパーバンタム級やフェザー級というクラスは世界的に選手層が厚いため、井上尚弥選手と言えども簡単な圧勝劇を期待するのは危険であります。

 ちなみに、井上尚弥選手の相手となるWBC・WBOスーパーバンタム級王者のフルトンは無敗の王者であり、あのカルロス・サラテにとってのフィルフレド・ゴメスと全く同じ状況。安易な楽観を持つには、非常に危険な相手なのです。特に、井上選手の直近のバンタム級での戦い方は、パワーで優る井上選手が相手をパワーと圧力で圧倒して勝つ試合を続けています。この延長線上で、体格とパワーに勝るフルトンへ立ち向かうのは、大変危険な戦い方になるのです。(続く)

 


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